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女神でも聖女でもないのに、何故か崇拝対象になりました ~変人貴公子の狂的な執着愛~  作者: 三羽高明


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灰かぶり、再び(2/2)

「今日も一日お疲れ様、私」


 こうやって湯船の中で自分を褒めてあげるのも日課になっていた。そして、明日もまた頑張ろうって英気を養うんだ。


 でも、そんな風に自信が持てるようになればなるほど、自分の心の中に空いている穴の存在をはっきりと認識せずにはいられなかった。


 その空白に意識を向ける度、浮かんでくるのはラフィエルさんの顔だ。


 会いたい、と無性に感じていた。私は今でもラフィエルさんが好きなままだった。それなのに顔も見れない日がこんなに続いているなんて、寂しくてしょうがない。


 でも、彼のところに行ってもいいのかしら?


 ラフィエルさんは私に自分の価値を認めて欲しいと言っていた。今の私なら、きっと自分には価値があるってはっきりと言えると思う。


 私は変わったんだ。自分を誇れるようになった私を好きな人に見て欲しい。


 けれど、まだ何となく不安だったから、ラフィエルさんのところへ行こうと思うと足が竦んでしまう。怖いって思ってしまうんだ。何が怖いのかって、変わったはずの私がまた元に戻ってしまうことだ。


 今会ってしまえば、昔みたいにラフィエルさんに依存する私になっちゃうんじゃないの?


 そんな風に考えてしまい、結局は何もできないでいた。


 それに、ラフィエルさんはどう思ってるのかしら?


 私が別れを告げたときのラフィエルさんはとても寂しそうだった。口には出さなかったけど、私と離れたくないって感じているのがひしひしと伝わってきた。


 ラフィエルさんは今でもそのときと同じ気持ちでいるかしら? それとも、もう私には見切りをつけて、思い出しもしなくなってしまった?


 あり得ない話じゃないと思う。だってラフィエルさん、言っていたんだもの。「もし女神が僕の傍からいなくなっても、僕は君と会う以前の状態に戻るだけ」って。


 ラフィエルさんがそんな風に割り切った考え方ができるわけないってあのときは思っていたけど、もしも……もしもその予測が間違っていたらどうしよう? 自分の頭の中にいる女神だけで十分だって思うようになっていたとしたら?


 ……こんなことを考える私って、すごく勝手よね。自分から離れておいて、拒絶されたらショックを受けるなんて。


 こうして今日もラフィエルさんに会わないまま、私の一日は終わる。きっと、これから先もそうなんだろう。悩んで怯えて不安になって……それで迷った挙げ句、何もしないんだ。


 そんな私がある知らせを耳にしたのは、それから何日か経った後のことだった。

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