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184.ハコさんとラキちゃんが、正義が勝たないデスゲームに参加していた理由。

俺は、横にいる北白川サナが、平然と話す様子に少なからずショックを受けている。


北白川サナの感性は、俺寄りだと思って、安心しきっていた。


俺は、思い違いをしていた。


「学習させた?誰が?」


「知らないです。

ハコは、ハコらしさを貫いたことで、反感を買いながらも、長生きしたです。


正義が勝たないデスゲームの参加者にしては。」


「長生き、か。ラキちゃんは、生き延びられると思うか?」


「思わないです。」

と即答する北白川サナ。


「ラキちゃんは、正義が勝たないデスゲームに来ない方が長生きできたのではないか。」


「ラキの行き先は、正義が勝たないデスゲーム以外にないです。


ハコが正義が勝たないデスゲームからいなくなったら、ラキが参加者になると決まっていたです。


人事で話がまとまっていたです。


ラキには、どうにもできないです。」

と北白川サナ。


人事と言ったか?

警察のか?


「警察を退職することはできなかったのか?

ラキちゃんも、ハコさんも。」


北白川サナの考えていることに、俺はついていけていない。


俺の理解が、誰かの洞察を下回ることがあったのか。


俺は、滅多にない経験をしている。


「ラキとハコが刑事を辞めたら、警察は、ラキとハコを差し出さないですか?」

と北白川サナは、俺に逆質問してきた。


俺は、俺の認識をまとめてみる。


「ラキちゃんとハコさんは、刑事だったからこそ、警察側が負けた分の敗戦処理になったのではないのか?」


組織の論理で、と続けようとした俺を北白川サナは、すっぱり否定した。


「ラキとハコが刑事でなくなっていたら。


ラキとハコは、何らかの事件の容疑者として拘束されて、取引を持ちかけられるか、脅されるかした上で、正義が勝たないデスゲームに参加するになっていたです。」

と北白川サナ。


「ラキちゃんとハコさんが、正義が勝たないデスゲームに欲しがられていたのか?」


ハコさんの逸話だけでも、ハコさんに正義が勝たないデスゲームに適性があるとは言い難い。


ラキちゃんは、正義が勝たないデスゲームから弾かれまいと頑張っている。


ハコさんの失敗を見ているから、ハコさんの二の舞いにならないようにと、自分自身を叱咤しているのではないか。


「ハコもラキも。


元々、正義が勝たないデスゲーム以外が、欲しがっていたです。


二人に食指を動かしている組織をかわすには、二人が刑事のまま正義が勝たないデスゲームに参加する必要があったです。」

と北白川サナ。


刑事のまま、なのか?


「ハコさんもラキちゃんも、元刑事ではないのか?」


「本人に告げられている建前は、潜入捜査です。」

と北白川サナ。


「正義が勝たないデスゲームの、か?」


「ハコとラキは、正義が勝たないデスゲームに潜入し、正義が勝たないデスゲームの黒幕にたどり着くように、命令されているです。」

と北白川サナ。


俺は、モエカの言葉を思い出す。


『全自動。正義が勝たないデスゲームは、人の関与を排除した。』


正義が勝たないデスゲームの運営は、外から人を送り込む。


外部から送り込んだのは、元タケハヤプロジェクトの学生の一人である北白川サナ。


タケハヤプロジェクトの参加者のメグたんやツカサを送り込む場合は、正義が勝たないデスゲームの参加者と同じ建物内にいるから、正義が勝たないデスゲームの参加者に、タケハヤプロジェクトの参加者と気づかせないように送り込んでいる。


デスゲーム運営は、正義が勝たないデスゲーム内に乗り込んでなど来ない。


「黒幕など、正義が勝たないデスゲーム内には、いないだろう。」


正義が勝たないデスゲームの中ではなく、外から黒幕が調整しているなら、正義が勝たないデスゲームに参加しても、参加者であるうちは、黒幕には会えない。


黒幕に会うとしたら、生きて正義が勝たないデスゲームを脱出した場合のみ。


俺は、気づいた。


北白川サナは、黒幕に会っている。


如月ハコ、ハコさんも、会っている。


ハコさんは、黒幕に何か取引を持ちかけられたのではないか。


女二人が話していたハコさんの台詞がそのままであるなら。


ハコさんは、正義が勝たないデスゲームの黒幕との取引を拒否したために、正義が勝たないデスゲームに戻されたのではないか。


俺は、生きて正義が勝たないデスゲームを脱出したときに、黒幕に会うことになる。


ハコさんが、拒否したであろう取引内容は、何だったのか。


ハコさんとラキちゃんに、潜入捜査が建前だとは知らされていない。


ハコさんとラキちゃんに課せられた、潜入捜査という指令の実態は、何か。


ハコさんとラキちゃんを、死ぬまで正義が勝たないデスゲームに参加させ、正義が勝たないデスゲームの外には一生出さない、という強い意思を感じ取れる。


野村レオの件といい、殺してやりたい、という執念を感じる。


その執念は誰のものか?


警察組織の執念ではない。


執念を向けているのは、警察組織とは、別の何か、もしくは、誰か。


野村レオ、如月ハコ、佐藤ラキの三人の共通点は、タツキとふーくんが、重要参考人だった事件。


野村レオが捜査班に入っていた事件は、捜査に積極的だった捜査関係者を死に至らしめたいと、誰かに願われるような事件だったのか?


捜査関係者の死を執念のように願っているのは、誰か?


「北白川サナは、タツキとふーくんが重要参考人になって、野村レオが捜査班に入っていた事件が、どんな事件で、どうやってタツキとふーくんが逃げおおせたか、知っているか?」

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