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231.『正義が勝たないデスゲームの中にきてまで、タケハヤプロジェクトの関係者の関係者であることを隠す必要はないわ。』

「私は、まとめの解説を作っていくうちに、危ないことに手を出したことを自覚した。


自分が危ないことをやっていると気づいたときに、人は何を考えると思う?


危なさの種類にもよるけれど。」

とドッジボールの女リーダー。


「危ない目にあうことを回避しようとするのではないか。


危ない目にあうのが、好きだとか、危ない目にあわなければ生きていけないというような特殊な状況下にいない限り。」


「私もそうしたわ。」

とドッジボールの女リーダー。


「危ない目にあわないために私がしたことは、何だと思う?」

とドッジボールの女リーダー。


「疑問形にしないと話せないのか?」


「頭を使うよりも、すぐに答えがほしいタイプ?」

とドッジボールの女リーダー。


「問答の時間が無駄だからだが?」


一分もかからないだろう答えを聞くために、十分も問答するなど、正気を疑う。


ドッジボールの女リーダーは、俺の顔をまじまじと見てから、あんたに会話をする気がないなら仕方がない、と俺との問答を諦めた。


「まとめの解説を作った私が炎上させられるのは、時間の問題だと、私は予想した。


炎上対策として。


私が炎上させられる前に、まとめを作ったキノの情報を、まとめの解説に上げた。


まとめの解説にあがったキノは、順調に炎上。」

とドッジボールの女リーダー。


「まとめの方にも、まとめを作った人が炎上しているという炎上ネタをあげたのか?」


「まとめの解説にあげたのは、私。


まとめに炎上ネタとしてあげたのは、他の誰か。」

とドッジボールの女リーダー。


他の誰か?


まだ、他に関係する誰かがいるのか?


学生の炎上ネタがあがっているまとめ、と、炎上した人について解説している、まとめの解説に関係してくる誰かは、どの関係者の関係者か?


「まとめに、まとめを作ったキノという女の炎上ネタをあげた誰かを知っているか?」


「知らないけれど、想像はつく。」

とドッジボールの女リーダー。


確認してしまうか。


「タケハヤプロジェクトの関係者の関係者、で合っているか?」


俺の確認に、ドッジボールの女リーダーは、動揺を見せず、怒りも悲しみもあらわさなかった。


ドッジボールの女リーダーが、唯一見せた感情は。


喜び、だった。


ドッジボールの女リーダーは、正体を言い当てられて喜んでいた。


「アタリ。私は、どの関係者だと思う?」 

とドッジボールの女リーダーは、はしゃぐ。


「タケハヤプロジェクトの関係者の関係者であることを否定はしないのか。」


「正義が勝たないデスゲームの中にいる限りは、否定する必要がないわ。」

とドッジボールの女リーダー。


「正義が勝たないデスゲームに来る前は、タケハヤプロジェクトの関係者の関係者であることを否定しなくてはいけなかったのか。」


タケハヤプロジェクトの関係者の中でも、タケハヤプロジェクトの代名詞になるくらいの中心人物の関係者であった、ということか?


タケハヤプロジェクトの中心人物か。


「タケハヤプロジェクトの名称を知っていて、北白川サナについても知っているなら。


佐竹ハヤトの関係者か?」


「ハズレ。もう一度。」

とドッジボールの女リーダー。


「北白川サナか?」


「学生のサナのことは、調べれば簡単に分かる。


タケハヤプロジェクトの始まりは、何も隠されていなかったわ。」

とドッジボールの女リーダー。


何も隠されていなかった、ときたか?


「タケハヤプロジェクトの始まりを知っているのか?」


タケハヤプロジェクトが正常に機能していたときを知っている人間が、正義が勝たないデスゲームの中にいるのか?


