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俺の義妹(いもうと)

作者: 餅草

「ジョン! 早く! こっちに!」

「……ダメだ。俺は行けない。お前たちは先に行くんだ」

「そんな!」

「後は任せた。じゃあな」

「ジョン! ジョン!」


 スクリーンに映る登場人物たちが、迫真の演技をしている。今テレビに流れているのは、最近ヒットしたアクション映画だ。

 俺の名前は圭一。中高一貫校に通う、どこにでもいる普通の高校2年生だ。部活には入っておらず、帰宅部。スポーツや文化活動が苦手な訳じゃないが、趣味を優先させる為に、あえて部活動はしていない。今日も学校帰りに近くのレンタルDVDショップに立ち寄って借りてきた、話題作の映画を自分の部屋でだらりと寝そべりながら観ている。ベッドと机、そしてずらりと本や漫画の並ぶいくつかの大きな本棚。更にそこに収まりきらない本や漫画がそこかしこに積み上がっている。壁には映画のポスターが何枚か貼ってある。俺の部屋は、俺の好きなもので埋め尽くされた幸福な空間だ。

 俺の両親は仕事で海外を飛び回っていて、ほとんど家に帰らない。俺の父親は、俺が幼い頃に母と離婚した。その後、海外で仕事をしている最中に知り合ったドイツ人の女性と再婚した。それが現在の義母だ。両親とは仲良くやっている。しかし、先述したように二人とも仕事が忙しいので、年に数回しか顔を合わせる事は無い。なので、俺はいつもこの家に一人で暮らしている……。という訳ではない。というのも、俺にはこの屋根の下で共に暮らす家族である妹がいるのだ。父が再婚した義母の連れ子で、俺の義妹にあたる。今年中学に入ったばかりの一年生で、外国人である事を除けば、本来なら至って普通の女子中学生だ。そう、本来なら。しかし、その義妹というのが……。


「ただいまー!」


 俺の部屋のドアが突然開いた。美しく可憐にたなびく背中まで伸びたブロンドヘアーに、大きなサファイアのような瞳。狂おしいほど愛くるしくも、西洋人らしい立体的な顔立ち。それでいてまだ幼さの残るあどけない愛嬌たっぷりの笑顔。顔だけ見れば誰が見ても文句のつけようがないセーラー服姿の美少女が、いきなり部屋に入ってきた。


「なんだよお前! いきなり部屋に入ってくんじゃねえよ!」

「別にいいじゃん! というか帰って来たときにもただいまって言ったけど返事無かったもん。お兄ちゃんが聞こえてなかったんでしょ」


 この美少女こそが俺の義妹、エミーリアだ。この少女は、今言った通り、顔だけなら、まさに天に愛されたとでも言うべき西洋系正統派美少女だ。

 しかし、驚くべきはその肉体。251センチの長身に、特注サイズのセーラー服の上からでも分かる、強靭を通り越して凶暴な筋肉。肩幅は屈強なラグビー部やアメフト部の男子高校生なんか目じゃないくらい広く逞しく、その肩から伸びる腕はセーラー服の袖をパツンパツンに張り上げ、山の様に盛り上がる力こぶの隆起や、筋肉の筋や割れ目が服の上からでも見て取れる。

 セーラー服を下から盛り上げる少女離れした135センチHカップの砲弾のようなバストは、とてもついこの間までランドセルを背負っていた小学生だったとは思えない。

 更に、エミーリアのセーラー服の下には、鋼板のような腹筋とデコボコとした武骨な背筋が覆い隠されている。

 そして、丈を詰めて太ももが見え隠れするスカートからは、その巨大なヒップという名の大樹の根っこから生える幹のような両脚が圧倒的な存在感を持ってそびえ立つ。

 エミーリアが身体を動かす度に、樹皮のシワの如く太ももの筋肉の割れ目が隆起しては消え、大きな膝小僧から下の(すね)とふくらはぎは、巨大な太ももをしっかり支えるだけの強靭な骨と鉄塊の様な筋肉が備わっている。


