16.デスゲームの参加者がすることなんて、一つだけ。
幼馴染と判明した女が、邪魔したら殺すと突然言い出したために、男はひいている。
文学好きそうな女が、いきなりイキり出したようにしか見えない。
「殺すって、今頃、厨二病か。」
とふーくん。
「私は、進んでふーくんを殺したいわけじゃない。
私に殺されたくないなら、ふーくんは私の邪魔をしなければいい。
ふーくんを殺したい人の邪魔をする予定は今のところ、ない。」
とラキちゃん。
「俺を殺したい人がいる?そんなわけないだろう。」
とふーくん。
「ふーくんが、死に場所を求めてデスゲームに参加したわけじゃないなら。
ふーくんを死なせたい人が、ふーくんをデスゲームに参加させたってことになる。」
とラキちゃん。
「俺は、普通に生きてきただけで、何も殺されるようなことはしていない。
ラキちゃんは、ヘマしたから来たんだろうけど、俺はヘマなんてしていない!」
とふーくん。
「ふーくんは、現実を受け止める努力をしたら?
ふーくんは、もうデスゲームに参加している。
ふーくんが死んだ方が都合がいい人や、ふーくんの死に様をじっくり見たい人がいて、その人達は、ふーくんがデスゲームに参加することを望んだ。」
とラキちゃん。
「憶測で話すな。そんな人がいたかどうかなんて、実際に分からないだろう。」
とふーくん。
「ふーくんにヘマした自覚がないなら、ただたんに、ふーくんの存在が邪魔だった。
もしくは、デスゲームに参加するふーくんが見たかった、とか。」
とラキちゃん
「邪魔だったら、何してもいいっていうのか。」
とふーくん。
「何しても、というより、ふーくんをデスゲームに送り込んだ人の目的は、ふーくんを死なせることだから。
遅かれ早かれ、ふーくんは、デスゲームで死ぬ。」
とラキちゃん。
「デスゲームに参加しているやつは、全員死ぬのか。」
とふーくん。
「いずれ、ね。デスゲームで人が死ななきゃ、関係者が血祭りにあげられる。」
とラキちゃん。
ラキちゃんは、何も知らなかったふーくんに未来がないと教えた。
男リーダーが、幼馴染男女の元にきた。
「俺と一緒に内野に入ってくれ。」
と男リーダー。
「嫌。」
とラキちゃんは即答。
「考え直してくれないか。他にいないんだ。」
と男リーダー。
「男で揃えたら?
本番で勝ちにいくチャンスよ?」
とラキちゃん。
本番?
後半戦が、デスゲームの本番になるのか?
「男は、ふっしーがいる。ふっしーも、説得してくれ。」
と男リーダー。
男リーダーは、ふーくんをふっしーと呼んでいるのか。
三人体制の内野に体育会系男子が、リーダーしかいないのか?
戦力ダウンも甚だしい。
「一人いれば、十分よね?」
とラキちゃん。
一人って、ふーくんのことか?
「守るから、内野に入ってほしい。」
と男リーダー。
「俺は?」
とふーくん。
「ふっしーは、男だから、頑張れ。」
と男リーダー。
「他に言うことは?」
とふーくん。
「どうした?急に?」
と男リーダー。
「早くここから出たい。いつまでここにいる?」
とふーくん。
「ああ、分かっている。ふっしーは、必ず出す。
三人目を説得してくれ。」
と男リーダー。
ふーくんは、男リーダーに意見したが、軽くあしらわれている。
「リーダーが、この人をここへ連れてきたの?」
ラキちゃんは、ふーくんを指さして、この人と呼んだ。
リーダーは、ラキちゃんを見て、逡巡した。
「リーダーは、自分からここへ来たの?」
ラキちゃんは、挑むようにリーダーを見据えた。
ラキちゃんの目はらんらんとしている。
「ああ、まあ。」
と男リーダー。
「外野にいる女子は、こっちに来てから見繕った?」
と突っ込んで聞くラキちゃん。
男リーダーが、言葉を濁そうとすると。
ラキちゃんは、どうなの?とふーくんに話題をふる。
「先に来ていたからって、親切に色々教えてくれた。」
と答えるふーくん。
ラキちゃんは、ふーんと笑った。
「出てもいいけど、私をさしおいて生き延びられるとは考えないでよね。」
男リーダーに釘を刺すラキちゃん。
男リーダーチームの内野は決まった。
やる気を出したラキちゃん、ふーくんと、男リーダー。
ラキちゃんが、内野に入ることを決めた決定打は、何だったのか。
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