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もくもくもく~
お線香の白い煙が一本の線のようになって、ゆらゆらと下の方から登ってきます。
「わあー、きれいねえー。」
ねこの「まるちゃん」が、広場のはしっこからおててをそろえて下の様子をのぞいています。もくもくした煙はいくすじも連なって、今いる『虹の橋』と呼ばれる橋のたもとの広場ーー厚い雲の上に広がる、緑の草原のような場所ーーに吸い込まれ、広場はどんどんどんどん大きくなっていきます。煙が雲に完全に吸い込まれてしまうと、
「まるちゃん元気かな?」
何だかいつも懐かしい声が聞こえます。まるちゃんは、グルグルグルと喉をならして、足元の草をフミフミもみもみしながら、いつも幸せな気持ちになります。
さっきまで、何にぷんぷんしていたんだっけ?
お母さんは私のこと忘れたりしないって、ちゃんとわかってる。
まるちゃんは、目を細めてしっぽをゆらりと揺らしました。
広場に穏やかな風が流れて、緑の草もゆらゆらと揺れました。
『虹の橋』のたもとには、他にも犬やうさぎや鳥、お猿に馬など、いろいろな動物達がいます。動物達はすべて健康な体で苦しまず、飢えもなく、たっぷり体を動かすことも、ゆっくり眠ることもできるのです。
まるちゃんのそばに、薄茶色のトラ猫がそっとやって来ました。
「チビちゃん!そうだったわね、向こうのお山の方に遊びに行こうって言っていたのよね。どんな草があるかしら?楽しみね。」
二人はたっぷりお話をして、たくさん体を動かして、気持ち良くお昼寝をしてたくさんの時間を過ごしました。あぁ、楽しかった。そんなことを言いながら虹の袂に戻って来ると、見知らぬ人間のおばあさんが橋のそばに立っています。誰かしら?まるちゃんが首をかしげているその隣で、チビがふるふると体を震わせ、ポロポロと涙を流しています。
「おばあさーーーん!!」
チビはおばあさんと呼ぶ、その人のところまで駆けて行きます。おばあさんは泣きながらチビを抱っこします。どれだけの時間の流れも、虹の橋の広場ではあっという間でした。ふたりは、再び出会うことができたのです。
動物達は、自分のことのように喜び、涙を流し、拍手をしたり、口笛を吹いたり、歌を唄ってふたりを送り出します。
「よかった!よかったねチビちゃん!よかったわ・・・!」
まるちゃんも、たくさんのおめでとうの言葉と一緒にチビを見送りました。ふたりは、見送ってくれる動物達にありがとうを言いながら、たもとの広場と天国を繋ぐ、七色に輝く『虹の橋』を歩いて渡って行きました。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
もう少し続きます。
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