 エミーリアが帰って来た事に、俺は驚いた。普段なら所属している柔道部の活動で、帰宅はもっと遅くなるはずだ。


「お前、なんでこんなに帰って来るの早いんだよ、部活は?」

「なんでって、今日から武道場の改装工事が始まったからだよ? 他の練習場所が確保できるまで一旦部活は休み。お兄ちゃん知らないの? まあ、帰宅部だもんね」


 担任の教師が言っていた事をエミーリアの言葉でようやく思い出した。そういえばそんな話をホームルームの時間に聞いたような覚えがある。


「ていうかお兄ちゃん、また部屋に籠ってんの? たまには友達と外で遊んだりしないのー?」

「そんなの人の自由だろ。俺の好きにさせてくれ」


 せっかくの自由な時間を妹に邪魔されたくない。さっきも言った通り俺は映画を観ている。それに、今までエミーリアに絡まれてロクな目に合った事が無い。出来れば速やかにお引き取りを願いたいところだ。


「お兄ちゃん、いっつもそんな事ばかり言ってるけど、もしかして友達いないの?」

「うるさいな、ほっとけよ。とりあえずお前は邪魔だ、出てけ」

「もーっ、そんな言い方ないじゃん! この!」


 そう言うとエミーリアは突然、俺の顔を鷲掴みにした! エミーリアのその大きな手のひらが万力と化し、凄まじい握力で俺の頭を握りつぶさんばかりに強烈な圧迫を加える。頭の中でミシミシという音が響き、俺は激痛と頭蓋骨が粉砕されるのではないかという恐怖でパニックになった。


「ぎゃあああああっ!やめろっ!やめてくれ!」 


 俺の悲鳴を聞いて、エミーリアが手を離す。


「もーっ、これぐらいで、相変わらず大げさだなぁお兄ちゃんは」


 エミーリアはやれやれ、と呆れた様子で腰に両手をつく。それだけで筋肉で張り詰めたセーラー服の裾の生地の上から、前腕と上腕の筋肉がグリッと蠢く(うごめく)のが見える。

 俺はいつも、このエミーリアの筋肉と怪力に痛めつけられている。エミーリアのパワーは圧倒的なものだ。中一にして、身長と体格では校内で高等部の生徒を含めてかなう者がほぼおらず、所属する柔道部では高等部で最強格の男子たちを軽々と投げ飛ばし、押さえ込み、締め落す。ちなみにうちの学校の柔道部、とりわけ高等部は毎年インターハイに出場する強豪で知られるのだが、そんな強者揃いの男子柔道部ですら、エミーリアの手にかかれば赤子の手を捻るかのごとく屈服させられてしまう。「柔よく剛を制す」ではなく、「剛よく柔を断つ」を地で行く戦い方だ。


 しかし、エミーリアの真の恐ろしさはそこでは無い。エミーリアの本当に恐ろしいところは、その無邪気な残虐性、サディスティン気質にある。柔道の乱取りでは相手に猛然と襲いかかり、その脅威的な膂力(りょりょく)とテクニック、巨大な体躯に見合わないスピードで相手が応戦する余地も与えず叩きのめし、降参する暇すら与えず、相手が意識を刈り取られたボロ雑巾となって無惨に床に転がるまで、徹底的に痛めつける。組技で屈強な男子高校生の腕や脚が破壊される寸前まで関節を極め、顔が茹ダコのように赤らみ、白目を剥いて泡を吹き、意識を失うまで首を絞め上げる。この美しく可憐な顔に、天真爛漫で元気一杯の笑顔を見せながら、だ。妹の部活での暴虐っぷりをなぜ帰宅部の俺が知っているのかと言えば、クラスの知り合いに柔道部に入っている奴がいるからで、そいつはいつもエミーリアの柔道部での振る舞いを語るときは、眉をひくつかせ、目を見開いてわななくように強張った顔でエミーリアの話をする。その顔はこの世にあらざる恐怖を目の当たりにした、ホラー映画の登場人物の様な表情だ。俺はそいつの言葉以上に、その顔つきで、いかにエミーリアが柔道部で恐れられる存在であるかを知った。目は口程に物を言う。


