表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神でも聖女でもないのに、何故か崇拝対象になりました ~変人貴公子の狂的な執着愛~  作者: 三羽高明


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/71

一緒に寝ましょう(2/2)

「だって……そんな……よくないわ、色々。ラフィエルさん、離して! もし使用人が私を起こしに来て、この光景を見たらどうするの?」


「何か不都合があるんですか」


 ラフィエルさんは眠そうに目を擦りながらキョトンとする。寝起きで頭が上手く回ってない……ってわけじゃないわよね。この人は、いつもこんな感じだ。


「私がラフィエルさんの愛人だと思われちゃうでしょう! いいの? ラフィエルさんは、愛人をたくさん囲っていた父様のことが嫌いだったんでしょう?」


 何とか説得できそうな理由を思いついて、私は少し冷静になってきた。


「そんな父様と同類として見られちゃうのよ。嫌でしょう、それ」

「同類ではありません。僕はたくさん愛人を抱えていませんので」


 予想通り、ラフィエルさんはムッとした顔になる。上手く私の話に乗ってくれたみたいだ。


「どうかしら? 愛人って、一人いたら後十人はいると思えって言うじゃない」

「そんなの初耳です。分裂でもするんですか」

「しないわ。人の欲には限りがないってことよ」

「そういうものですか」

「そういうものよ」


 私は力強く頷いてみせた。さあ、もう一押しだ。


 でも、そう思った矢先に、ラフィエルさんが私を胸元に引き寄せてきた。


「たとえそうだとしても問題はありません。女神は僕の愛人ではないので」


 ……ああ、説得、失敗したかもしれない。心臓が大きく跳ねる音を聞きながら、私は固まってしまった。


「一人もいないので、後の十人もいません。大丈夫です」


「ぜ、全然大丈夫じゃないわ。端から見れば、この光景は十分疑わしいわよ。大体ラフィエルさん、私のこと人に聞かれたら、何て説明するのよ」

 

「女神だと答えます」


 当然のように返事が返ってくる。私は、「それじゃあ、皆は納得しないわ」と唸る。


「だってラフィエルさん、もし犬を散歩中の人に、「この犬はあなたとどういう関係ですか?」って聞いて、相手が「犬です」って答えたら、不自然に思うでしょう? ラフィエルさんの回答って、その手の返事と同じなのよ。こういうときは普通、「ペットです」とかって返すはずよ」


「女神はペットではありません」


「例えよ、例え」


 私は首を振る。

 

「何か関係性に名前がついていなかったら、皆色々と勝手な想像をするわよ。それで、真っ先に『愛人』だと思うわ」


 言いながら、私も疑問に思ってしまう。


 私たちの関係には、名前がついていない。


 私って、ラフィエルさんの一体何なんだろう?


 それに、私にとってもラフィエルさんは、どういう存在なんだろう?


「女神は女神ですが」


 ラフィエルさんはそう言ったけど、はっきりと断言する口調ではなかった。


「必要なんですか、他の名前が」

「……そうね、必要かも」


 頭の中に疑問符が駆け巡っていた私も頷いた。


「私、ラフィエルさんの何なの?」


 沈黙が降ってくる。また寝てしまったのかしら、と思ってしまうくらい長い時間が経った後、ラフィエルさんが呟いた。


「分かりません」


 あんなに頑なだったラフィエルさんは、私からあっさりと離れていった。


「答えが出るまで、君の寝室には近づかないようにします」


 ラフィエルさんはそれだけ言うと、隠し通路を通って出て行ってしまった。


 その背中を見ながら、何故か落胆している自分に気が付いて、私は狼狽えてしまう。


 私、もしかして言って欲しい言葉があったのかしら?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ じれったいのうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ! ってスミマセン、ほんと…
2022/01/16 20:14 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