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193.ラキちゃん、俺の名前を呼んで、助けて、と言ってくれないか?もう、俺は、ラキちゃんに、逃げようとは言わない。

ラキちゃんが俺と冗談を言い合ったときは、打ち解けたと思っていた。


ラキちゃんは、傷ついていても女刑事だった。


ラキちゃんは、俺に背を向けた。


俺は、ラキちゃんにとって一般市民。


ラキちゃんの相棒でもなければ、ラキちゃんが助けを求めたい男にもなっていない。


俺は、ラキちゃんを連れて、この場から逃げることだけを考えていた。


俺が脱出したあとの正義が勝たないデスゲームで生きるラキちゃんの心配までしていた。


俺は、大馬鹿者だ。


メグたんと戦っているラキちゃんの心配をするなら、ラキちゃんを抱えて逃げる選択は、悪手でしかなかった。


メグたんと戦うラキちゃんに協力して立ち向かうを選択しなかったから、ラキちゃんは、俺を逃がして、一人で戦おうとしている。


俺は、決断を迫られた。


ラキちゃんとメグたんを二人にして、逃げ出し、正義が勝たないデスゲームを脱出するチャンスを待つか。


チャンスを投げ打ってでも、ラキちゃんを助けて、ラキちゃんと共に、メグたんに立ち向かうか。


ラキちゃんは、メグたんの攻撃が三発入って、ダメージを受けている。


ラキちゃんを応援しても、ダメージを受けているラキちゃんと俺とでは、メグたんに一矢報いることができるかどうか。


ラキちゃんが力尽きた後、俺は、どうなる?


ノーダメージのメグたんとメグたんに三発入れられているラキちゃんが戦ったら、あっという間にラキちゃんが力尽きる。


ラキちゃんが動けなくなったら、俺は、一人でメグたんと戦うのか?


俺が、メグたんと戦う理由は、ラキちゃんをメグたんから離して休ませたいから。


ラキちゃんを休ませる理由がなくなったら?


メグたんと戦う理由が俺にはなくなる。


俺は、考えて、結論を下した。


俺は、ラキちゃんに背中を見せられて、ショックだった。


だから。


「ラキちゃん。

挨拶が遅くなったが、はじめまして。

俺の名前は、ショウタ。

俺は、ラキちゃんに名前で呼ばれることを希望する。」


メグたんは、俺の声を聞いても反応しない。


「ショウタ。立ち去りなさい。」

とラキちゃん。


「違う。ラキちゃん。

俺は、ラキちゃんに、名前を呼んで、助けを求められたい。」


メグたんが、吹き出した。


「ショウタ。私はあなたの助けを必要としていない。」

とラキちゃん。


「ラキちゃんに助けを求めてもらえなければ、俺は、勝手に助けに行く。」


「どうやって助ける気?」

とメグたん。


「これから考えるが。

ラキちゃんには、ラキちゃんを助けたい俺がついてくる。」


「正義が勝たないデスゲームから脱出することしか頭になかったのに、どうしたの?」

とからかってくるメグたん。


「正義が勝たないデスゲームから脱出することは諦めていない。


だが。

ラキちゃんを、この場に置いて逃げる考えはもっとない。


俺は、ラキちゃんを助けてから、正義が勝たないデスゲームを脱出する。」


「やる気はあれど、中身は乏しい味方に、ラキちゃんの足を引っ張る以外の何ができるか、テストしてあげようか?」

とメグたん。


安定の、メグたんの塩対応。


「本番だけで十分だが?」


メグたん直々のテストなどうけたら、ろくな目にあわないと予想できる。


余計な体力を使う気はない。


「ラキちゃんは、仲間を一人、手に入れたのね?」

とメグたん。


ラキちゃんは、返事をしない。


「ラキちゃんの返事が聞こえないのは、寂しいわね?」

とメグたん。


ラキちゃんは、喋るだけの体力が回復していない。


ラキちゃんは、立っているだけで精一杯。


俺が、ラキちゃんのためにできることは何か?


メグたんの気を引く役は、俺には向いていない。


メグたんの関心が、俺に向いていない。


今のところは、ギリギリ、会話がメグたんの気を引いた。


メグたんのツボに入る話題を選ぶなら、同じ傾向の話題か。


「俺は、ラキちゃんのドッジボールの試合を見たときから、本物のラキちゃんに会うのを楽しみにしていた。」


「ラキちゃんの仲間は、ラキちゃんのファンだった?」

とメグたん。


「ラキちゃん。俺は、正義が勝たないデスゲームに参加したくて、参加したわけではない。


参加せざるを得なくなった俺は、ドッジボールに参加したラキちゃんの笑顔や、思い切りの良さに釘付けだった。」


「なにそれ。」

とメグたんは、俺の話を聞いている。


メグたんの周囲では出ない話題だからか?


メグたんは、今のところ攻撃をしてきていない。


少しでも、ラキちゃんの休息時間を稼ぐ。


それが、今の俺がラキちゃんに差し出せる救いの手。


「ラキちゃんと実際に会えたら、何を話そうか、と考えてきたが。


俺は、ラキちゃんに、逃げようとしか言えなかった。


ラキちゃんが辛い、苦しい思いをする場所から、逃げる手伝いをすることしか考えられなかった俺は、ラキちゃんに庇われたことで、やっと気づけた。


ラキちゃんの助けにならないなら、俺は、ラキちゃんに逃げようとは言わない。


ラキちゃんが戦うときは、ラキちゃんにお願いされるのを待っている俺の名前を呼んで、助けて、と言ってくれないか?」

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