 そんなエミーリアがその気になれば、俺の全身の骨を砕く事も、内臓を破裂させる事も容易い。現に、俺は今までエミーリアに生き地獄を味あわされてきた。この前はその巨躯で抱きつかれ、そのまま身体をロックされて鯖折りをかけられた。背骨が圧し折れる寸前まで圧迫され、人生で感じた事の無い激痛を味わった。その前は上四方固めで仰向けになった俺の身体に頭上側からのしかかられ、上半身にその巨体の全体重をかけられた。俺は窒息死するか圧死するかの瀬戸際に追い込まれたが、呼吸する事もまともに動く事も封じられて許しを乞う事も出来ず、虚しく足をバタつかせるだけだった。最後には、エミーリアは俺の股間に手を伸ばし、睾丸を鷲掴みにして、きつく握り締めた。その途端、俺の全身に痛覚神経の強烈で鋭敏な反応が電流のごとくほとばしり、俺は一瞬で意識を失った。


「柔道部の男子もみんなそうなんだよねー、ちょっと痛めつけたくらいで泣き叫ぶの。張り合い無いなぁ」


 エミーリアはそう言うと、ふう、と俺やこの場にいない他の男たちを軽蔑するような目でため息を吐いた。エミーリアの残酷さは筋金入りと言っていい。しかも、なお恐ろしいのはエミーリア本人が自分の強さと残忍さをいまいち理解していない事だ。エミーリアは自分が特別な力を持った人間である事も、自分が他人にやっている事もそこまで深く分かっていない。俺はいつの間にか、これまでエミーリアに受けた仕打ちを思い出し、自分の身体が震えている事に気付いた。


「エミーリア、頼むからもう今日は構わないでくれ。一人で過ごしたいんだ」

「何言ってるの? お兄ちゃん。今日から少しの間部活が無くてヒマだから、私の遊びに付き合ってもらうからね!」


 その言葉を聞いた瞬間、俺は戦慄した。また、前のような目に遭わされるのか。それも、今日だけではなく。なんとかして、それだけは回避したい。俺は切にそう願ったが、しかし、無情にもそんな方法は無かった。


「だいじょーぶ! 柔道部の男子相手にして力加減覚えてきたし、ちゃーんと手加減するから、心配しないで!」

「これから痛めつけられるのに、心配しないでもクソもあるか!」


 俺はとっさにエミーリアから離れた。しかし、エミーリアはゆっくり一歩ずつ近づいて来る。壁に背を張り付けてわななく俺の目の前にエミーリアの巨体がそびえ立つ。


「じゃ、始めよっか♪」

「待っ、待てエミーリア……」

「問答無用!」


 エミーリアはそう言うやいなや素早く俺の胸倉を掴んだ。次の瞬間、俺の身体はまるで空気しか入っていないダミー人形の様に軽く宙を飛んだ。視界がひっくり返る感覚。そして、それと共に激しく地面に叩きつけられた。


「げふっ!」


 身体を麻痺させる強い痛みが全身に走った。余りの衝撃と痛みに俺は一瞬意識が飛んだ。

 するとたちまち、エミーリアが俺の上に寝そべるように圧し掛かって来た。俺の右腕はエミーリアに掴まれ、左腕にしっかり挟み込まれた。そしてエミーリアは残る右腕で俺の頭を抱きかかえるようにして、ガッチリとホールドした。エミーリアの巨大なバストが、俺の顔に押し付けられる。

 しかし、その感触を味わう暇も与えず、エミーリアの丸太のような剛腕が俺の頭を締め上げる。さっきのアイアンクローとは比べ物にならない激痛が、俺の後頭部を襲う。


「あぎゃあああああ!!!!」


 今にも頸椎を絞め砕かれるのではないかという凄まじい痛みに、俺は命の危険を感じて恐怖と苦痛の叫び声を上げた。


「袈裟固め〜! どう? 柔道のきほんのきだけど、効くでしょ~?」


 満面の愛らしい笑顔でエミーリアが問いかけて来たが、それとは対照的に俺は痛みに悶え苦しんでいた。痛い。苦しい。死ぬ、このままでは殺される! 苦痛と恐怖で半狂乱になった俺は、必死に暴れながら、空いた左腕でエミーリアにタップを繰り返す。

