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女神でも聖女でもないのに、何故か崇拝対象になりました ~変人貴公子の狂的な執着愛~  作者: 三羽高明


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お散歩は大成功(1/1)

 それから数日後、母様の体調のいい晴れの日を選んで、私たちは庭を散歩することにした。


「いい天気ね」


 私が押す車椅子に乗った母様が、空を眩しそうに見上げる。


「寒くない?」

「全然。今日は風もあんまりないもの」


 なごやかな会話を交わす私たちの後ろからは、ラフィエルさんとお医者さんたちがついてくる。もし母様に何かあってもすぐに対応できるようにするためだ。


 私は車椅子をゆっくり押しながら、庭園内の小道を歩いて母様に辺りの景色を見せた。紅葉で色づく葉、飛び交う鳥、群生する花……その全てに母様は感嘆したような声を出す。


 やっぱり母様は自然が好きなんだ。こんなに生き生きとした顔をしている母様を見るのは本当に久しぶりで、いつの間にか私も弾んだ気持ちになっていた。後ろを振り返りラフィエルさんに目配せすると、彼も満足げに頷いてくれる。


 私たちが母様をすぐに連れ出さなかったのは、何も天候や母様の体調がよくなる日を待っていたっていうだけじゃなかった。


 庭園の地図とにらめっこしたり、実際に自分であちこちを歩き回ったりしながら、私は母様が喜んでくれそうな散歩コースをずっと考えていたんだ。


 その計画にラフィエルさんも付き合ってくれた。だからラフィエルさんも自分の提案した道順が好評で嬉しいんだろう。


 時刻はお昼時を少し過ぎた頃になる。私は散歩コースの最終目的地として、この間ラフィエルさんと行った池に母様を案内した。母様が頬を緩ませる。


「素敵ね!」


 きらめく水面を見ながら、母様が楽しそうな声を出した。


 使用人が早速テーブルを設置し、椅子を並べ出す。料理人たちも食事の準備を始めていた。


「こんないいところで昼食を食べられるのね!」


 母様はすっかり興奮状態だ。


 あんまりはしゃぐと体に障るんじゃないかしらってちょっと心配になったけど、今の母様はここ何年かで一番健康そうに見えたから、ひとまず見守っておくことにしよう。


「ねえ、ディアーナ。もう少し近くで池が見たいわ。手を貸してくれないかしら?」


 私は母様に言われるままに手を伸ばした。


「僕も手伝います」


 すると、ラフィエルさんが近づいてきて、私が握っているのとは反対側の母様の手を取る。


 そのまま三人で池に近づいた。ラフィエルさんが母様に話しかける。


「この池では、ボートを浮かべて船遊びをしたりもするんですよ」

「いいわね、それ。乗ってみたいわ」


 母様は好奇心を刺激されたような顔になる。母様が喜ぶことなら何でもしてあげたいと思っていた私は、ラフィエルさんに「乗せてくれるかしら?」と頼んだ。


「構いませんよ。ですが、あいにくと二人乗り用のものしかありません」

「大丈夫よ。私と母様とで乗るから」

「ボートを漕ぐのは案外大変ですよ。僕が行きます」


 私の提案をラフィエルさんは退けた。ラフィエルさんだって、あんまり力があるようには見えないけど……。


 でも、操作に慣れていない私が漕いで、ボートをひっくり返したりしたら困る。ここは大人しくラフィエルさんに任せた方がいいような気もした。


「じゃあお願いするわ」


 昼食の準備が整うまでの間、ラフィエルさんに母様の相手をしてもらおうと思った。

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― 新着の感想 ―
[一言] うーん、紳士だなぁ。 (義理の)(何か違う?)親子で船か……。 母様はお礼とか言いそうだけど、ラフィエルは何を話すのか全く想像がつかないぞ……?
[良い点] (*´▽`*) ええ男や…… なかなかできることじゃない 彼女のおかあさん大事にするとか なかなか出来た男性ですよラフィエルさん [気になる点] あとはふつーの感受性取り戻すことくらい…
2022/02/28 15:30 退会済み
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