31.紅一点、オーちゃんがもたらした情報。デスゲームをクリアした人がいた?
テニス経験者っぽい男は、ラキちゃんにだけ、話をふる。
「ラキちゃん。リーダーの頑張った結果は、いつ分かると思う?」
「私が知るわけない。」
とラキちゃんは、素っ気ない。
「ラキちゃん、同じチームメンバーに冷たくない?」
とテニス経験者っぽい男は笑っている。
「意見を聞きたいなら、私より、長くいる人に聞いてみれば?」
とラキちゃん。
ラキちゃんは、テニス経験者っぽい男と、男リーダーに、厄介な目に合わされたのにもかかわらず、怖気づくことなく、平然と受け答えしている。
「長くいる人は、たまたま長くいれただけ、ということもあるから、参考になるか分からないよ?
ラキちゃんが聞きたい人がいるなら、聞いてみよう。
ラキちゃんは、誰がいい?」
とテニス経験者っぽい男。
テニス経験者っぽい男が、ラキちゃんに構うのは、ラキちゃんと絡むことで、見せ場が増やせるからか?
今日のドッジボールで、一番活躍したのは、ラキちゃん。
テニス経験者っぽい男は、計算して絡んでいるような気がしてならない。
テニス経験者っぽい男は、ラキちゃんに構うけど、同じく外野にいる紅一点には見向きもしない。
テニス経験者っぽい男は、ドッジボールが始まる前に、にこやかな笑顔を紅一点に振りまいていたのに。
紅一点に絡むのは、見せ場に繋がらないからか?
「ミスター胡散臭い、のお隣さんに聞いてみたら?同じ外野同士、すぐに話せる。」
とラキちゃん。
ラキちゃんは、テニス経験者っぽい男を、ミスター胡散臭い、で通すのか。
テニス経験者っぽい男と同じ外野にいるのは、紅一点だけど、紅一点がカメラに大写しになって発言する場面は、今日、まだ一度もない。
デスゲーム内に長くいたように言われているけれど、いつから、いるんだろう?
見覚えがない。
印象が薄いという造形じゃないのに。
元気でハキハキ系のラキちゃんは、男と話すときは一対一。
紅一点は、一人だけとは話さないイメージがある。
「ラキちゃんのご指名があったよ。オーちゃん、どうぞ?」
とテニス経験者っぽい男。
紅一点の名前は、オーちゃんか。
オーちゃんと呼ばれた紅一点は、テニス経験者っぽい男の軽い調子には乗っかってこなかった。
ドッジボール前は和気あいあいとしていたのに。
紅一点のオーちゃんは、テニス経験者っぽい男に背を向けた。
「リーダーは見せ場なかったけど、オーちゃんは?
オーちゃんの方が見せ場なかったよね?」
紅一点のオーちゃんは、テニス経験者っぽい男とのコミュニケーションを全身で拒否している。
「オーちゃんは、見せ場を作る気ある?
あるなら、一芸披露しとけば?」
とテニス経験者っぽい男。
テニス経験者っぽい男は、紅一点、オーちゃんが気に入らない?
おちょくっている調子は完全に消えて、役に立たないな、という温度で、紅一点、オーちゃんを見ている。
「ラキちゃん、早く、結末が知りたくない?」
とテニス経験者っぽい男。
「どうでもいい。」
と返すラキちゃんは、心底、どうでも良さそう。
「ラキちゃん、余裕で関係ないからって、冷たいこと言わなくても。同じチームメンバーなのに。」
とテニス経験者っぽい男。
「同じチームメンバーだから、話さなきゃならない、というなら、話しかける。オーちゃんだっけ?
前回のドッジボール、あなたは助けてもらっても助けなかった。
あなたが助けたら、彼女は死ななかった。
助けなかった理由を話してから死んでくれる?」
とラキちゃん。
「ラキちゃんは、男にも女にもはっきり言っちゃう女の子。」
と茶化すテニス経験者っぽい男。
「あの人は、一回クリアした。
クリアしたのに、また戻ってきたんだから。
もういいでしょ。」
と紅一点、オーちゃん。
クリアした?
脱出した人がいるのか?
紅一点、オーちゃんの話しぶりだと、脱出して戻ってきて、死んだ女性がいたことになる。
脱出できるルートか、方法がある?
ラキちゃんは、一瞬顔を歪めた後。
「理解した、十分に。」
と言った。
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