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110/468

110.丸太からおりたら、一輪車と竹馬が待っている。丸太から、無事におりたいが、ガタっと音がした。三本目は、俺がいる丸太か?

機械音声が流れてきた。


「丸太からおります。一輪車と竹馬を始めます。」


丸太からおりる?


簡単に指示してくれるが、難易度は高い。


俺のぶら下がっている丸太は、地上一メートル五十センチメートルの高さにある。


両手は丸太を掴んだまま、両足をおろしたいところだが、足元からは、熱風が吹き上げている。


熱風の上に一瞬でも足をおいてはいけない。


足の裏だけでなく、広範囲に火傷する。


一番最初に、豚の丸焼き体勢からおりるとき、うっかり、足を真下におろしかけて、生命の危険を感じた。


火傷せずに、丸太からおりるためにはどうすればいいか?


ぶら下がったままではなく。


段違いになっている丸太と丸太の境目にある柱まで進んで、柱を伝っておりるのが早いか?


俺の現在地が、丸太と丸太の境目に近ければ、この案でも良かったが。


豚の丸焼きのままで、あと十分、進まなければ、柱を伝っておりられない。


となると。


確実な方法に思えても、体力を無駄にする方法は、できる限り避けたい。


一輪車と竹馬に、どれだけ体力を持っていかれるか、分からない。


体力を消耗して疲れているときに、一輪車や竹馬で、バランスをとるのはきつい。


体力を消耗せずに、火傷もせずに、豚の丸焼きを強制終了するには?


俺は、考えた。


何が、丸太からおりることを困難にしているのか?


俺が、丸太にぶら下がっているからだ。


丸太にぶら下がった状態だから、丸太からおりるのに難儀している。


ぶら下がった状態でなくなればいい。


俺は、丸太を最初に見たとき、何を考えたか?


俺は、丸太の上を歩くことを想定していた。


ぶら下がることは、想定していなかった。


一メートル五十センチの高さの丸太の上に立てば、丸太から飛び降りることができる。


丸太の上に立って、飛び降りる場合。


丸太の真下には着地しない。


丸太の真下でなければ、足をついても、熱風が当たらない。


丸太の上に立とう、と俺は決めた。


一メートル五十センチは、降りられない高さではない。


フェンスの上から飛び降りることを思えば、足場も安定している。


方針が決まれば、どのように実行にうつすかだ。


丸太の上に立つとなると、まずは、体が丸太の上にくるように、体の位置を変えなくてはならない。


丸太を揺らして、丸太が落ちたら困る。


俺は、頭、上半身、下半身の順番で、ゆっくりとバランスをとりながら、丸太の上へと移動した。


丸太の上で、丸太に抱きつくような体勢の俺は、下半身のバランスを崩さないように、上半身を起こしていく。


丸太は、俺の体の前面の幅より細い。


丸太の表面は、歩きやすいように削られて平面に加工されてなどいない。


丸太からズルッと落ちないように、上半身を起こしていく。


ここからは、時間をかけない。


ゆっくりバランスをとろうとした結果、バランスを崩したら、目も当てられない。


俺は、丸太をまたいでいる状態で上半身を起こしている。


足を胴に引き寄せて、九十度、体の向きを回転した。


丸太に平行になるように、飛び降りれば、熱風の心配はない。


そのとき。


ガタ。


と音がした。


俺の乗っている丸太が外れた。


丸太が下に落ちる前に、丸太から離れなければ、丸太の落ちる衝撃の影響をもろに受けることになる。


バランスを崩すだとか、考える前に。


俺は、引き寄せた両足の裏で、丸太を蹴って、飛び降りた。


俺が蹴ったせいで、丸太の落下地点は、真下から少し横にずれている。


丸太が落ちるまでの時間と、俺が着地するまでの時間は、ほぼ変わらず。


着地したときに足裏が痛いが、生きているなら受け入れられる。


今のところ、俺は、骨折も火傷も、内蔵破裂もしていない。


なんとか、生き延びている。


お次は、一輪車と竹馬か。


部屋の床の一部が下がって段差ができている。


段差?


段差かと思って見ていたら、段々が下に続く。


床下へと続く下り階段と床上に戻ってくる上り階段が、部屋の中央にできた。


一輪車で階段を上り下りか?


一輪車に、マウンテンバイクのノリは、難易度が高くないか?


竹馬ならまだ、なんとかなりそうだが。


俺は、竹馬を選びたい。

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