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王国属領・コアシティ

焚き木……野宿……星いっぱいの夜空。

どれも夢にまで見た自由な生活で、俺はすっかり旅を楽しんでいた。


「さて、そろそろ街に着くかな」


「あとどのくらいで着きそうだ?」


「あと1時間ってところじゃないか?

次の街はかなり大きいらしいからもう見えるかもな。

お! ほらほら、見えたぞ!」


シェバラールを出てから約7日と6時間。

道中、魔物に襲われることもあったが何とか無事にたどり着くことが出来た。

木々を掻き分けたその先には、

ひとつの大きな城とも見間違うほどの立派な都市がそびえ立っていた。


7日という長いようで短い旅の間には、数々の魔物の素材などが肩に荷をかけていた。

2人の容姿はみすぼらしい訳ではなく、むしろ旅の前よりも洗練され華やかであった。


重い足を運びながらも門の前に来た時、守衛に話しかけられた。


「待たれ。君達、旅の者かな」


「はい、そうです」


「ここはテラ王国属領・コアシティ。

通行許可証、ないしは冒険証を見せてくれるか」


俺と召はおもむろにギルドで発行してもらった冒険証を取り出す。

冒険証には名前や年齢、そしてどこで発行したか等が印字されている。

職業も一応書かれてはいるが、この世界ではギルド職員のみが読めるらしい。


見るからに正義感の強そうなその守衛はまじまじと俺たちの冒険証を確認したあと、

「協力ありがとう、通行を許可する」と一言放ち、コアシティに通した。


街に入り、まずはギルドを目指していく道中、この都市の発展に驚きを隠せなかった。


道は煉瓦のようなものでしっかりと整備されており、

道なりに立ち並ぶ店などは、

外から見てどういう店なのかわかるように透き通ったガラスのような物が張られている。


「すっごいなぁ……」


パンなどの食料品が売られている場所では、

常にバターの溶けた時のようなほのかな甘い香りが漂ってくる。

そうかと思えば、こちらからは醤油と似た少し焦げた匂いが食欲を刺激する。


数々の誘惑に耐えながらも、何とか俺たちはギルドへと到着したのであった。


ギルドの受け付けに行くまでに召と話し、とりあえずは観光しようということになった。


「すいません、地図下さい」


「はい、地図ですね。こちら10アルクになります」


アルクというのはこの世界で言うお金の単位であり魔力単位を示すものでもある。

正直あまり経済には詳しくないが、

日本円で換算すると『1アルク=50円』と考えて置くといいんじゃないかと思う。


無論、ギルドと言えど商売の一端ではあるから、

地図代などちょっとした事でも稼いでいかなければ

存続に関わるというところも実際あるらしい。


『1アルク=50円』

たかが街の地図だけで500円と言うと高いように思えるが、この世界では安い方だ。

つまり、日本と比べて物価が高いのである。


あまり過ぎ去った世界についてどうこう言う気は無いけど、

無償の地図はありがたかったなぁと今更ながら思う。


「はい! 丁度いただきます。観光楽しんでくださいね!」


受付嬢の丁寧な挨拶に軽く会釈をし、この世界の技術を目に焼き付けようと思った。


「じゅるり……ふふふ。なぁなぁ、食いもん、まずは食べてぇ……」


「おいおい、ったくしょうがねぇ野郎だな。良いけど、まずは宿屋探してからな」


溢れ出る食欲からなのか、漫画のようにあからさまにヨダレを垂らす召。


「いくら金があるって言ったって2千アルクしかねぇんだから気をつけろよ?

一日観光したらギルドで依頼受けるからな」


「えぇぇぇえ! まったく解せぬぞ!」


すっかり冒険者忘れて観光気分な召をなだめながら

地図に書かれた安い宿屋へと足を進めるのであった。

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