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変幻万象

「な、なにこれ……」


驚くなんて度合いではない。いきなり目の前にこんなものが。


――――――――――――


職業:射手トウティス認識済。

(スキル):ライトニングアローを確認。

獲得しますか?


――――――――――――


なんて出てくるもんだから、

頭の中は、考えれば考えるほど()()()で埋め尽くされていった。


「若造よ。それがおぬしの職業の使い方じゃよ」


世界樹の爺が、優越そうに言ってきた。


「これが……?」


「なんじゃ、疑っておるのか? 物は試しじゃよ。押してみんさい」


俺は疑いが取れないまま、言われた通りに"獲得"の2文字を押した。


するといきなり、全身に情報が流れ込む様な感覚がした。

俗に言う魔力とはまた違う「なにか」が流れ込むたび、ジワジワと力が溢れてくる。


自然や超常現象、光の速度、弓矢の造形…………


身体中で感じる何かが終わったその時、

目の前には"習得済"の3文字が表示されていた。


「リュウよ、人気のないところに行こうかの」


爺さんは今までにないほど真剣な顔立ちを想像させるような口ぶりだった。

そして言われた通り、人気のない先程休憩していた丘の上に来た。


「さて、リュウよ。先のライトニングアロー、撃ってみぬか?」


爺さんの声だけど、頭の中から聞こえる声じゃない?


というか、それはさておき──


「撃ってみぬかって、んな簡単に出来るもんか……ってええ!?」


声のするほうを見て話すと、そこには見慣れない人が立っていた。


「誰!?」


「今更そんな驚くことでもないじゃろうに。わしじゃ、世界樹の()じゃよ」


いやいやいや、おかしい。まさかこんなにイケメンだったとは聞いてない……


一層、わしとか使ってる事に驚きが隠せない。

誰が見てもとんでもないギャップだと思う。


姿かたちを見たことがないから最初は驚かなかったけど……


というか何だっ! この勝負もしてないのに負けたような気分は……


「ほれ、そんなぼーっとしてないで、先ずは弓を出すのじゃ」


弓? 俺、弓なんて持ってないけど?


「なんじゃ、勘の悪いやつじゃの。モタモタせんで想像で出さんかい!」


「あ、え? ……はい!」


想像力を働かせ、先程の造形も思い出し俺は弓を出すことに成功した。


「次は、先の仲間が放っておった(スキル)をイメージせえ!」


「はいっ!」


ちょっと待って? なんかいきなり始まったんですけど?


「雑念があるぞ!1本集中!」


「……っ、はい!」


さっきの召が放ったライトニングアロー。その状況を鮮明に思い出す。


静寂の中に走る電流……一矢に込められた力……雷のような速度……額から流れ出る汗……



……ここだっ!!!



「ライトニングアロー!!」



放たれる矢。うめきながら轟く地面。叫び出すように震え出す木々。


コントロールが悪いのか天空に放たれた矢は、

固まっていた雲の中心を貫き、雲に大きな円形の穴を空けた。


遮るものが無くなった空からは、光が差し込んできた。


初めての経験だった。


先程まで手にあった弓は自ら発光し、スパンという歯切れの良い音と共に消えた。

無理に体を使ったせいだろうか、立っているのがキツくなり仰向けに倒れ込んだ。


「やはり筋は良いのう、リュウよ。

それでこそ変幻万象(フォアロギー)を持つものじゃ。おぬしの初めての獲物は天の雲よの」


そう言いながら世界樹は笑っていた。

彼の笑い声で先程は叫んでいた木々達も、一緒に笑っているように見えた。


「なぁ、世界樹さんよ。俺、(スキル)使う度にこうなるのか?」


「心配するでない、すぐ慣れる。慣れるまではわしが付き添ってやろうぞ」


俺も釣られるように笑いながら冗談強めで世界樹に言った。


「なぁ、その爺口調やめらんねぇのかよ」



かくして、異世界で職業無しと判定された俺の異世界人生(ライフ)

世界最強という四文字を目指して、着実に1歩を踏み出し始めたのであった。


第1章 結


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