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159.メグたんが、先客のいる部屋に俺を案内した理由。俺とメグたんだけだと絵面が悪い?俺が、メグたんに聞きたかったこと。

俺は、メグたんの目的が分からなかった。


なぜ、俺には、テニス経験者っぽい男ツカサのいる部屋に誘い込まれたのか。


「メグたん。

俺とメグたんが会話するなら、この部屋に来るまでの通路で、歩きながら話せたと思うが。


わざわざ、他の人が使っている部屋に入って話す理由は、何かあるか?」


俺の声は、メグたんとツカサを警戒して、かたくなっている。


モエカが忠告したタケハヤプロジェクトの参加者の2人と、一部屋におさまるのは、尻の座りが悪い。


「今どき、珍しい、考える人だよ、メグたん。」

と先客が茶化す。


メグたんは、ため息をついた。


「金剛くんだったわね?


金剛くんは、私とツカサが話している画面を見ても、誰も不快に思わないことを理解できるわね?」

とメグたん。


俺は、メグたんに喧嘩を売られているのか?


俺のムッとした感情に、先客ツカサが反応した。


「メグたんの新しいおトモダチは、金剛くんというんだ?


メグたん、金剛くんは、自己評価高い系だよー。


メグたんのおトモダチには向いていないって。」

とツカサ。


自己評価を低く見積もる理由が、俺にはない。


ツカサの物言いから推測すると、メグたんは、自己評価を低く見積もる人を使うことに長けているということか。


メグたんをからかうツカサは、人好きのする表情で笑っている。


俺を見ながら笑うツカサの目は、メグたん同様、感情を映していない。


俺を見定める目。


瞳の中にどんな感情もこもっていないツカサの目。


直視しないと気付けない人もいるだろうか。


陽気で、馴れ馴れしいくらいに距離を縮めてくる言動のツカサ。


こちらから観察しなければ。


人好きのするコミュ力のある青年にしか見えない。


誰かに迎合したい、集団の中に入っておきたい人は、ツカサと話したがる、か。


俺は、他人に流されて生きる事を楽だとは思わないから、相容れないが。


「理解が及ばないので、説明を求めたい。」


「金剛くんは、真面目くんだー。」

とテニス経験者っぽい男ツカサ。


「私とツカサがいる状況なら、あなた一人増えても、画面越しには、置物が増えたように感じるだけ。


私とあなたが2人でいるところを見たがる人はいない。


ツカサが私といるから、あなたは、私と話ができる。


理解した?」

とメグたん。


「メグたんと俺が、二人でいることは、絵面的に良くない、と言いたいのか?」


「見た目は、人を選ぶ。

画面を見ている人は、私が誰といるか、を気にするわ。」

とメグたん。


「たしかに、メグたんに、金剛くんだけだとバランスが悪いからね。


メグたん、俺、金剛くんだと、ナイスチョイスと言われるよ。


俺、イメージいいから。」

と、テニス経験者っぽい男ツカサ。


俺は、やっとメグたんの意図を理解した。


配信されているから、か。


メグたんは、メグたんと同じ画面に映るには、俺と二人では釣り合わない、と判断した。


メグたんと釣り合いがとれる男として、メグたんが、合格を出したのが、テニス経験者っぽい男ツカサ。


「絵面が重要か。」


「見る価値のあるものか、否か、を判断する側に立ったことがあれば、分かるだろう?」

とテニス経験者っぽい男ツカサの朗らかさは変わらない。


「美しいものの横には、美しいもの。」

とメグたん。


「徹底しているねー、メグたん。」

とテニス経験者っぽい男ツカサは、ニヤニヤ。


「美しいものが、汚れたものの横にあると、美しいものの価値は急落する。


美しく、価値あるものが、誰でも手を伸ばせる陳腐で滑稽なものに、成り下がるのは、あっという間。


誰にでも優しい女に寄ってくる男は、優しさがなくては構われないような男。


私は、自分の価値を下げる男とは、いないわよ。」

とメグたん。


「はっきりしている美人は、分かりやすくて助かるよ、メグたん。」

とテニス経験者っぽい男ツカサ。


メグたんと、テニス経験者っぽい男ツカサは、正義が勝たないデスゲーム中だけではなく、日常を観察されることに慣れていて、日常での見せ方を心得ている。


タケハヤプロジェクトでは、この建物での生活が、監視を兼ねて、デスゲーム中に限らず配信されていたか。


メグたんとテニス経験者っぽい男ツカサは、感触からしてアタリ。


二人は、タケハヤプロジェクトの参加者か。


「理解した金剛くんは、私と何を話したいの?」

とメグたん。


「五体満足で、正気を失わずに、正義が勝たないデスゲームを脱出する方法はあるか?」


「金剛くんって、恐れ知らずだよねー?」

とテニス経験者っぽい男ツカサは、目に感情を乗せない笑顔を俺に向ける。


「死んだやつもいれば、生きて出ていったやつもいるだろう?」


ラキちゃんの同僚で、刑事だったハコさんとか。


「脱出する気なんだ。へー。

金剛くんは、お笑いの才能があると言われたことある?」

とテニス経験者っぽい男ツカサ。


「ないが。」


「あははは、俺、金剛くんは、笑いを取りに来たのかと思った。」

とテニス経験者っぽい男ツカサは、笑う。


「真剣だが?」


「くだらないことに、時間使いやがって。」

とテニス経験者っぽい男ツカサの小さな声。


俺は、ツカサにはコメントせずに、メグたんに質問した。


「メグたんは、知らないか?」


「金剛くんは、自己評価高い系だからー。」

とテニス経験者っぽい男ツカサが茶々を入れてくる。


「知っているけど、それが?」

とメグたんは、表情のない顔で、俺のいない場所を見ている。


一筋縄ではいかないか。

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