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124.タケハヤプロジェクトの出足は順調だった。転換点となったのは、アスレチックのデスゲームで死んだ男のしでかし。男の背後にいたのは?

俺がお礼を言ったのは、意外だったのか。


話している人の目に驚きがあらわれている。


「タケハヤプロジェクトの始まりは、順調だった。


佐竹ハヤトは、提言を実際に試すためのプログラムを既に作っていた。


佐竹ハヤトのプログラムに何かを足していく形で進んでいた。


表向き、大きな問題は起きていなかった。


今日死んだ男が、タケハヤプロジェクトのプログラム情報を持ち出そうとして失敗するまでは。


あの男は、声が大きかった。


失敗したとき、大人しく立ち去れば良かったんだ。


先駆者達のように。」


話している人は、先ほど死んだ男について言及したとき、眉をひそめた。


「先駆者というのは、プログラム情報を盗み出そうとした学生がいたのか、他にも?」


学生の倫理観に問題がある話か?


「持ち出そうとしたのは、学生だが、ほとんどの学生は、大人に声をかけられて動いていた。

自発的に盗もうとは、していなかった。


佐竹ハヤトの作ったプログラムは、タケハヤプロジェクトの情報を持ち出そうとした人の特定が可能だった。


佐竹ハヤトは、泥棒に失敗した学生一人一人に声をかけ、声をかけられた学生は、タケハヤプロジェクトを辞めていった。


あの男は、先駆者とは違い、騒ぎ立てたため、騒ぎを聞きつけたプロジェクトに関係ない人が駆けつけて、あの男の擁護を始めた。


あの男同様に、大きな声で。


タケハヤプロジェクトは、政治も政策も知らない素人の集まりだから、有能な学生をつまはじきにしようとした、イジメだ、嫌がらせだ、謝れ、と、関係ない人は、一方的に大きな声で主張した。


タケハヤプロジェクトの学生は、ディスカッションには慣れていても、言いがかりには慣れていなかった。


ただ一人、佐竹ハヤトは冷静に看破した。


『泥棒を失敗して、声の大きな大人を呼び出すことにかけては、誰よりも有能な学生だと、彼は証明してくれました。


他にも有能なところがあるなら、自白してください。


彼のこれまでの行動は、泥棒することに手慣れていて、罪悪感もなく、失敗した後のアフターケアまで慣れています。


彼の行動は、泥棒の常習犯に多いと言えます。


彼は擁護されている方共々、タケハヤプロジェクトには二度と関わらせない方針でいきます。


大人なら、泥棒のアフターケアを担当せずに、更生させてやるのが愛情ではないでしょうか。


泥棒することで愛情を確認するような学生は、下っ端にはなれても、大物にはなれません。


目をかけている学生を大物にしたくないのですか?』


佐竹ハヤトは、泥棒学生とその擁護者相手に一歩もひかなかった。


佐竹ハヤトは、泥棒学生とその擁護者を追い払った。


その後、その擁護者の支援団体というところや関係者の嫌がらせが続発した。


嫌がらせを苦慮して、自主的にタケハヤプロジェクトを辞めていく学生が出始めた。


タケハヤプロジェクトは、大々的に宣伝をして始まったプロジェクトではない。


タケハヤプロジェクトに参加している学生は、真剣だった。


嫌がらせに屈して辞めるのか、という葛藤が全員にあった。


タケハヤプロジェクトに関わったら、職にあぶれる、結婚ができない、家族が困ったことになる、というような脅しを聞かされても、口先だけだと学生は思っていた。


家族が困ったことになった学生が、家族を困らせないために、とタケハヤプロジェクトから抜けたのをきっかけに、バタバタと人が抜けた。


嫌がらせをされてからでは遅い、と、何もなくても辞める学生もいた。」


学生相手に、そこまでやるのか。


学生相手だから、追い込むことにためらいがなかったのか?


「泥棒学生の擁護者は、タケハヤプロジェクトの何が気に食わない人だったんだ?」


「タケハヤプロジェクトと正反対の取り組みをしている団体の支援を受けている政治家だった。」


国の外から人を足したいから、タケハヤプロジェクトが成功しないようにしにきたのか。


「タケハヤプロジェクトを推していた政治家は、何をしていた?


泥棒学生を擁護していた政治家は、タケハヤプロジェクトの学生に直接脅しにきたのだろう?


タケハヤプロジェクトを推している政治家は、動かなかったのか?」


政治家が、支援団体の代弁者なら、潰しに行くチャンスだったのではないだろうか?


「タケハヤプロジェクトを推している政治家はいなかった。


タケハヤプロジェクトは、政治家ではなく、官僚が主導していた。


コンテスト自体、若手の官僚の勉強会から始まっている。


タケハヤプロジェクトは、細々と試行錯誤を繰り返し、プロジェクトを国に採用してもらうための実績を作ろうとしていた。


タケハヤプロジェクトを、印象操作された大衆に迎合する政治家の道具にされたくない、と全員が考えていた。


タケハヤプロジェクトが頓挫するのを避けるために、タケハヤプロジェクトは、政治家と関わりを持ってこなかった。


政治家と使い使われる関係をのみこむには、タケハヤプロジェクトに関わっていた全員が、若すぎた。


それが、タケハヤプロジェクトの弱点だった。


タケハヤプロジェクトは、弱点を攻められて、軌道修正を余儀なくされた。」

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