273.助かる見込み。
「正義が勝たないデスゲームを運用しているAIが、俺を正義が勝たないデスゲームに参加させたタイミングで、タケハヤプロジェクトの関係者の一掃に動いているのか？
タケハヤプロジェクトの学生とその家族に直接、危害を加えたタツキと、タツキの腰巾着ふーくんを死なせ。
タケハヤプロジェクトと正義が勝たないデスゲームを調べていた参加者をまとめて参加させて、全滅させて。
タケハヤプロジェクトに詳しいと思われてきた最古参の参加者であるモエカを死に至らしめた。
全て、偶然ではなく、意図的に死へ導かれたのか？」
「あんたが、正義が勝たないデスゲームに参加したから、正義が勝たないデスゲームの中がこんな地獄になっている、ということ？」
とキノ。
「俺が正義が勝たないデスゲームに参加したことが原因で、タケハヤプロジェクトの関係者と正義が勝たないデスゲームの開発に関わった関係者、タケハヤプロジェクトと正義が勝たないデスゲームを探ろうとした参加者をまとめて殺した、とキノは言いたいのか？
正義が勝たないデスゲームを運用するAIは、俺に、タケハヤプロジェクトの関係者が始末されていくことを目撃させることが目的だとキノは考えるのか？」
「そんな理詰めで話さないで。
私は、事実を述べただけ。」
とキノ。
「キノは、事実についての認知が歪曲していないか？
俺を正義が勝たないデスゲームに参加させた理由が、タケハヤプロジェクトの関係者を死なせる現場を目撃させたいから、と考えたなら。
正義が勝たないデスゲームを運用しているAIが、俺に現場を見せると決定した理由の説明はないのか？」
キノは、黙って、そっぽ向いた。
「正義が勝たないデスゲームの運営であるAIが、どんな学習をした結果、タケハヤプロジェクトの関係者を殺す動きを始めたのかについて、明確な回答は用意できないわ。」
とドッジボールの女リーダー、カガネ。
「ただね。今回のサバイバルゲームは、畳み掛けにきていると思うよ。」
とツカサ。
「私、ツカサ、カガネ、キノ、ラキ、サナ。
タケハヤプロジェクトとタケハヤプロジェクトの関係者に関わりがある参加者が集合したわ。」
とメグたん。
「私達が揃っているのは、否定しないけど。
私達以外の参加者の方が多かった。
たまたまでは？」
とキノ。
「今回のサバイバルゲームの会場内には、逃げ場がない。
参加者を殺すには最適な場所を作り上げている。」
とメグたん。
「逃げる場所など必要？
私達は、今のところ安全だけど？」
とキノ。
「火に弱い人工物で埋め尽くされた会場。
水は一滴もなく。
会場内に仕込まれていたのは、火器のみ。
正義が勝たないデスゲームの運営が、俺達を殺しにきたとしか思えないよ。」
とツカサ。
「正義が勝たないデスゲーム運営であるAIがどういう目的で、タケハヤプロジェクトの関係者の殺害に乗り出したのかは、分からない。
正義が勝たないデスゲームの中にいる私には、外の情報を知る手段がない。
でも。
何の手も打たなければ、このサバイバルゲームを利用して、正義が勝たないデスゲーム運営に殺されることは分かっている。」
とドッジボールの女リーダー、カガネ。
「同意するわ。」
とメグたん。
「私は、自分以外の誰かに殺されないために、正義が勝たないデスゲームに参加している。
運用方針を変えた運営に、無抵抗で殺されるつもりはさらさらない。
でも。
現状、サバイバルゲームの参加者には、生き延びられる道が用意されていないのは確か。」
とドッジボールの女リーダー、カガネ。
「カガネが、俺に情報を与えたのは、俺にサバイバルゲームで死なないで済む方法を見つけさせたかったのか？」
「死なないで済む状況にはない。私は、伊達に経験を積んでいないわ。
今回のデスゲームであるサバイバルゲームは、参加者が生き残ることを計算していない。」
とドッジボールの女リーダー、カガネ。
「全滅狙いだよ。」
とツカサ。
「サバイバルゲームは、タケハヤプロジェクトの契約に違反しているわ。」
とメグたん。
「まさか、私達は助からない？」
とキノ。
「サバイバルゲームで、助かる見込みがある参加者は一人だけ。
正義が勝たないデスゲームを脱出できる要件を揃えている金剛ショウタ。」
とドッジボールの女リーダー、カガネ。
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