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170.俺は、正義が勝たないデスゲームに参加して、関わらないでいた世の中に目を向けた。俺は、ずっと、佐竹ハヤトの思考をたどっている気がする。

「冥土の土産に使えない情報を寄越すとは、ツカサに踏まれているだけはある。」


「ああ?」

とツカサに踏まれている男。


「ツカサに踏まれている男の余計な思いつきで、ツカサに頼めなくなった上に、ツカサに頼んでも脱出できなくなった。


ツカサと太客が、ツカサを介して、正義が勝たないデスゲームから、参加者を生きたまま脱出させているとバレているなら、もう同じ方法は使えない。」


ツカサが外部と連絡を取れる立場にいることは、間違いない。


ツカサが繋がりのある外部が、デスゲーム運営か、それ以外か、がまだ分からない。


いずれにしても。


脱出方法については誤魔化しておく方が、俺は動きやすくなる。


だから、ツカサに踏まれている男の主張とは微妙に違う話を重ねる。


ツカサと太客が、脱出する参加者を決めているように俺は話をしたが、ツカサと太客が脱出者を決めているとは、勿論考えていない。


ツカサの太客の投げ銭が、デスゲーム運営を動かしている可能性も低い。


俺がすべきことは、デスゲーム運営に警戒されないように情報集めること。


「俺のために、もっと有益な情報を寄越せ。


正義が勝たないデスゲームを有難がっているのは、デスゲーム愛好家以外にいるのか?」


「デスゲーム愛好家。」

とツカサは吹き出した。


「正義が勝たないデスゲームは、刑務所とは違って年季がない。


刑務所より良い暮らしはできるが、参加者は全員、デスゲームで死ぬ。


服役の代わりにするには、人道的ではない。」

とツカサに踏まれている男。


「服役の代わり?

正義が勝たないデスゲームの話か?」


服役予定者を集めたタケハヤプロジェクトの話を始めるのか?


ツカサは、タケハヤプロジェクトの参加者だから、不思議ではない。


俺は、タケハヤプロジェクトの参加者と正義が勝たないデスゲームの参加者を区別しているが、他の人は、区別しているのか?


「当たり前だ。一瞬で頭の中を空っぽにしたのか?」

とツカサに踏まれている男。


「正義が勝たないデスゲームの参加者の選出基準は、服役予定者だというのか?」


「その証拠にツカサがいる。」

とツカサに踏まれている男。


「他は?」


「ツカサがいれば十分だ。」

とツカサに踏まれている男。


ツカサ以外に名前が出てこないところをみると。


服役しているはずのツカサを正義が勝たないデスゲームで見つけたから、飛びついた、というところか。


「国の金で囚人を養うのを止めて、囚人には投げ銭で、生きていくための金を自分で稼がせる。


稼ぐ手段と衣食住があれば、その日暮らしの質も上がる。


囚人は、稼いでいる間は、復帰後の社会生活を心配する必要がない。


至れり尽くせりだと思うが。」


「正義が勝たないデスゲームは、人殺しになるか、殺されるかしないと生きていけない人生を見世物にしているんだ。」

とツカサに踏まれている男。


「娯楽にならないものに、人は金を落とさない。

金を払って、道徳の授業を見るか?」


「人を殺すのは、人としてやってはいけない。」

とツカサに踏まれている男。


正義が勝たないデスゲームのは、この国の未来に夢と希望を持っていた一人の若者の絶望と復讐から始まった。


若者の未来を奪ったやつらが、のさばっている社会で甘やかされて、甘い汁を吸っているようなやつに、御託を並べられても。


俺は、ツカサに踏まれている男と話すことがつまらなくなってきた。


「思い込みで視野が狭くなっていないか?


正義が勝たないデスゲームを止めさせる大義名分にもなっていない話より有益な話はないか?」


俺の関心がゼロになる前に、俺が興味を持てる話題が出るか?


「正義が勝たないデスゲームに賛同するやつも、考えたやつも頭がおかしい。」

とツカサに踏まれている男。


ツカサに踏まれている男は、俺の地雷を踏んだ。


「この国の囚人は減る傾向にあるか、増える傾向にあるか、考えたか?」


俺の友達の人生を賭けた大仕事を、使えない頭と汚れた口で潰しにきたなら、返り討ちになる覚悟はいいか?


「少子高齢化の人口減少社会で、年金の財源がどうだこうだ言い始めてから、何年目経ったか。


金がない、というのなら、金を稼ぐか、金がかからないようにするかの二択。


囚人を隔離することについて、刑務所と正義が勝たないデスゲームに、違いはないように見えるが、待遇は違う。」


「待遇の違いが、問題になっている。」

とツカサに踏まれている男。


ツカサに踏まれている男に、どこかの回し者感はない。


組織ではなく、個人で動いて、正義が勝たないデスゲームの参加者になったか。


正義が勝たないデスゲームに恨みがある様子はない。


正義が勝たないデスゲームのような新しいものを作り出せない妬みも感じない。


他人が作ったものを批判することで、自己実現欲求を叶えたいのか?



俺は、正義が勝たないデスゲームに参加する中で。


コメントを入れるために、動画を見ていたときとは、違う視点で、物事を考えるようになっていた。


世の中に関わらないで生きていこうとしていた俺の思考とは正反対の世界。


正義が勝たないデスゲームの参加者になったことで、佐竹ハヤトや、初期のタケハヤプロジェクトの学生の思考を辿っている気がする。


「刑務所と正義が勝たないデスゲームの最大の違いは、金を使うだけの場所を、金を生み出す場所に変えたことだ。


金を稼がせて、食い扶持を賄っている限り、生きていていていい。


実に、シンプルで分かりやすく、誰にとっても公平で平等なシステム。」


言葉にすると、実に単純明快。


「国と地方自治体は、過疎化によるゴーストタウン化が進んだ土地を再開発して、住む場所と稼ぐ場所を提供する。


正義が勝たないデスゲームに参加している間、デスゲーム参加者は、囚人ではなく、住人。


住人に収入があれば、税金も徴収できる。


ゴーストタウン化も防げる。


現状、正義が勝たないデスゲームは、この国の地方再生をかなえた、といってもいいのではないか。


正義が勝たないデスゲームは、その名前の通りで、疑問を挟む余地はない。


見ているものが、小さすぎて大局を見れないから、ツカサにつきまとったのか?」


ツカサは、腹を抱えて笑い出した。

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