 しかし、エミーリアが俺を解放する事は無い。依然として俺の頭を鉄塊のような上腕二頭筋と極太の前腕で絞め続ける。後頭部ごと頸椎を抉り取られそうな激しい痛みの感覚に、俺の意識は段々朦朧とし始めた。


その瞬間、俺の後頭部にかかっていた圧力がフッと消えた。俺は後頭部を襲う激痛から解放され、一瞬安堵した。しかし、次なる地獄はすぐにやって来た。


「次の技、いくよ?」


 袈裟固めで消耗した俺が返事をする間も与えず、エミーリアは次なる技を仕掛けてきた。エミーリアはその剛腕と俺の脚の何倍もの太さがある剛脚で、巧みに俺の両脚を絡め取ると、足4の字固めを極めてきた。


「ぐぎゃああああっ!」


 エミーリアの両手は俺の左脚を彼女の両脚の間に真っすぐひっぱって引き込む。そして俺の左脚の上に、俺の右脚を4の字になるように重ねた。大樹の幹のようなエミーリアの剛脚が、俺の右脚に猛然と食らいつく。猛獣と化したエミーリアの剛脚は、膝裏で俺の右脚を挟み込んで圧力を掛け、その見た目通りの凄まじいパワーで俺の右脚を破壊せんとする

「あ“あ”あ“っっ!」

「柔道なら反則だけど、一度やってみたかったんだ~! お兄ちゃんの脚、耐えられるかな?」


 エミーリアはまるでごっこ遊びでもしているかの様な態度で、笑いながら俺に足4の字固めを極めている。しかし、現実にはエミーリアの両脚は獲物を捕らえたライオンのごとく、膝裏という名の(あぎと)で俺の右脚にガップリと噛みついている。 エミーリアは楽しそうに、俺の右脚に加える力を段々強くしていく。俺の右脚はその度に軋んで悲鳴を上げる。

 エミーリアは、俺の脚が折れるか折れないかのギリギリのところで、力加減を調節しながら俺の脚の軋む感触を楽しんでいた。


「折れるっ!折れるぅっ!」


 俺は叫びながら必死に暴れているがエミーリアは容赦しない。


「お兄ちゃ~ん、あんまり暴れると力加減間違えて本当にポキッといっちゃうよ?」


 エミーリアにそう言われようと、右脚はとてつもない激痛に襲われる。到底常人が耐えられるものでは無かった。エミーリアの責め苦は俺の右脚と口の両方から悲鳴を絞り出させた。


「やめてっ!助けてっ!」

「ちょっと、もう! 危ないよ、本当に折れちゃうじゃん」


 エミーリアは不満げにそう言うと、已む無しと言わんばかりに俺の両脚を解放した。俺は右脚を抱えて団子のようにうずくまった。


「お兄ちゃんが暴れるから、上手くいかないじゃん。そんなに暴れて言う事聞かないなら、今度は暴れる事も出来ないくらいキッツいのいくよ」

「エミーリア、やめろ! やめてくれっ! 助けてくれ、何でもする、ぐあっ!」


 エミーリアは、俺の言葉になど耳も貸さず、俺の両腕を自らの両手で掴み、仰向けに倒れ込むと、力づくで同じ様に俺の身体を自分の身体の上に引き寄せ、仰向けに重ねた。             

 そして素早く自分の両脚を俺の両脚に絡めると、そのまま俺の身体を宙へと吊り上げた。


「あ“があ”あ“あ”っ!!!」

「もう逃げ場はないよ、お兄ちゃん。何でもするっていうなら、私が満足するまで楽しませてね♪」


 綺麗なロメロスペシャルが完璧に極まった。エミーリアが自由自在に腕と脚で俺の背骨を圧迫する度に、俺の背骨はミシミシ、ギシギシと激しく軋む。エミーリアは、その長い手足に力を込めていく。今や、俺の脊髄と生命は風前の灯火だった。エミーリアがあとほんの少し力を込めれば、俺の身体は上半身から真っ二つにポッキリと折られてしまう。しかし、エミーリアは先ほどの足4の字固めのときと同様に、今回もギリギリのところで力加減を調節し、楽しんでいる様子だった。折れるか折れないかの境界線スレスレを行ったり来たりしながら、俺の口と背骨からあらん限りの悲鳴を絞り出し、俺を痛めつけ、俺が苦しむ様を観察しながら、満足気にうっとりとした笑みを浮かべていた。


