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280.ラキちゃんの側に、俺はお呼びではない。ツカサは、スキンヘッドの男を仕留める。北白川サナは?

ツカサは、構える素振りを一切見せずに、スキンヘッドの男へ歩いていく。


スキンヘッドの男は、殺られる前に殺るを実行しようとした。


ツカサは、袖の中に隠し持っていた何かを、横から回り込んできたスキンヘッドの男の胸部に押し当てる。


スキンヘッドの男は、うっと胸部を押さえ、後ろに数歩よろめくと、しゃがみこみかけて、後ろに頭からひっくり返った。


頭からひっくり返ったスキンヘッドの男は、起き上がらなかった。


「ああ、呆気ない。」

とツカサは、袖の中に、何かを隠す。


ツカサとメグたんは、男二人を絶命させた。


メグたんは、ラキちゃんの側に戻っていく。


ラキちゃんには、メグたんがいいんだ。


ラキちゃんが辛いときにすがりたい相手は、俺ではない。


間に合わなかった俺の出る幕はない。


俺は、ラキちゃんを守ることができなかった。


ラキちゃんと一緒に戦うことも。


メグたんとツカサが、男二人を手にかけたのは、ラキちゃんの願いだったのだろうか?


それとも、正義が勝たないデスゲームの中にいるのが目障りだから殺したのか?


俺は、我慢できずに、振り返った。


俺の本心は、ラキちゃんの元に駆けつけて、ラキちゃんの側にいたい。


ラキちゃんがそれを望んでいないから、俺はラキちゃんに近づかないが。


せめて、見るだけは。


俺がラキちゃんの顔を見ていると、背中で俺の視線を遮る位置に、メグたんは屈んだ。


明確な拒絶。


俺は、メグたんの背中を見て、拳を握りしめる。


「ショウタ。」

とツカサが俺を呼ぶ。


俺は、顔を上げる。


ツカサは、俺に向かって手を振ってから、俺に顎で、一方向を示した。


まだだ。


まだ、何も終わっていない。


まだ、終わらせるわけにはいかない。


このまま。


何も分からないままで。


俺は、北白川サナの元に移動する。


北白川サナは、俺が移動していくと、ラキちゃんに向いていた顔を俺に向ける。


北白川サナの長い前髪は、北白川サナの目元を隠している。


北白川サナの隠れている双眸が、何を宿しているのか。


俺は、何も分からない。


だが。


北白川サナをこのままにしとおくことはしない。


「北白川サナは、何もなかったか?」


俺は、じっと立っている北白川サナに聞いた。


北白川サナは、俺達が現場を見つけてから、一歩も動いていない。


「何もない、です。今の私は、何も、です。」

と北白川サナ。


俺が北白川サナに向き合うと、カガネとキノも集まってくる。


カガネは、何の気負いもなくやってくる。


一直線に。


キノは、警戒しながら、北白川サナを近づいてきた。


キノは、カガネが北白川サナに近づくから、近づいてきたっぽい。


キノは、状況を見て、ラキちゃんとメグたんの会話の中に入っていこうとは思わなかったのだろう。


ツカサは、北白川サナの方には来なかった。


ツカサは、ラキちゃんと話すメグたんを見守れる位置に立って、メグたんとラキちゃんがいない方向を見ている。


俺の心は、北白川サナに向き合っているうちに、感情が静かになっていった。


北白川サナを見ているだけで、陰鬱な絵画を見させられている気分になる。


脈絡なく、そんな想像をしてしまう。


陰鬱な絵画を見ていると、思考が活性化する気がする。


俺は、北白川サナに聞くことにした。


北白川サナにしか、話せないことを聞いておかなくては。


「北白川サナに確認したいことがある。


違うなら、訂正しろ。」


北白川サナは、俺に顔を向けはしても、表情を読み取らせない。


北白川サナからの返事を待つことはしなかった。


「北白川サナは、正義が勝たないデスゲームの運営の指示で、正義が勝たないデスゲームに参加している。


北白川サナは、タケハヤプロジェクトを離脱した元学生。


この二点は、間違いないか?」


「間違いない、です。」

と北白川サナ。


答えるのか。


ノーコメントを貫くかと思った。


「正義が勝たないデスゲーム運営が、北白川サナに出した指示を言え。」


「言わない、です。」

と北白川サナ。


「言わないのは、北白川サナの意思か?


それとも、正義が勝たないデスゲーム運営の指示か?」


北白川サナは、答えない。


「どちらであっても、北白川サナのしたこと、しなかったことに変わりはない。」


これまでの北白川サナを見る限り、北白川サナは婉曲な表現を好まない。


まどろっこしい会話をしても、北白川サナを喋らせることは不可能。


俺は、核心に迫ることにした。


「いつからか、話せ。


タケハヤプロジェクトの発足後か?


正義が勝たないデスゲームに参加する前なのは、確定だろうが。」


「何が、です?」

と北白川サナ。


北白川サナは、俺と会話し始めてからずっと、淡々としている。


反応が薄い?


いや、違う。


反応を閉じ込めているのか?


「北白川サナが、支援団体と通じた時期の話をしている。


裏切りはいつからか、話せ、北白川サナ。」

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