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145/466

145.タケハヤプロジェクトの学生は、人質か、人身御供か?何のために生かされているのか?生きていくことに、意思も希望も必要とするのか?

「タケハヤプロジェクトの学生自身に生きる価値があるかどうかをはかる方法は後回しにする。」


「なぜだ?」


食いついてきた、ということは、デスゲーム内で生き延びる方法に興味があるのか?


それとも、興味の有無に関わらず、自分だけが知らないという状況を作りたくないのか?


「先に、タケハヤプロジェクトの学生が取り巻く環境を説明すると、理解が早くなる。」


これから俺が説明する筋道は、正義が勝たないデスゲーム内で生きていく上で、という注釈がつく。


「タケハヤプロジェクトの学生に生きる価値があるかどうかの決め手になるのは、何か?


タケハヤプロジェクトの学生を心配しているデスゲームの外にいる人達が、どちらの勢力かによる。」


「正義が勝たないデスゲームに参加している俺達ではなく、正義が勝たないデスゲームに参加していない人達の動向が、俺達の生存価値を決める?」


タケハヤプロジェクトの学生の何人かは、不快そうに顔をしかめている。


「タケハヤプロジェクトの学生を心配している人達が、支援団体側についているなら、タケハヤプロジェクトの学生は見せしめに生かされていることになる。


デスゲーム運営についているなら、生きている姿を配信で確認できるように、生かしておいたということだ。」


「俺達は、人質の扱いをされている?」

タケハヤプロジェクトの学生は、しかめっ面で聞いてきた。


「支援団体の側についているなら、人質というよりも人身御供だろう。


タケハヤプロジェクトの学生が生きていることは、支援団体にとって、不利益しか生まない。


タケハヤプロジェクトの学生は、生きているが、正義が勝たないデスゲームからは出てこれないので、支援団体は、痛い腹を探られる心配などなく、大手を振って、世間で勢力を伸ばせる。」


俺の解説は、気に食わなかったようだ。


「は?俺達が、支援団体のための人身御供だと?」


的確だと思ったが。


「支援団体に佐竹ハヤトを売って、安泰を確保したタケハヤプロジェクトの学生を心配している人が、タケハヤプロジェクトの学生と同じ立場になっただけだ。


順当だろう。」


「そんな言い草が通ってたまるか!」


知らなくても生きていくのに困らなかった事実を知ったところで、心がざわめく以外の効果はないか。


「タケハヤプロジェクトの学生が支援団体におもねる。


タケハヤプロジェクトの学生が、支援団体におもねて、安泰を確保しているのを知っていたら、タケハヤプロジェクトの学生の関係者も、支援団体におもねるだろう。


タケハヤプロジェクトの学生の関係者が、正義が勝たないデスゲーム運営の側ではなく、支援団体側についている理由があるとしたら、支援団体についた方が、タケハヤプロジェクトの学生の安全を確保できると考えての行動ではないか?


タケハヤプロジェクトの学生の行動の帰結としては、妥当か。」


「俺達は、利用されただけだ。納得するな!」


タケハヤプロジェクトの学生は、第三者から見える事実と自分が体験したことが一致していないと納得できないか。


「正義が勝たないデスゲームのデスゲーム運営側に、タケハヤプロジェクトの学生の関係者がついたなら。


タケハヤプロジェクトの学生は、人質ではあっても、重要人物にはなれない。」


「なぜだ?なぜ、そう言い切れる。」


重要人物になりたいという願いは、重要人物でないから、発生する。


重要人物は、なろうとしなくても、なっているものだから。


タケハヤプロジェクトの学生は、重要人物の適性がないからなれない、と話して、果たして通じるか?


「正義が勝たないデスゲームの参加者は、デスゲームの中から出てこない。


正義が勝たないデスゲームの参加者が、何を言おうが何をしようが、最終的に死ぬ。


デスゲームの参加者は、死んだら、終わる。


やがて忘れさられて、生きていたことを覚えている人の方が珍しくなる。」


「俺が、そんな、軽い存在であってたまるか!」


デスゲーム内において、命に重い軽いの差はなく、生かす価値があるかないか、が基準になっているのではないか、と俺は思う。


「正義が勝たないデスゲーム運営が重視するのは、時をおかずして死んでいくようなデスゲーム参加者ではなく、長くデスゲームに携わる人ではないか?」


「何が言いたい?」


話が切り替わったことに気づいたか、良かった。


「タケハヤプロジェクトの学生の関係者は、正義が勝たないデスゲームの関係者になっていて、うまい汁を吸っているから、沈黙する。


何年経っても、正義が勝たないデスゲームを告発などしないだろう。


一度関係者になってしまえば、内部告発は、我が身も滅ぼす諸刃の剣。


玉砕覚悟で、本当に玉砕したら、タケハヤプロジェクトの学生共々、消されている。」


あちこちで息を呑む音がする。


「耐えていれば助けが来る、いつか、苦労が報われる日が来ると、本気で思っているのか?」


正義が勝たないデスゲーム内で生きていくことに、意思や希望が必要だというなら、それは、誰の意思で、誰の希望か?

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