「あっ、がっ、あっあ……」


 俺が弱ってきたのを見たエミーリアは、一旦背骨への負荷を緩めた。俺はもはや呼吸すら満足に出来ず、カヒュー、コヒュー、とか細い息を辛うじて続ける生ける屍になりつつあった。それでも、技が完全に極まっていたときにはほとんど息が出来なかった事と、一歩間違えれば即死間違いなしのエミーリアの拷問から、少しの間でも逃れられた安心感から、俺は自由に息が吸える事に生の喜びすら感じながら、わずかに残った力で懸命に、むさぼる様に呼吸をした。


「よっと」

 グイッ!ミシメキメキッ!

「あ“あ“あ“あ“あ“っ!!」

「なーんだ、まだまだいい声出るじゃん」


 俺がわずかな安息の時を得ている最中、エミーリアは突如また再び俺の背骨を強烈に極めた。俺が悲鳴をあげなくなったから、少しだけ休ませて、わずかに回復してくればもう一度最大限の苦痛を与える。最初に地獄を見せ、その後わずかな救いの糸を垂らし、それに縋りついたところで再び地獄へ叩き落す。あまりにも残虐な、突然の不意打ち。再び迫りくる死の恐怖と背骨への激痛に、俺は本当に発狂しそうになった。


「あ、あ、ぁっ」


 俺はその内、すぐにまた悲鳴を上げなくなった。否、上げられなくなった。エミーリアはその様子を見て再び力を弱めたが、もう俺に回復する力は残っていなかった。それでもエミーリアは、三度背骨を極め、俺を徹底的に責め潰す。


「ゕはっ……」

「お兄ちゃーん?」


 しかし背骨に激痛が走っても、もはや今となっては悶える力も残っていなかった。


「あちゃ、やり過ぎたかな?」


 エミーリアは俺を下ろし、手足の拘束を解き、ようやく俺を地獄の責め苦から解放した。


「お兄ちゃん、大丈夫?」

「あ、あ……」

「あ、良かった、生きてる」


 エミーリアは俺を股の間に座らせ、生存確認をする。俺は、呻き声でしかそれに答える事が出来なかった。


「お兄ちゃん、今日はよく頑張ったね。えらいえらい♪」


 そう言うと、エミーリアは左手で俺の頭を撫でながら、右腕を俺の首に回した。


「頑張ったご褒美に、楽にしてあげるね♪」


 俺の首に回った右腕の筋肉が、まるで生きているようにモリッと盛り上がった。その瞬間、俺の意識は薄れていく。エミーリアは、俺の首を絞め上げ、ガッチリとホールドしていた。その剛脚は、いつの間にか俺の胴体に巻きついていた。完璧な裸絞めが極まっていた。


「あ、あ、ぁ……」


 俺の視界は、どんどん白く染まっていく。しかし、薄れゆく意識の中で、眼前に花畑の様な美しい光景が広がるのを俺は見た。全身に、何とも表現しがたい快感が広がっていく。エミーリアの十八番である胴絞めスリーパーホールドが、快感と共にに俺の意識を刈り取る。これまでと違い、痛みや苦しみは全くなかった。ただ意識が薄れていき、全身が気持ちいい。まさに「安楽の絞首刑」とでも呼ぶべきものだった。


「ふふっ。また明日も遊ぼーね、お兄ちゃん♪」


 意識を完全に失う直前、エミーリアが耳元で俺にそう囁いた。それを聞いた俺は、そのまま意識を失った。そしてそのときの俺は、ズボンを濡らし股間に臭くて黄色い小便の水溜まりを作っていた。


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