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279.メグたんとツカサ。タケハヤプロジェクトの参加者でもある二人は、正義が勝たないデスゲームに参加して、何を思ったのか?

俺は、心臓が止まるかと思った。


ラキちゃんの返事は、くぐもった声で、俺には聞きとれない。


「分かった。ラキちゃんのお願いは私が叶えるわね。


他に叶えて欲しいお願いがあれば、今、話してくれる?」

とメグたん。


メグたんは、俺が聞き耳を立てていることに気づいているはず。


それでも、メグたんは、俺を気にかける素振りを見せない。


俺は、立ち止まっていた。


俺が近づくと、ラキちゃんは、怯える。


ラキちゃんにかかりっきりのメグたんは、俺のことなど眼中にない。


ラキちゃんとメグたんは、短い会話を交わした。


「ツカサ。」

とメグたん。


メグたんに呼ばれたツカサは、ゆっくりと、メグたんの方へ歩いていく。


ツカサがゆっくり歩くのは、ラキちゃんを怯えさせないためだろうか。


ラキちゃんの非常事態に。


ラキちゃんが頼るのはメグたんで。


メグたんに呼ばれるのは、俺ではなく、ツカサ。


俺は、一体、どうすれば。


「そっちを頼むわね。」

とメグたんは、ツカサに、スキンヘッドを指さした。


「メグたんのお願いだから、聞いておくよ。」

とツカサ。


「待っててね、ラキちゃん。」

とメグたんは、立ち上がる。


股間の不具合に悶絶していた男二人は、ツカサとメグたんの接近に、悶絶していては危険だと判断したのか、立ち上がった。


そうか。


俺の蹴りは、男二人にとって、流せるものだったのか。


俺は、同性の急所なんて蹴り慣れていない。


メグたんは、ラキちゃんの頭に乗っかっていた男の元へ。


ツカサは、スキンヘッドの方へ。


そこからメグたんとツカサの動きは、早かった。


男二人は、俺のときのように無抵抗ではなかった。


メグたんは、髪を掴んでこようとした男の首を絞めて落とした。


次に。


メグたんは、流れるように、意識を失った男の首を折った。


「この殺し方は、久しぶりにしたわ。」

とメグたんは、手のストレッチをしている。


「スピード重視だから、見せ場が作れないのよ。


タケハヤプロジェクトに参加して以来、使わなくなったのよね。」

とメグたん。


メグたんがタケハヤプロジェクトに参加するようになった経緯は、ハコさんに逮捕されたから。


メグたんが、タケハヤプロジェクトに参加する前に殺してきた人は、悲鳴をあげる前に殺されていたのか。


ツカサは、スキンヘッドの男に近づいていく。


「待て。俺とツカサは、同じだ。


俺達は、警察の被害者だ。


思い返してみろ、ツカサ。


ツカサは、ひっかけた女を殺して、正義が勝たないデスゲームに来たんだったよなあ?


だが、ツカサが女を殺したのは、ツカサのせいか?


ツカサが殺した女は、ツカサをストーカーした女だったんだろう?


警察がストーカーを捕まえていたら、ツカサは、人殺しにならずに済んだんだ。


警察が仕事をしなかったせいだ。


ツカサは、警察が仕事をしなかったから、人殺しになってしまったんだ。


俺も、そうだ。


警察が警察の仕事をしていれば、兄も俺も、追い詰められなかった。


俺達は、警察が仕事をしなかったから、人を殺す羽目になり、こんな場所でくすぶることになった。」

スキンヘッドの男は、ツカサに呼びかけた。


ツカサは、スキンヘッドの男に話を促すかのように、足を止める。


「で。ラキは、刑事だ。

腐りきった警察の一部だ。」

とスキンヘッドの男は、横たわるラキちゃんを顎でしゃくる。


「俺が、正義が勝たないデスゲームに参加したのは、タケハヤプロジェクトの学生に復讐するためだ。


それは、変わらない。」  

とスキンヘッドの男。


タケハヤプロジェクトの学生をメグたんが従えていたのは、タケハヤプロジェクトの学生を守るためでもあったのかもしれない。


「俺は、タケハヤプロジェクトの学生が許せない。


だが、兄と俺の人生を潰した警察を俺が許すとでも思ったか!


警察は、日和りやがった。


兄と俺と、やつらを比べて、兄と俺なら、黙らせられると考えたんだ。


ラキは、そんな警察で刑事をやっている。


刑事の仕事は、事件を捜査することだ。


俺は、仕事をしない刑事をのさばらせたりなどしないんだ!」

とスキンヘッドの男は、吠えた。


俺は、スキンヘッドの男の主張に、叫びたくなったが、黙っていた。


ラキちゃんは、お前のこれまでに何の関係もないだろうが!


お前がしたのは、ただの!


俺は、深呼吸した。


感情にのまれたら、負ける。


そんな気がした。


スキンヘッドの男の相手をしているのは、ツカサ。


俺は、スキンヘッドの男の眼中に入っていない。


ツカサは、止めていた足を動かした。


「俺は、誰の、どんな事情にも、個人的見解にも興味がない。


そういう自己実現は、正義が勝たないデスゲームに求められていないからね。


正義が勝たないデスゲームに参加した者同士で、気に入らない参加者を見つけたのなら。


正義が勝たないデスゲームのルールに則って、殺し合えよ。」

とツカサは、冷たく言い放つ。


歩みを止めないツカサ。


スキンヘッドの男は、ツカサの出方を見ながら、ジリジリと後退していく。


「ツカサは、ラキとは仲が悪かっただろう。


急に、どうしたんだ?」

とスキンヘッドの男。


「ラキちゃんは、俺を警戒していたけれど、俺は別に?」

とツカサは、にっこり。


「ツカサには、俺を殺す理由がない!」

とスキンヘッドの男は、後退しながら、体勢を整えた。


「それが、あるんだよ。」

とツカサ。


「ツカサは、メグにそそのかされて、調子にのったんだな?」

とスキンヘッドの男は構える。


「メグたんとは、担当の割り振りしかしていないよ。」

とフッと笑うツカサ。


「スカした態度しやがって。

正義が勝たないデスゲームに参加しなければ生きていけないような人殺しの分際で!」

とスキンヘッドの男。


スキンヘッドの男は、ツカサに仕掛けるタイミングを見計らっている。


「スカした態度にもなるよ。


俺は、正義が勝たないデスゲームの治安の悪さにうんざりしている。


治安を悪くする参加者を見つけた俺が何を考えるか、言うまでもないだろう?」

とツカサ。

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