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259/469

259.支援団体に、女優復帰というエサをチラつかされて、支援団体とずぶずぶの関係になっていったキノ。

「支援団体が口利きして、役をおさえていても。


死にかけているキノに女優復帰など不可能。


死にかけるような傷を負うことをキノ自身が避けようとした理由でもある。


となると。


キノにおさえられてあると告げられた役は、キノのためにおさえてある役ではないのではないか。


事務所の他の女優に決まっている役のことを、支援団体は、それらしく、キノに語っただけではないのか?」


「キノに聞いてみたら?


女優復帰出来たかどうか。」

とキノ。


「分かっているくせに、私に言わせようとする。」

とキノ。


キノは、ドッジボールの女リーダーを睨んでから、俺の疑問に答えた。


「あんたの推測は、しょせん、推測の域を出ない。


支援団体が、私の役をおさえなかったかどうかなど、私に分かるわけがない。」

とキノ。


「キノは、女優に復帰しなかったのか。」


俺の疑問は解決したが、キノは、支援団体への不満を溜め込んでいたようだ。


「ツカサのファンは、死んだのに。


ツカサは、私の前から姿を消した。


私は、ツカサと結婚もできなければ、女優にも復帰できなかった。」

とキノは恨み言を言い出した。


「キノの行動理由となった二つは、二つとも、叶わなかったか。」


女優復帰だけではなく、ツカサとの結婚についても、支援団体はキノの望みを叶える予定がなかったのではないか。


「支援団体は、私が台本通りに動かなかったせいで、ツカサがいなくなったと責めた。


役者のためにならない台本を書いて渡してきたから、私がアドリブでうまくやり遂げたのに。


ツカサを見失ったのは、支援団体の落ち度。


ツカサがいなくなって困ったのは、私。


支援団体は、頑なに自分達に落ち度があると認めなかった。


私は、支援団体との付き合いにウンザリしたから、どこかにぶちまけようかと考えた。」

とキノ。


キノがアドリブにはしるのは、台本がキノに合っていないとキノ自身で判断した結果か。


ドッジボールの女リーダーは、キノの瞬発力を台本が台無しにしないように、と話していた。


ドッジボールの女リーダーは、キノの行動を先読みして制御していたからこそ、キノに瞬発力を発揮させることができた、ということか。


「本気でぶちまけようとしていたら、ぶちまける前にキノは支援団体に消されたのではないか?」


キノは、正義が勝たないデスゲームに参加するまで、日常を脅かされることなく生活できている。


口では色々言っているが、キノは、考えただけで、支援団体に逆らう行動はとっていない。


なぜなら、自身の身の安全が担保されなければ、キノは動かない。


「キノへの理解が進むわね?」

と上機嫌なドッジボールの女リーダー。


「喜ばしくもなんともないが?」


ドッジボールの女リーダーは、声を出して笑う。


「台本通りの動きをしなかったキノのせいで、ツカサが姿を消したと考えた支援団体は、キノに別の仕事を持ってきた。」

とドッジボールの女リーダー。


「さらに別の仕事を支援団体からもらっていたのか。


キノは、支援団体の下部組織と言えるのではないか?」


「言えないから!


支援団体と仕事をしても。

私には、何の旨味もなかったから。


大型新人は、どんどんステップアップしていったのに。」

と恨めしげなキノ。


支援団体の仕事を引き受けるきっかけは、キノにとって、悪い話ではなかった、ということか。


事務所に女優を引退させられたキノは、女優に復帰したがっていた。


女優の仕事がある、というフレーズは、都合よくキノを転がすために使われていたような気がする。


「キノが支援団体から指示された次の仕事は、何か?」


「タケハヤプロジェクトの学生の炎上案件。」

とドッジボールの女リーダー。


「炎上案件限定か?


まとめは、キノにとって、仕事ではなかったのか?」


「まとめは、炎上案件で集まった情報をキノが公開しただけ。」

とドッジボールの女リーダー。


「支援団体の仕事を引き受けても、守秘義務はないのか?


情報漏洩で、キノ自身がいつ炎上してもいい状態だったのではないか?」


「私は、キノをまとめの解説にさらすとき、何の情報をさらすかは、慎重に選んだわ。


キノの炎上をコントロールするために。」

とドッジボールの女リーダー。


ドッジボールの女リーダーは、キノが知られたくなかった情報については、秘匿し通したと話していたことを俺は思い出した。


ドッジボールの女リーダーは、キノと支援団体のずぶずぶな関係をまとめの解説にあげなかったのか。

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