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126.タケハヤプロジェクトと、佐竹ハヤトと、正義が勝たないデスゲームの繋がりは?

五年前に、タケハヤプロジェクトが?


加地さんから聞いた話も、五年前。


ここまで話すくらいなら、直球で聞いても、答えるだろう。


「タケハヤプロジェクトは、正義が勝たないデスゲームの別名か?」


「別名ではない。


タケハヤプロジェクトを正義が勝たないデスゲームに変えたのは、佐竹ハヤト。


佐竹ハヤトに変えさせたのは、棚橋モエカだ。」


思わず、モエカのいる方へ顔を向ける。


名前を告げられたモエカは、俺と目を合わせない。


モエカに尋ねても、聞きたい答えは聞けないだろう。


「タケハヤプロジェクトが、正義が勝たないデスゲームになった経緯を知りたい。」


「タケハヤプロジェクトは、寂れた地方都市を活気づける実験として始まった。


地方都市の中で、寂れた土地に建物を建て、建物内に人を送り込んで生活させる計画。


寂れた土地に住んでいる不便さを感じさせなければ、その建物内では、過疎化は進まない。


建物内から出る必要がないからだ。


地方都市を丸ごと発展させても、今まで通りの開発だと、行き着く先は同じ。


ピンポイントで、大都会と同じように利便性の高い場所を作り、その場所に人を集中させる。


タケハヤプロジェクトの始まりは、順調だった。」


人は資源だ。


人という資源を集中させることによって、成果を上げることにしたのか。


「タケハヤプロジェクトの参加者は、募集したのか?」


泥棒学生を擁護した政治家の支援団体は、タケハヤプロジェクトが成果を上げることを良しとしたのか?


募集を妨害することなどはなかったのか?


妨害しなかったのは、支援団体の意にそう形に、タケハヤプロジェクトが変容したから、か?


「タケハヤプロジェクトが、Uターン、Iターンと違っていたところは、参加者が場所を選ぶことはなく、決められた場所に住んで、決められた仕事をする、ということだった。」


デスゲームにいる俺の状況と似ている。


俺は、デスゲームという場所に来ることを選んでいない。


デスゲームに参加する参加者になることは、もっと望んでいなかった。


「タケハヤプロジェクトの参加者は、どうやって決まった?」


「適性を考慮されながら、選ばれた。」


「就職活動のような言い回しだが、どの集団から、誰が選んだ?」


「最初は、刑務所に入るか、刑務所に入らないでタケハヤプロジェクトに協力するかを選ばせた。」


「刑務所で服役する代わりに、タケハヤプロジェクトに参加するかを決めさせたのか。


タケハヤプロジェクトへの参加者が増えただろう。」


「その通り。

タケハヤプロジェクトは、順調に成果をあげていた。」


含みを持たせて話すので、タケハヤプロジェクトがうまくいかなくなったことぐらい、想像にかたくない。


「次は、何が起きた?」


「タケハヤプロジェクトの換骨奪胎を狙ってきた。」


「泥棒学生を擁護する政治家の支援団体が、か?」


「その通り。

タケハヤプロジェクトで使っている建物をそのまま全部明け渡せ、支援団体に永久貸与しろ、と要求してきた。


タケハヤプロジェクトの参加者を入れ替える。


タケハヤプロジェクトの趣旨と正反対の支援団体が選んだ住まわせたい人を、住まわせる。


大都会に匹敵する便利さを享受するなら、より相応しい人に。


参加者として相応しい人を推薦するから、全員の希望を叶えるように、と。


支援団体から押し付けられた専門家とオブザーバーを務める政治家は、泥棒学生をタケハヤプロジェクトの代表に任命していた。


タケハヤプロジェクトの代表となった泥棒学生は、政治家と専門家の言うなり。


他の学生の意見も制止も無視して、泥棒学生は、タケハヤプロジェクトの名称を使った書類を作成し、契約を交わした。


泥棒学生以外は、来たるべきときがきた、と、悟った。


タケハヤプロジェクトが乗っ取られたと思ったんだ。


ところが。


佐竹ハヤトは、一枚上手だった。


佐竹ハヤトは、タケハヤプロジェクトが妨害されたり、盗用されたり、改悪されたりすることを見越して、先手をうっていた。


タケハヤプロジェクトのプログラムには、複数のギミック、フェイクを取り入れ、タケハヤプロジェクトの趣旨を曲げないように作られていた。」


俺は、大学のときの友達が想定通りのプログラムを組める才能があったことに驚いている。


友達が、ダラダラしている俺と一緒にダラダラしていると安心していたのは、俺だけだった。


人の特技は、見た目では分からない。


フェイクやギミックとは、何をさすのか?

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