五つのお題、宝の在処
『かぐや姫』
早く見つけてくださいね、
五人の素敵な皇子さま。
おじいさまからのお願いで、
あたしは、お嫁に参ります。
お題を解いた皇子さま、
あなたの、お嫁に参ります。
石作の皇子さまのお題には、
神々しい光を放つ「仏の御石の鉢」
ところで、どこかの姫様は、夜に輝き光るそう。
おじいさまの心の臓が苦しいときでさえ、
光れば痛みは消えたそう。
どれほど、ありがたい事でしょう、
バチなど当らなきように。
庫持の皇子さまのお題には、
根が銀、茎が金、実が真珠の「珠の枝」
ところで、どこかの竹林は、金の竹が採れるそう。
金の茎は竹節に、
実と根は、どこでしょう?
竹とは、とても育ちます。
花は百年先に咲きましょう、
実は、その後に出来ましょう、
根は張り過ぎて、何処へやら。
阿倍御主人さまのお題には、
火に入れると雪のように真っ白になる「火鼠の皮衣」
ところで、どこかの娘子は、白雪の肌をしてるそう。
穢れを知らぬ、娘だそう。
その肌、火にくべてみましょうか?
穢れは全て燃えましょう。
大伴御行さまのお題には、
五色に光る「龍の頸の玉」
ところで、どこかの歌詠みは、名づけの時に、五色の歌を唄ったそう。
白き咽から、歌を奏で、詩を唄い、音楽を奏で、音を舞い、遊び奏でます。
五人の皇子さま、それぞれに、五色の歌を返したそう。
また、いっしょに、遊びましょう。
石上麿足さまのお題には、
子孫の繁栄をもたらす「燕の子安貝」
ところで、どこかの竹より三寸の子が生まれ出で、三月で大人になったそう。
子孫繁栄は、このことか、
それはどんな、ご加護でしょう、
その子は、数えで、五つだそう。
五つの童からのお題です。
その心は…、
…
その心は、どこにあるのでしょう?
宝は、どこにあるのでしょう?
早く見つけてくださいね。
あたしの愛しい皇子さま。
(おしまい)