13.デスゲームの参加者に、幼馴染の男女?仲が良さそうには見えない二人。
「は?お前みたいなやつ、いたか?」
と聞いている男には、女の記憶はないようだ。
「この建物内にあなたがいると気づいたときに、あなたと関わりたくないから、私はキャラ変したの。
私だと分かっていないのに、近づいてきて横柄な態度をとるなんて。
私に対するセンサーが、あなたについているとしか。
外してくれない、その迷惑なセンサー。」
と文学好きそうな女。
「そんなセンサーは、ない。
お前は、俺のタイプでもない。
だいたい、お前。
昔からの知り合いなら、なんでそんなにつっけんどんなんだ?
来たときに、知り合いだと言えばいいじゃないか。」
とトレードを申し入れられた男。
「私の話を聞いていた?
私は、あなたと顔を突き合わせたくないから、キャラ変までしたの。
ドッジボールチームが同じになったのは、あなたが絡んできたせいよ。」
と文学好きそうな女。
女が醸し出している文学好きそうな雰囲気は、あえて作っていたのか。
運動が大好きな陽気な人とは対極にいる雰囲気作りをしたのか。
文学好きそうな女は、トレードを申し入れられた男が仲良くしている一塊とは正反対の人を演出して、トレードを申し入れられた男を、陽気な一塊ごと避けようとした。
トレードを申し入れられた男が、理由も分からず絡んでくることに、文学好きそうな女は、辟易している。
「俺のおかげでここまで、楽にきただろう!」
とトレードを申し入れられた男。
トレードを申し入れられた男は、ドッジボールが始まってから、一度もボールに触っていなかった。
活躍したのは、他のチームメンバーであって、トレードを申し入れられた男ではない。
強いチームメンバーと同じチームになれたから、ありがたいだろう、と、文学好きそうな女に恩を着せているのか?
女は、今のチームメンバーとのやる気がないだけで、女リーダーチームだったらやる気を発揮していたような振る舞いをしている。
男リーダーチームのチームメンバーで、ボールに触らなかったのは、二人。
この仲の悪そうな幼馴染の男女だけ。
運動好きが同じチームにいて、何もしなくて勝てるんだから恩に着ろ、と言われても、女には余計なお世話かもしれない。
「ドッジボールチームに入らないという選択肢があったんだけど?」
と文学好きそうな女。
「文句ばかり言うなよ。」
とトレードを申し入れられた男。
「文句しか出ない。
運動ができて、快活で面倒見が良いひーくん、ひーくんと同様運動が得意で責任感が強いまーくん、ひーくんとまーくんの近所に住んでいる同い年は、ふーくんと私。
私達は、だいたい四人で遊んでいた。
運動系は、四人いると色々できたしね。
二対二で、入れ替え制でチームを作り、総当たりでドッジボールの点数を競ったことを、あなたは覚えていないの?
内野と外野、一人ずつのドッジボール。」
と文学好きそうな女。
文学好きそうな女は、運動嫌いでも、運動が苦手でもないのか。
文学好きそうな女は、小学一年生当時にドッジボールをしていたことについても、デスゲームに参加している今、ドッジボールをしていることについても、ドッジボールに参加すること自体が嫌だという発言はしていない。
「お前、なんでそんなことを知っている!」
とトレードを申し入れられた男は不気味がって後ずさった。
「ふーくん、あなたの理解力は、ザルなの?」
と文学好きそうな女。
「本当に本人か?当時とは全然、違うだろ!」
とトレードを申し入れられた男。
「小学一年生の途中から、ひーくん、まーくん、ふーくんと遊ぶのを止めて、私は正解だった。
感謝したくはないけれど、結果的にふーくんのおかげね?」
と文学好きそうな女。
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