「ヒントをあげる。タケハヤプロジェクトを始めたのは、誰?」

とドッジボールの女リーダー。


「佐竹ハヤトだろう?」


「これだから、深く考えない頭は。」

とドッジボールの女リーダー。


ラキちゃん以外の女は、失礼な話し方が標準装備なのか?


「タケハヤプロジェクトと聞いて、佐竹ハヤト以外の名前を答えるか?」


「ハズレ。

始めたのは、違う人。


頭を使って。

タケハヤプロジェクトが立ち上がるきっかけは、何だった?」

とドッジボールの女リーダー。


思い返してみるか。


「タケハヤプロジェクトは、若手な官僚が高校生と大学生に限定して、自由な発想や意見を募ろうとしたのだったか?」


「意欲のある学生を募集して、自由な発想や意見を募ったのは、学生自身ではないわ。」

とドッジボールの女リーダー。


「確かに。


学生は、集められてきただけ。


学生から意見を募ることを計画して、実行に移したのは、学生ではなく、若手の官僚だ。」


「若手の官僚が動かなかったら、タケハヤプロジェクトは、そもそも始まらなかった。」

とドッジボールの女リーダー。


「学生の自由な発想や意見を募ろうと企画し、提案し、実行に移した若手の官僚の関係者か?」


ドッジボールの女リーダーは、喜色満面になった。


「アタリ。」

とドッジボールの女リーダー。


「正義が勝たないデスゲームに、タケハヤプロジェクトの立ち上げのきっかけとなった若手の官僚の関係者がいるのか。」


俺は、今さらながら、驚いた。


タケハヤプロジェクトの関係者に若手の官僚がいたことを、俺は、今の今まで失念していた。


始めようと声をあげて、段取りを組む人がいなければ、タケハヤプロジェクトの前身となる集まりは、始まらなかった。


タケハヤプロジェクトは、若手の官僚の熱意から始まったプロジェクトだ。


「タケハヤプロジェクトに参加した学生は、軒並みひどい目にあっていると思う?」

とドッジボールの女リーダー。


「ひどい目にあっていると言える。」


佐竹ハヤトとモエカと北白川サナと、タケハヤプロジェクトの学生の姿を順番に思い出しながら、俺は答えた。


そのとき。


「ひどい目にあったのは、学生だけだと思った?」

とドッジボールの女リーダー。


ドッジボールの女リーダーの声は、研ぎ澄まされていた。


ドッジボールの女リーダーの言わんとしていることが、俺の中で結びつくまでに、一拍以上かかったため、俺は黙っていた。


「いいわね、学生は、数が多くて。


傷つき合った者同士で仲間意識を育てて、結束できて。


しかも、タケハヤプロジェクトの学生は、一人ではない。


学生は、子どもだから。


家族が助けてくれる。


家族以外も。


子どもは、一人前ではないから。」

とドッジボールの女。


俺は、ようやく、ドッジボールの女リーダーの言わんとしていることに気づいた。


「タケハヤプロジェクトの発起人として動いていた若手官僚のことは、誰も話題にしない。


確かにそこにいた人が、まるで最初から、そこにいなかったかのように。


誰も、その人のことを語らない。


官僚も。

国も。

学生も。


タケハヤプロジェクトを乗っ取ろうと、若手官僚と学生を追い込んだやつらも。」

とドッジボールの女リーダー。


ドッジボールの女リーダーの素性に見当がついた。


「一人前で、助けてくれる人がいないというだけで、志半ばで散った若手官僚がいる。


タケハヤプロジェクトの関係者で、一番最初にひどい目にあったから。


若手官僚が、苦しんでいるときを誰にも知られなかった。


本当にそう思う?


信じられる?」

とドッジボールの女リーダー。


俺は、分からない、と答えた。


安易な同意も疑義も、口にしてはならない、と俺は思った。


「誰にも知られないなど、あり得ないのに?


若手官僚が、自分一人だけで仕事をする?


誰とも関わらず、指示も受けず、相談もせず?」

とドッジボールの女リーダー。



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