161.俺は、タケハヤプロジェクトの参加者、ツカサとメグたんに、質問と提案をした。
タケハヤプロジェクトの学生は、モエカだけでなく、全員が、真面目だ。
言われたことを守るタイプ。
ダメだと言われたら、しない。
タケハヤプロジェクトの参加者は、タケハヤプロジェクトの学生とは、正反対。
タケハヤプロジェクトの中で生き抜くために、抜け穴を探して、規則の穴を利用し、快適さを追求してきたものだけが、生き残っている。
タツキに人殺しをさせないように立ち回っていたおーちゃん。
タツキが死んで後に残されたふーくんに、何かを吹き込み、体力をそいで、絶望させて、生きる気力をなくさせて、用済みになったら、死ぬことを受け入れるように仕向けたであろう、テニス経験者っぽい男ツカサ。
モエカを死に導いたメグたんは、モエカ自身と、タケハヤプロジェクトの学生の思い込みを利用して、タケハヤプロジェクトの学生にモエカを殺させたのではないか。
デスゲーム運営によって制裁された、おーちゃんのしたことは、デスゲーム運営の意向に反していた。
テニス経験者っぽい男ツカサが、ふーくんにした、と俺が推測していること。
タケハヤプロジェクトの学生がモエカを殺すように、メグたんが仕向けこと。
テニス経験者っぽい男ツカサとメグたんのしたことは、デスゲーム運営の判断基準のグレーゾーンに入っているか、規約に縛られない範囲ではないだろうか。
テニス経験者っぽい男ツカサもメグたんも、罰を受けないと確信して動いているのではないか。
俺は、タケハヤプロジェクトの参加者の自由裁量を利用して、正義が勝たないデスゲームを脱出することを考えている。
ツカサは、俺が、正義が勝たないデスゲームを脱出する計画を持ちかけてきたことに不快感を表明してきた。
メグたんは?
「知っているのか。
何をしなかったら、五体満足で脱出できる?」
「しなかったら、を聞くの?」
とメグたん。
「脱出できるかどうかは、運ではない。
脱出できる条件などないと俺は予想している。
脱出できない条件が、決まっていて、その条件と合致すると、一生出られないというところではないか?
正義が勝たないデスゲームを見てきて、参加してみた俺は、タケハヤプロジェクトの参加者が、正義が勝たないデスゲーム脱出の鍵を握っていると考えた。
俺が脱出することに、二人が協力するメリットを提案したい。
ツカサとメグたんに提案する二人のメリットは。
正義が勝たないデスゲームの外にいる人へ届けたい伝言を俺が預かる。
返事は預からない。
俺は、正義が勝たないデスゲームを脱出したら、ここへ戻ってはこない。
返事を二人に届けることは不可能。
伝言を預かるだけだ。」
「誰が、そんな条件をのむ?」
とツカサは、ふざけた様子を引っ込めて、机を叩く。
威嚇か?
俺は、大きな物音に怯える小動物ではないが。
「タケハヤプロジェクトの参加者は、正義が勝たないデスゲームの参加者と違って、正義が勝たないデスゲームからの脱出ができないのではないか。
タケハヤプロジェクトの参加者は、あてがわれた建物内で、デスゲームをしながら暮らすことが。
タケハヤプロジェクトの参加者が遵守する条件で、不変の仕様だから。
この先、タケハヤプロジェクトも正義が勝たないデスゲームの仕様も、変更になることはないと思わないか?
触るのが面倒で、誰も、改変に手を付けない。
それとも、佐竹ハヤトの個人技が、効きすぎて、誰も手を加えられない。
以上が俺の推測だ。
だから、ツカサとメグたん、それぞれの伝言を預かる。
ツカサとメグたんにとって、悪くない提案ではなかったか?」
この建物内は、外部から持ち込んだ電子機器を使えなくしている。
佐竹ハヤトが、自死の覚悟を決めて、建物の外に体を躍らせた理由は、建物内では、佐竹ハヤトのスマホが使えなかったから。
佐竹ハヤトが一人で、あれこれ作り上げたタケハヤプロジェクトと正義が勝たないデスゲーム。
俺なら、手を入れることができるかもしれないが、誰にも言う気はない。
タケハヤプロジェクトも正義が勝たないデスゲームも。
佐竹ハヤトの遺したもの。
俺は、友達の生きた証をなくそうとは思わない。
佐竹ハヤトの遺構を残すことより、大事なものなどない。
佐竹ハヤトは、もう生きていない。
佐竹ハヤトは、もう、何も生み出せない。
だから、今あるシステムは、壊さない。
俺は、誰が望もうと、俺のしたいことしか、しない。
それが、俺。
金剛ショウタの生き方。
お陰で、恋人はできたことがなく、友達は一人しかいなかったが、何不自由なく、心穏やかに過ごせてきた。
俺は、俺がしたいことのために、全力を尽くす。
俺の結果を見るのは、まだ早い。
俺は、正義が勝たないデスゲームを脱出する。
ツカサとメグたんの返事は?
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