裏路地の奥深く
ファイさんに案内され、活気が届かなくなる裏路地の奥深くに入ると
そこには老舗並に古びた武器屋が建っていた。
鉄のような物で出来た看板は若干煤で汚れ、金属独自の光沢がまばらになっている。
木でできた重厚感のある扉は不思議と僕らをその中へ誘うようだ。
「ハリヴァスさん。居ますか。
女将さんからの客人です。おい、開けやがれ」
今にも壊れかけの扉をバンバン叩きながらいきなり怖い言葉を使うファイさん。
先程までのおしとやかな雰囲気が急になくなったことにびっくりしていると
ゆっくりと扉が開き、中から煤汚れた男が出てきた。
男はしばらくの沈黙の後、厚みのある口を開いて言った。
「ちょっと! 強く扉叩かんといてよ! そんな事しなくてもすぐ出てくるからよ!」
50代半ばにも思える男。
その髭の生えた顔からは想像がつかないほどフレンドリーな喋り口調だ。
「それ、毎回毎回言いますよね。
大体、この前だって鍛冶に熱中し過ぎて人が来たのに気付かなかったじゃないですか。
あれ、酒場にクレーム来るから辞めてって言いましたよね?」
どうやら、好きな事に熱中すると
途端に周りが見えなくなる職人気質があるようだ。
「い、いや……そらな〜」
「というか、女将さんからの重要な客人です。
2人とも、改めてこちら、魔道具や武器等々おひとりで制作しているハリヴァスさんです。
くれぐれも丁重にお願いしますね」
軽く紹介された後、
ファイさんはハリヴァスさんの方を向き、警告するように鋭い目付きを放った。
そうかと思うと「では、私はこの辺で」と言って酒場の仕事に戻って行ってしまった。
よく互いも知らないまま残された3人。ハリヴァスさんがまたゆっくりと口を開く。
「……ああいう所を除けば完璧な美人さんなんだけどよぉ。
玉に瑕だよなー……」
召がそれに応える。
「……認めたくはないが我も同意だぞ」
「さ、気を取り直して先ずは自己紹介だな!
俺はここで色々作ってるハリヴァスよ! ハリスとかって気軽に呼んでくれ!」
「俺はリュウです。こっちは親友の……」
「我の名はショウだ!」
ハリスは何か言いたげな感じで俺を見て我慢出来ずこう言った。
「あの〜この子なんでさっきからこの口調?」
「あぁ、気にしないでください。ただの影響感化なので」
そう言って俺が笑顔を見せると納得した様子で「面白いな」と言ってくれた。
「で? 兄ちゃんたちはどういう用なんだい」
俺達はこれまでの旅の事や街に来てからの経過を事細かに話した。
すると突然ハリスが泣き始めた。
いてもたってもいられず、つい突っ込んでしまう。
「いや、まってください。おかしいですねぇ〜。どこに泣ける要素ありました?
人生のどん底みたいな話でもなければ、志半ばで死んだとかいう話でもないですけど……
どっちかというとむしろハッピーな話なんだが」
「あぁごめんごめん。こう言う話の時って泣いといた方が良いと母親に教わったもんで。
よし、こうして知り合えたのも何かの縁だ! 2人に合う専用の武器を見繕ってあげよう!」
何教えてんだ母親! 適当だなおい!
「武器見繕ってくれるのは感謝の極みです。
と言うかそれはさておきハリス、意外と人の話聞いてないですよね?」
ハリスは「ま、とにかく外じゃ危険だから」と言って
あからさまに話題を逸らし、中に案内した。
「何かその辺見ておいてくれ。全部俺が作ったもんだから」
彼は先程からちまちまと手先を器用に動かして何かを作っているようだ。
すると突然作業の手を止めたかと思うと思い出したように話をし始めた。
「あ、そういや最近この街で不可解な事件が起きてるって話あるけどよ。聞くかい?」
不可解な事件……? 一体何なのだろうか。
「事件……ですか?」
人攫いとかそう言う話かと身構えていたが、ハリスが話し出したのは、
あまりに残酷で想像を絶する程の事件だった。
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