24.ラキちゃんは、男リーダーに提案した。男リーダーは、ラキちゃんの提案を利用した。意表をつかれたはずのラキちゃんは?
男リーダー、タツキの話し合おう提案に対して、ラキちゃんは淡々としている。
「話し合いは、あなたが私と同じ条件になってから。
リーダーは、ふーくんに私を襲わせた。
私は返り討ちにした。
私とリーダーを同じ条件にするには、まず、リーダーが襲われる必要がある。
ドッジボールの試合中だから、リーダーが外野に集中攻撃されたら済む。
リーダーは、持ち点をどこまで減らす?
リーダーの持ち点をゼロにしたら、話し合いをする時間がなくなる。」
とラキちゃん。
男リーダーは、何か閃いたらしい。
「試合を再開する。」
と言った。
女リーダーチームは、男リーダーチームのゴタゴタなど我関せず。
外野が内野を攻撃し続けている。
画面に、彼女が映った。
彼女は、ボールを使っている。
球技が得意か、直接聞いたことはないけれど、俺の知る彼女は、アクティブだった。
アクティブさは、変わっていないのかもしれない。
なんだか、ほっとする。
昔と何もかも変わってしまっていたなら、これから彼女と会ってもどうしたらいいか。
久しぶり、と声をかけることになるのか?
旧交を温める?
彼女が、デスゲーム内でしてきたことを忘れたりはできない。
以前みたいに、彼女の横に並ぶことは、彼女の凶行を知る今となっては、もう怖くてできない。
試合を再開した男リーダーチーム。
男リーダーは、試合再開後、すぐに、命令だ!と言った。
「攻撃は、内野の女に集中しろ。ラキちゃん、とかいう女だけを狙え。」
と男リーダー、タツキは叫んだ。
ラキちゃんの作戦を逆手にとったか。
ラキちゃん、どうする?
外野の二人は、ラキちゃんを的に定めた。
ラキちゃんが、絶体絶命!
俺は、手に汗握った。
が。
次の瞬間、俺の汗は、冷たい汗に変わっていた。
ラキちゃんは、標的にされたと知るやいなや。
迷わずふーくんの元へ。
そして、体育のときの、膝を曲げる三角座りをすると、ふーくんを盾にするかのように、持ち上げてかぶった。
布団をかぶるかのように。
ラキちゃんは、ふーくんで、体をカバーした。
体育会系の筋肉質じゃないとはいえ、ふーくんの体を持ち上げ続けるのは、ラキちゃんの腕力では厳しい。
ラキちゃんが体だけをカバーしているのは、顔面セーフがルールだから。
顔面に当たる分は、減点されない。
ふーくんは、ラキちゃんの上で、飛んでくる飛来物に当たって、痛い、痛いと唸っている。
ふーくんの怪我は、片足の足首と顔面。
ふーくんが這ってでも、移動しようとすれば、移動できていたかもしれない。
ラキちゃんが、ふーくんを盾にするとは、誰も考えなかった。
予測不能で、不意打ちした、ラキちゃんの勝ちか。
「顔だ!顔を狙え!」
と男リーダー、タツキ。
「顔?顔はセーフだろ?」
と、外野にいるテニス経験者っぽい男。
「セーフなだけだ。狙うなというルールはない。」
と男リーダー、タツキ。
セーフだから、何発でも顔面に当てていけ、か。
男リーダーによって、ナチュラルにリンチの構図が仕上がっていく。
「ルール通りなら、泣かせてもいいんだ?」
とテニス経験者っぽい男。
紅一点は、一切ブレずに、ふーくんに的を絞って、投げている。
「ラキちゃんだっけ。
ごめんね、ラキちゃん。
俺、リーダーの命令には逆らえないんだ。
俺のことは悪く思わないでくれたら、嬉しいな、ラキちゃん。
リーダーは、泣き顔が見たいようだから、早めに泣いたら、顔の形が変わる前に終わるかもよ?」
とテニス経験者っぽい男は、ダーツでもフリスビーでもなく、ボールを手にとった。
「おおっと。」
とテニス経験者っぽい男は、ボールを投げようとして、反対側の手に投げた。
「至近距離過ぎて、外すのが難しいくらい。」
とテニス経験者っぽい男は、片手でボールをくるくる回している。
いつ投げるのか、はっきりさせないことで、ラキちゃんにストレスを与えるつもりなのか。
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