婚約破棄、ハッキリしたい!
遠い、遠い昔。
……いや、どれくらい昔か分からない位昔。
読んでいる貴方、最初の下りをハッキリしなさいって思わない。
……ごほん。
と言うワケで、ある国にちょっと難アリの王女様が居たそうな。
▪▪▪
「ネシリャ!ネシリャは何処なの!?」
国を治めているチィチラ家の王女、ミチアがメイドのネシリャを探していた。
「何事故、私をお探しで?」
洗濯場から出てきた、ネシリャが対応する。
「聞いてくださいまし。お父様が勝手に、勝手に!婚約をしたらしいのですのよ!」
それを聞いたネシリャは、ため息をつく。
「ミチア様、貴女おいくつになりますか」
「え、今年で35ちゃい♪」
頬に両手の人差し指を指しながら、ミチアはそう返す。
「サバを読まないでくださいまし、ミチア様。今年で37になりますわよ」
「(´・ω・`)」
「……まあ、それはともかくですわよ、ミチア様。もう良い歳なのですから、結婚をと前々からニシギラ国王様が仰っていましたでしょう?」
正論を突き付けられたミチアは、頬を膨らます。
「だからといって、勝手に選ぶのもどうかと思いますわよ?」
「それでしたら、断れば良いんではありませんか」
そうネシリャが返す。
……が、その言葉にミチアは困惑する。
「そんなことして、良いのかしら。お父様、怒りそうで……」
「人生一度きりですわよ、ミチア様。自らの手で華やかな結婚生活を、とは思いませんか」
それもそう、とミチアは思う。
自分の人生は一度きり。王女とはいえ、次女だから国を背負わなくてもよい。
だと、したら……?
「ネシリャ、相談して良かったわ!今からどうやって婚約破棄しようか、考えますわっ」
ミチアが言うと、自室に向かって走り出した。
「……ミチア様!あれ程、走るなと」
そう声をかける間もなく、自室へと入っていった。
「こういう時だけ、行動力かあるんですから……あの王女様は」
▪▪▪
「さてと」
自室に戻ったミチアは、婚約破棄について考えていた。
(一応、お父様から貰った見合い写真でも見ましょうか)
朝方に父から貰った、写真と資料を見る。
資料には、出身と経歴が載せてある。
彼の名は、ジェランデ・セニャージル。
隣国の由緒正しき貴族である、セニャージル家の三男だ。
性格は温厚なのだが、少々食へのこだわりがある。
それを間違えると機嫌を損なうが、半日で忘れるらしい。
「……普通、普通じゃない」
ミチアはそう呟く。
一つ気がかりなのが、年下という事だ。
なぜ自分と婚約をしようと思ったのが、凄い気になる所だ。
(……?)
ふと、資料の下に小さく書かれていた文字を見つける。
『この三男坊は、ミチアのファンらしい』
「いやいや、ファンって何事なのですっ!そんな、そんなのって……!」
普通に良い案件だった件。
むしろ、そのファンに婚約を仕掛けられたのは、奇跡とも取れるが……
「もう、私はどうすれば良いのですか……っ!!」
言い付けられた婚約は絶対にしない、と思っていたのに。
婚約破棄、ハッキリしたい!
▪▪▪
それから、というもの。
最後に書かれていた文字を見た、ニシギラ国王が怒ったそうな。
「ファンはファンのままで居るべきだ」、と。
ミチア本人ではなく、国王が一転して破棄に至ったというお話。
めでたし、めでたし……?
「んもぉ、お父様ったら!私の気持ちなんて、お構い無しなんだからっ」
婚約破棄系の小説を1ミリも書いたことのない人間が、書いてみた結果がこれだよ!
だがしかし、こういう冒険もたまにはエッセンスになるよね(超ポジティブ)
と言う訳でございました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
(どっちかと言うと、コメディ寄りなのは許してください(笑))