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287.タケハヤプロジェクトを離脱した学生は、正義が勝たないデスゲームの運営であるAIを?

カガネは、カガネ自身が逃げないことを北白川サナに確信させることで、北白川サナをキノに集中させた。


キノが逃げている間、北白川サナは、キノを追いかける。


カガネが、キノと北白川サナの二人を遠ざけたのは、二人に聞かせたくない話があるからだ。


「金剛ショウタは、現状をどの程度、把握した?」

とカガネ。


「現状、分かっていることか。


北白川サナが、サバイバルゲームで死ぬという話以外にか?


正義が勝たないデスゲームの運営であるAIは、身内に巣食う支援団体との繫がりを断つために、北白川サナを正義が勝たないデスゲームに参加させている。


北白川サナは、自分がサバイバルゲームで死ぬことになるとは考えていない。


確信を持てるのはここまで。


続きは感想になるが。」


「どんな感想?」

とカガネ。


「北白川サナが、俺を正義が勝たないデスゲームから脱出させたい目的を語ったことからの感想になる。


正義が勝たないデスゲームの運営であるAIは、俺を生かしたまま脱出させる計画をしてなかったことに驚いている。


正義が勝たないデスゲームの運営であるAIは、佐竹ハヤトの後を俺に引き継がせたいから、正義が勝たないデスゲームを体験させているのかと思っていた。」


「佐竹ハヤトくんの後を金剛ショウタに引き継がせたいのは、タケハヤプロジェクトを離脱した学生の考えだから。」

とカガネ。


タケハヤプロジェクトを離脱した学生は、正義が勝たないデスゲームに対する決定権を持たない。


「正義が勝たないデスゲームの運営であるAIは、俺に佐竹ハヤトの後を引き継がせたくないのか?」


「正義が勝たないデスゲームの運用には、人が介入する余地がないようにしてあるわ。


佐竹ハヤトくんは、そういう風に作り上げた。」

とカガネ。


モエカが、アスレチックのデスゲームで、同じように話していたことを俺は思い出した。


「正義が勝たないデスゲームの運営は、人の介入を必要としていない。


正義が勝たないデスゲームの運用をするAIには、俺に運用を引き継がせる意図などないのか。」


「正義が勝たないデスゲームの運営であるAIは、佐竹ハヤトくんの代わりなど必要としていない。


一方で。


タケハヤプロジェクトの学生は、佐竹ハヤトくんの代わりを必要としている。


この意味が分かる?」

とカガネ。


「タケハヤプロジェクトの学生は、正義が勝たないデスゲームを運用するAIの運用方法に不満があって、人による介入を望んでいる。


タケハヤプロジェクトを離脱した学生の中には、佐竹ハヤトの代わりになれる人物がいない。


正義が勝たないデスゲームへの人による介入を実現するには、佐竹ハヤトの代わりになりうる人物が、AIの仕様を変更する必要がある。」


俺は、目から鱗が落ちた。


「人の介入を必要としない正義が勝たないデスゲームの運営であるAIと、タケハヤプロジェクトの学生は、対立しているのか?」


「タケハヤプロジェクトの学生は、正義が勝たないデスゲームの運営には、介入できなかった。


『製作者の佐竹ハヤトくん以外には、高度過ぎて変更できなかった。』


『変更できない仕様だから、変更できなかった。』

らしいわ。」

とカガネ。


「タケハヤプロジェクトを離脱した学生は、試したのか。


佐竹ハヤトが、徹底して人の介入を阻んでいるのは、未来を予想したのか。」


俺には疑問がある。


「タケハヤプロジェクトの学生が、正義が勝たないデスゲームの運営に介入したい理由が分からないのだが?


正義が勝たないデスゲームは、運用をAIに任せっきりにすることを、罪に問われたときの免罪符にしようとしていたのではないのか?」


「タケハヤプロジェクトの学生と学生の家族は、AIに従ってした、という言い訳を用意して、正義が勝たないデスゲームの運営であるAIの指示に従ってきたわ。」

とカガネ。


なぜ、従うことを止めようとしているのか?


「タケハヤプロジェクトの学生と学生の家族は、正義が勝たないデスゲームの運営であるAIに従うことに対し不満を持つようになったのか?」


「佐竹ハヤトくんが亡くなって、正義が勝たないデスゲームが始まって一年、二年と経てば、変わるものもあるわ。


正義が勝たないデスゲームの運営であるAIに使われているタケハヤプロジェクトの学生とその家族は、正義が勝たないデスゲームに参加せずに、生きているから。」

とカガネ。


俺は、理解に苦しんだ。


「生きているタケハヤプロジェクトの学生とその家族は、正義が勝たないデスゲームがあるから、仕事があって、生活ができるのにか。


免罪符も用意されている。


タケハヤプロジェクトの学生とその家族は、正義が勝たないデスゲームがあることの恩恵を受けても、犠牲は払っていない。」


タケハヤプロジェクトの学生と家族は、正義が勝たないデスゲームに生かされていながら、正義が勝たないデスゲームの運営へ不満がある、ということになる。


「生活が立ち行かなくなる状況に追い込まれても、正義が勝たないデスゲームに携わる仕事に就けたから助かった、と話していたときもあったわ。


実際に、正義が勝たないデスゲームの仕事を請け負えたことで、一家心中しないで済んだ家族はいくつもあったから。」

とカガネ。


「タケハヤプロジェクトの学生と学生の家族を取り巻く環境が変化したのか?」


「環境は、変わらないわ。変化したのは、心境。」

とカガネ。

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