職業適正
"ついに! 夢にまで見たあの光景が、この目で見れる……!!"
"職業を視てもらう"という恐らく人生初であろう出来事に
緊張と期待で胸を躍らせながらも表情では平然を装いつつ、
俺は兎耳の生えた受付嬢ところまで早々と足を運び一言放った。
「しゅ……あ、しょきゅっ……業を! 視て頂いても!」
自分が噛んだということを理解するのに、そう時間はかからなかった。
場の空気が一瞬冷め、微妙な空気を断ち切るように受付嬢が一言。
「……あ! では視させて頂きますねぇ!」
「はい!!」
冷静に考えてみたが、現代では散々痛い発言をしていた自分に向かって、
これほど恥ずかしいと思わされたのは初であった。
「ではこちら奥の魔法陣の所までぇ、来ていただいてもよろしいでしょうか?」
てくてくと案内された場所まで歩いていく途中、
何故か背中が痒く感じちらっと後ろを確認すると、
召が後ろからすごく輝いた目でこちらを見ていた。
案内された部屋に入ると、それは何とも簡易的で質素な場所だった。
がしかし、床に描かれていた魔法陣らしきものは到底理解しえないものだ。
「はい! ではこの中心にたってもらってぇ!じっとしててくださーい!」
「おぉ! すごいですね!!」
「ふふーん! そうなんですよ凄いんですよ!
昔は一人一人私達が職業を視ていたんですけど
な、な、なんと! これが発明されてからはかなり仕事が楽になったんですよ!
……ほんと開発されて良かったですよ、前は私達目当てでくるクソ野郎が沢山……チッ」
「もしもし〜? 本音が漏れてらっしゃいますよ? 兎耳さ〜ん?」
「あっ! これは失敬! とりあえずこの話は内緒ですよ!」
「はぁ……」
そんな他愛もない話をしてると、
ポップコーンが弾けるような軽快な音が足元から鳴った。
「あっ終わりですぅ!わっかりやすくまとめてお伝えしますのでぇ!
その辺のクソ野郎共と少々お待ちください!」
「いや! 本音!」
「あっすいません! てへぺろ☆!」
しばらくして、兎耳に呼ばれた。どうやら、まとめ終わったらしい。
「はい! あー、ではあなたの職業についてお話し……しますね」
言葉に詰まっている?
というかむしろ、言いたくなさそうな雰囲気を出している?
不思議に思った俺は、一言投げかけてみた。
「あの〜どうしたんですか? 何か問題でも?」
「……あの、そのですね〜」
「いや、別に怒らないんで言ってください。
弱いとか役に立たないとかでも俺、全然大丈夫なんで」
「あ! じゃあ遠慮なく行きますね!」
急に顔色が明るくなり、清々しい表情を見せた兎耳。
"なぁんだそんな軽い事だったのか"
と安堵したのもつかの間、兎耳の放った言葉に驚愕した。
「リュウさん! 貴方の職業は……ありません!!」
「なるほどぉ! そんな職ぎょ……は?」
理解が出来なかった。
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