234.ドッジボールの女リーダーとふーくんにトレードを申し入れた女の会話が、噛み合わなくなったのは?『私が合わせるのを止めたから。』
「自分が死にたくないから、あんたは、私をさらした。
炎上するだけなら、命まで取られない、と思った?
炎上を軽く考えすぎ!
私は、命を狙われていた!」
とドッジボールでふーくんにトレードを申し入れた女。
「私の身代わりで炎上したと考えているなら、考えるのは無駄だから、やめたら?
遅かれ早かれ、キノは炎上した。
炎上した後に、命を狙われることはおかしくないわ。
炎上は、こいつなら、何をしても社会的に許されるという旗が立てられた状態。
社会的に許される、という範囲は、人によって違う。
キノなら、殺しても問題ないと考えた人がいて、実行に移そうとした。
それだけ。
キノの炎上は、私が炎上させたことで、炎上するのが一日や二日早くなっただけのこと。
私を恨むくらいなら、キノ自身の浅はかさを恨む方が筋が通っているわ。」
とドッジボールの女リーダー。
「私の情報をさらしたことに対する言い訳が、それ?」
とドッジボールでふーくんにトレードを申し入れた女。
「あのタイミングでの炎上は、私によるもの。
誰が何をどうしたせいで、キノが炎上したか?
炎上させた目的は何か?
そんなもの、知ったところで、キノに得るものはあった?」
とドッジボールの女リーダー。
「得るもの?
あったわ。
私の苦痛の原因を作ったのが、誰か、分かった。
炎上させてほしいと頼んでいないのに、あんたは、わたしを炎上させた。
あんたは、自分が助かるために、私を炎上させておきながら、悪びれない。」
とドッジボールでふーくんにトレードを申し入れた女。
「キノが頼んでいないことがなされた。
それは、騒ぐほどの問題?
炎上した学生は、誰一人として、炎上させてほしいと頼んでいなかった。
キノがまとめにあげていた学生のことよ?」
とドッジボールの女リーダー。
「私は、学生とは無関係。
巻き込まれただけ。」
とドッジボールでふーくんにトレードを申し入れた女。
「キノには頼まれなかったけれど。
よりひどい炎上になる前に、機転を利かせた私が、キノを炎上させた。
キノにとっては幸運だったわね。
私が炎上するネタを提供したから、キノが本当に隠したかった情報はさらされていない。
キノは、私に感謝するといいわ。
キノの炎上が、キノのまとめていた学生の炎上と同じパターンをたどらなかったのは、私のおかげ。
正義が勝たないデスゲームでも、私と一緒にいるおかげで、キノは一人ではない。」
とドッジボールの女リーダー。
「私を炎上させたことを悪いとは思わないということ?」
とドッジボールでふーくんにトレードを申し入れた女。
「そうよ。
さっきから、キノのことばかり話していたけれど。
私が炎上の瀬戸際にいることには変わりがなかった。
キノが炎上しているとき、私は、いつ炎上してもおかしくない状態だった。
私は心穏やかに過ごすことにしたわ。
キノとは気が合ったから、正義が勝たないデスゲームに、キノが来て良かったわ。」
とドッジボールの女リーダー。
「良くない!
私は、正義が勝たないデスゲームに来たくなかった!」
とドッジボールでふーくんにトレードを申し入れた女。
「どうして、私が、キノの情報をまとめの解説に書いたかというと、キノに会いたかったから。
まとめを作ったキノに。」
とドッジボールの女リーダー。
「気持ち悪い。
あんた、私のストーカーだったの?」
とドッジボールでふーくんにトレードを申し入れた女。
「ストーカーなら、キノが好き。
私は違う。」
とドッジボールの女リーダー。
「まとめを作ったキノに会いたかったのは、まとめを作ったキノに文句を言ってスッキリしたかったから。
残念だったわ。
キノに文句を言っても、私と同じ賢さでないキノは、私が何を言ってるか理解できない。」
とドッジボールの女リーダー。
「なんで、私達の話は、急に全然噛み合わなくなったわけ?」
ドッジボールでふーくんにトレードを申し入れた女キノは、女リーダーとの会話の成り立たなさに苛立ち、絶望を深めている。
「私が、百パーセント、キノに合わせるのを止めたから。
私とキノが会話するには、私の歩み寄りが必要だったからね。」
とドッジボールの女リーダー。
キノと呼ばれている、ドッジボールでふーくんにトレードを申し入れた女は、何かを言おうとして、口をつぐんだ。
「キノは、どこへなりとも行けばいいわ。
私は、キノを縛り付けてはいない。」
とドッジボールの女リーダー。
ドッジボールでふーくんにトレードを申し入れた女は、ふいっと顔を背けると無言で歩き出した。
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