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摩訶不思議は旅に出る

やはり真っ先に俺は召に旅に出ようと言った。


「旅か! 大賛成だ! 遂にゆけるのだな!」


と召は厨二病をこじらせながらも子供のように喜んでいた。


異世界に来て、はや1ヶ月。

ギルド長のガレムさんからも強くなるまではこの都市からは出さんと言われ、

2人とも植物採集などの簡単な依頼しか受けさせて貰えなかった。


それはさておき──俺の職業の事なのだが

師匠には、

「暫くの身の安全の為にも

別の職業に偽装しておくと良いじゃろう」と言われたのだが……


八十八個も職業あるとか多すぎるやろ!なんか思ってたんと違うし!


「あ、そういえば……師匠、前衛職の方が良いって言ってたよな」


悩みに悩んだ結果、丁度周りに剣使いが多かったのもあり

シンプルに剣を扱う職業にした──


とは言ったものの、

俺の新しい職業は兎耳によってギルド中にバレているので、適当に名前を考えた。


────ん〜。流龍水とか良さそう。それにしーよっと!


召もこの1ヶ月修行したのか、ガラリと雰囲気が変わっていた。

言葉遣いも厨二感増してるし……


あ、そうだ。一応聞いておこう。


「召、俺ら今からパーティー組むことになるけど仲間とか要るか?」


「ふっ、何を言ってるんだか。我らは2人で最強ではないか!」


やっぱり……か。


「それと、クエスチョンなんだがなにゆえ、旅をするのさ」


俺は固唾を呑み、ギクリと思った。


「あ、いや〜その!俺らまだこの世界の事、結構知らないじゃん!

だ、だから! 知るのもアリかな〜って思って」


「ふむ、なるほどな! しかと心得たぞ!」


ふぅ……苦し紛れだったけど、何とか誤魔化せたか?


おっと、なんだい。不思議そうな顔してるね。

何故親友に旅の目的を誤魔化したかだって?

それはな──


--------------------------------


「リュウよ、旅の目的を誰にも話してはならぬ」


「え? どうしてですか、師匠」


「魔王……奴は正体不明と言ったじゃろう。

じゃから尚のこと、こちらが身バレするのは不味いのじゃ。なりふり構わず言うでないぞ。

おぬしが強くなる前に倒されてしまっては、この世界はまた、魔王に支配される運命じゃ」


「……」


--------------------------------


なんていう事を言われたからさ。俺はこの時思ったよ。

とんでもない異世界に来ちまったって。


確かにこの世界はゲームじゃない。

どこかに身体をぶつければ、痛みを伴う。走れば息が切れるし、疲れる。

鋭い剣で斬られれば、血が出る。味覚も、嗅覚も、存在する。


そして────少し間違えれば死が待っている。


ノコノコと寿命で死ぬような生温(なまぬる)い世界からやってきた俺らには、

彼らの苦労なんて1ミリも分かって無いのだろう。


度重なる自分たちのイレギュラー性やRPGのような画面のせいで見失う所だった。


皆生きるか死ぬかの瀬戸際で生活している、俺が倒さなきゃいけない。


まるで、アニメにでも出てくるようなテンプレ勇者の気持ちになったみたいだった。


そんな訳で全8大陸をまわる、88職コンプリートの道が今開かれた!


城門の前では、兎耳や双狼剣(エクシレード)、ギルド長のガレムさん、

召と闘ったよく分からん奴とかが全員見送りに来てくれていた。


シェバラールの皆に別れを告げ、最後に召が一言。


「我は今から(けが)れし大地の浄化に挑む!

比類なき才能の証明をしてやろうではないか!」


「普通に行ってきますって言えよ。

はぁ……全く、すぐお前影響受けるんだから」


「すまぬな、通訳感謝する」


めっちゃ会話しにくっ!


独立都市の城門を潜り、新天地に心踊らせながら大地に深く1歩を踏み締めた。

その大きな門から吹き抜ける風は、俺たちの背中を押し、頑張れよと言っているような気がした。


相変わらず都市の外は、よく晴れた空と変わることのない暑さが広がり、

ほのかに香る草が心地よかった。


さーて! どんなことが待ち構えているのかな!

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