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102/468

102.鎌は、刃と柄が分離するのか?人を殺し、人を殺す人の目撃者となり、白組の人は、他人を物理的に攻撃することへの抵抗がなくなったのか?北白川サナは、俺の手を握って?

鎌の刃は、柄から外れるのか?


俺は、自分の手にある鎌を確認した。


軽く振ってみる。


刃は、柄から離れそうには見えない。


刃が外れる作りではなさそうだが。


「鎌の刃が外れて飛んでいるように見える。


俺の鎌は違うが、鎌の刃が取り外せる鎌もあるのか。」


鎌の刃だけ取り外して投げているのか?


鎌の刃について考察していると。


「鎌として使われなかった鎌に、鎌以外の未来を与えているです。」

と北白川サナ。


「使われなかったということは、未使用ということか。

前例にいるひとの鎌は、血がついている。


後ろに並んでいる人は、鎌を使わなかったのか。」


使わなかったら、刃が外れて飛び出す鎌か。


刃に何か埋め込まれているのか。


後列にいる人の鎌の刃は、柄から外れて、前列にいる人の背中や腕を切り裂いて床に落ちていく。


北白川サナと俺を囲んでいた白組の人達は、野村レオの仇をとるという崇高な目的で集まっていた。


背中を切りつけられた前列の人達は、何が起きたかを理解した。


「痛い、なんの恨みがあって、こんなことを。」


「背中から狙うなんて、卑怯な。」


「気に入らないことがあるなら、口で言えば良かったでしょ。」


「武器を手に持っているからっ、いい気になるんじゃない!」


「背後を狙っていたの?」


前例にいた人達は、飛んできた鎌の刃に切りつけられたものの、手に持った鎌を落とすほどの重傷者は1人もいない。

振り返るなり、前列の人のうちの何人かは、後列の人に鎌で襲いかかった。


「待て。誤解。鎌の刃が取れたんだ。」


「勝手に鎌の刃が飛んでいった!」


「私は悪くない。何もしていない。」


「鎌が不良品だった!」


後列の人が、口々に無実を訴える。


後列の人の反応は、バラバラ。


鎌の柄の部分で応戦する人。


鎌の刃を避けながら、落ち着け、と前列の人に訴えている人。


逃げ出して、前列の人に追いかけられている人。


恐怖に目をつぶったまま、鎌で切られて、悲鳴をあげている人。


北白川サナに集積していた殺意は、白組内に分散。


白組の人達が、拍手をしていたら、鎌は床に置いていたはず。


手に鎌を持っていなかったなら。


仲間だったはずの人達と殺すか、殺されるか、の関係になることはなかっただろう。


加地さんを殺した白組の人達は、知り合いが人を殺すことに迷わなかった場面を目撃している。


自身も人を殺すことに加担したことで、自分も殺されるのではないかと考えやすくなった。


鎌の刃が外れる、なんてあり得ない言い訳をしてきた、と後列の人達を怒りに任せて攻撃したものの。


本当に刃がなくなって、柄だけになっている鎌だったものを見て、あれ?と我に返る人も出ている。


「嘘じゃないんだ!

やっと分かったか!

この傷、どうしてくれるんだよ!」


鎌の柄を突きつけて、凄んでいる。


突きつけられた方も、悪かった、とは言わない。


無我夢中で追い回していたから、後列の人に一撃を加えて、傷を負わせることができた。


熱気が冷めて、現実に引き戻されて。


やられたことをやり返すという大義名分が、思い込みによるものだったと知ったら?


わざと傷を負わせたことのみを責めるなら、前列の人の攻撃は、反撃に相当しない。


前列の人から攻撃された後列の人が、わざと攻撃されたことを理由として、前列の人にやり返してくるかもしれない、と気づいても。


前列の人は、早とちりしてごめん、とは言わなかった。


「紛らわしいことしやがって!

先に、鎌の刃がなくなっているところを見せたら良かったんだ!」


全体を見ていると。


前列の人は、1人も謝っていなかった。


謝って、ごめんと言った後に、お詫びとして、鎌をとられるのを警戒したのだろう。


一瞬、落ち着いたかに見えた、白組の前列と後列の争いは再燃。


武器である鎌の奪い合いが始まった。


殴ったり。

蹴ったり。

鎌を振り回したり。

ツバを吐いたり。


北白川サナは、鎌を持っていない方の俺の手を握ってきた。


北白川サナは、怖いんですう、などとは言わない。


白組の人達の争いを見るのを止めて、北白川サナの顔を見ると。


北白川サナは、俺の手を握って、歩き出した。


デスゲーム運営が送り込んだ北白川サナ。


従うに限る。


俺は、北白川サナの隣に並んで、歩調を合わせた。


進行方向は、出入り口だが?

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