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177.女二人が語る、正義が勝たないデスゲームでの如月ハコの振る舞いの数々。『まだ一人も殺していないの?経験値足りてないね?』。北白川サナの元にたどり着くと?

「自分が殺したくない、殺されたくないからといって、他人を巻き込む身勝手さ。」

と後ろの女。


「正義が勝たないデスゲームの参加者を理解しない無神経さ。」

と前の女。


「ハコは、他の参加者の反感を買ったのか。」


デスゲームで敵を量産するとどうなるか。


「殺す場面になると、わざわざ邪魔しにいって、失敗させる。


殺そうとした側の手を握って、殺さないようにするのを諦めないで、地道な努力を続けよう、と説教始める。」

と前の女。


「殺されそうになった側に、今回のことは水に流して、これからは、殺し合わずにうまくやっていこう、正義が勝たないデスゲームが機能不全に陥れば、殺し合わずに済むんだから、と説得するまでが、ワンセット。」

と後ろの女。


「殺されそうになった側にすれば、失いかけた自分の命の権利を、助けてやったハコが主張するようなもの。」

っ前の女。


「殺そうとして失敗した側は、失敗させられて見せ場をなくされたことで、生き延びる可能性が低くなるよ。」

と後ろの女。


女二人の声は、低かった。


「どちらからも恨まれる。」


如月ハコは、正義が勝たないデスゲームについて、どんな説明を受けていたのかは、確かめようがない。


正義が勝たないデスゲームを潰そうとした、ハコの動機は、正義が勝たないデスゲームの参加者には受け入れられなかった。


「そ。ハコがいたときの正義が勝たないデスゲームは、絶対退屈で、視聴者受けが悪かったよ。


正義の味方とか、綺麗事は、金を払って見るものではないんだっていうのに。」

と前の女。


「ハコが、誰も殺さないで、正義が勝たないデスゲームを脱出したのは、正義が勝たないデスゲームにいたらいけないからだよ。」

後ろの女。


「ドッジボールでオウカをかばって、死滅ポイントを一人で稼いだ後。


オウカにもオウカ以外にも助けてもらえなかったハコが、めでたく死亡が確定して、死亡するための部屋行きが決定したときのハコの顔。


見物だった。」

と前の女。


「キョロキョロとキョドるハコに、誰も見向きもしないのは、傑作だった。」

と後ろの女。


俺は、二人の女の話から、一つだけ、有益な情報を確保できた、と思う。


「如月ハコは、脱出する前も、出戻ってきてからも、一人も殺していない、ということにならないか?」


「なる。なる。

正義が勝たないデスゲームに参加しているのに、誰も殺さないんだから、殺されるしかないよね。」

と前の女。


「如月ハコが、正義が勝たないデスゲームを脱出したとき、如月ハコ以外に、人を殺していない参加者はいたか?」


「いなかったんじゃない?なんで?」

と後ろの女。


「如月ハコが正義が勝たないデスゲームを脱出したときに生きていた、人を殺していない参加者で、まだ、生きている参加者がいるかどうか、気にならないか?」


「人を殺していない参加者の動向が気になる?

まだ、誰も殺していないうちは、そういうことを気にしてしまいがち。」

と前の女。


「まだ、一人も殺していないなんて、本気?

人生経験足りてないよ?」

と後ろの女。


「一人、二人、そのへんで動けないのを殺していけば?

抵抗されないよ。」

と前の女は、床に転がっている何人かを指でさしていく。


「あれは?あれは?」

と前の女は、ノリノリで歌い出しそうだ。


「勧めるな。」


「どうせ、あと数時間の命だから、有効活用してしまえば?」

と後ろの女。


「二人は、自分を殺してくれ、とは言わないのか?」


前の女も、後ろの女も、突然話すのを止めて、俺から離れていく。


「殺されたがっている女が、寄ってきたと考えている思考の持ち主。」

と前の女。


俺への誤解が甚だしい。


「他薦をしても、自薦をしてこない。

俺のためを思って勧めるなら、死にかけよりも、殺し甲斐のある活きのいい方にしてこないか?

二人の発言を不思議に思っても仕方がない。」


「殺してやるではなく、殺されにこないのが、おかしい、と人に話せるなら、私達のお節介はいらない。」

と後ろの女。


「待て。

如月ハコが死んだ後、如月ハコの後輩は来たのか?


誰が後輩か、答えてから去れ。」


「ハコと入れ替わりに来た後輩?今日、ちょうどいる

よ。ラキがそうだよ。」

と後ろの女。


「この辺りには、見当たらないが?」


「ラキにも、秘密を教えてあげたからね。今は忙しくしている。」

と前の女。


「何を話した?」


「秘密だよ。」

と後ろの女。


「誰かに言ったら秘密にならない。」

と前の女。


俺は、前後の女がいなくなって、歩きやすくなった道を進み、北白川サナの元にたどり着いた。


「早く行け。」


「こっちを見るな。」


「期待するな。」


「フラレているんだ、期待するな。」


途中、途中に転がっている参加者のうち、意識がある参加者は、俺が顔を向けると、俺を追い払う言葉を吐いてきた。


最後の一人は、俺を誰か間違えたか?


もう何年も歩いていない繁華街のキャッチとは、話が続いたことを思い出した。


ついていく予定はなかったが、たまたま人と話す気分だったから、歩きながら話していた。


正義が勝たないデスゲームのキャッチは、露骨に逃げていくこともあるのか。


女二人は、俺が、誰かを殺すように仕向けたがっていた。


女二人は、命を賭けるほどの強い思いで、俺に人殺しを勧めてはいなかった。


俺が人殺しになっていないことへの妬みと羨望か?


俺に人殺しになって、女二人と同じところに墜ちてほしいという思いが、話全体から見えていた。


北白川サナは、近づいていく俺に不機嫌だから機嫌をとって欲しがっているんだとアピールしてきた。


「遅かったです。私は待ったです。」


北白川サナは、両腕を組んで、俺を見ている。


「さあ、怒っている私の腕に語りかけて、怒りをといて、慰める時間の始まりです。」

と北白川サナ。



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