12.ルールチェンジ!外野の敵味方を入れ替えて、内野は少ない方に合わせる?男リーダーチームは、男女が口論始めた。元々は知り合いなのか?
ドッジボールは、膠着状態になった。
男リーダーのチームの内野と外野をボールが往復するだけ。
女リーダーのチームメンバーは、避けるに徹して、ボールには決して触ろうとしない。
ドッジボールのボールに仕込みはなさそうだ。
最初は、それなりに手加減して投げていたはずの男リーダーチームは、余裕がなくなってきたのか、次第に手を抜かなくなってきた。
こころなしか、男リーダーチームのメンバーは、顔がこわばってきている。
ボールを当てられて外野に出た人は、皆、元気にしている。
「これより、ルールチェンジ。」
と機械音声。
「内野の人数を少ない方に合わせます。
外野は、最初の二人のみ。
外野が持っているボールは、今持っている人が、ルールチェンジ後もボールを持って移動し、新しいチームのボールとして使います。
外野二人は、二人とも、敵チームの外野とトレードします。
今から、敵味方が入れ替わります。
外野は、移動を開始してください。
内野の人数を減らす場合。
内野に残るチームメンバーは、リーダーの指名とします。」
と機械音声。
画面の中。
女リーダーチームの外野にいる彼女は、機械音声に粛々と従う様子を見せている。
彼女と一緒に外野になった女の人の顔がアップになる。
彼女じゃない外野の人は、美女枠の一人だ。
見覚えがある。
美女枠の一人は、彼女同様粛々と、機械音声に従っている。
男リーダーチームは、外野になったテニス経験者っぽい男が混乱している。
「敵味方入れ替え?ただのドッジボールじゃないのか?」
デスゲームの種目が、ただのドッジボールの時点で、俺の理解は追いついていない。
ドッジボールのどのへんに、デスゲームの要素を見い出せばいいのか。
男リーダーのお気に入りとされている紅一点は、テニス経験者の男のように混乱していない。
外野のうち、彼女を含む女三人は、同じようなドッジボールをしたことがあるのか?
女リーダーは、特にすることがないので、暇そうにしている。
男リーダーは、内野に残す三人を選びかねていた。
全員仲良しだからこそ、かえって、お前がいけ、とは言い辛いか。
今までは、ただのドッジボールだったけれど、ルールチェンジ後は、どうなんだ?
男リーダーチームは、緊張感が漂っている。
指名するな、という無言の緊張感が画面越しに伝わるくらいだから、現場はもっと硬直しているんだろう。
カメラが大写しになったのは、今日のデスゲーム開始からずっと喧嘩している男女。
「絶対いや。」
と文学好きそうな女。
「お前の嫌いなあの女子と別のチームなら、問題はなくなったんだし、内野に行けよ。お前しかいないだろう?
お前は、俺達とは違うグループなんだから。」
とトレード女の標的になっていた男。
他の男にも女にも話しかけにいかないのに、文学好きそうな女には、饒舌に絡みにいく。
文学好きそうな女は、最初からずけずけ言っている。
二人とも、大人しく見えるだけで、性格は違うのか。
この男女、初対面同士にしては、遠慮がない。
「あなたが、私に対して失礼な態度をしても許されると考えている根拠は、何?昔から私には態度が悪いわよね?」
昔?
知り合いか?
「大げさに言うのがクセなのか?昔からというほど、互いに知らないだろ?」
と男は、顔をしかめた。
男も女も、相手をこき下ろす手はゆるめない関係ってどんな知り合いだ?
「小学一年生までは、一緒に遊んだわよ。
学校には一緒に通った。あと二人いたから、近所の同学年四人で行動していたわね。」
小学一年生の時点のご近所さんなら、幼馴染というやつか?
拗れているが。
互いに罵るくらいに拗れるほどの何かがあったのか?
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