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襲撃者


「!?ッ、なんですかこの爆音は!」


 爆音に驚き、声を上げる愛梨。だが、刹那達は違った。


「おい、俺がやる。お前達は手を出すな」


「オッケー! なら任せるね!」


「ああ、刹那に任せる。俺は、愛梨ちゃんと遊ぶから!」


 爆音の正体を知っているのか、刹那達は慣れている様子で、何ら変わらず会話をする。


 愛梨は、刹那達の様子を不思議に思い、聞いてみる。


「……桜花さん、……この爆音はなんなんですか?」


「襲撃かな!」


「ッ! 襲撃ですか! 大変じゃないですか!」


 呑気に言う桜花に、驚く愛梨。

 

 桜花は、愛梨の頭を撫でて落ち着かせる。


「大丈夫だよ愛梨ちゃん! 刹那に任せておけば、簡単に倒してくれるから!」


 桜花に言われ、愛梨は、はッ! と気付いた。


 刹那は世界でも有数の超能力者。『退廃の王』と言われ、恐れられる存在。そんな刹那が戦うと言うのだ、その言葉はどんな超能力者より信頼出来るだろう。


「それじゃあ刹那、私達は隠れ家の方に逃げるから、後で合流して、愛梨ちゃんの歓迎パーティを準備しているから、早く来てね!」


「おう、先に行ってろ。直ぐに終らせて向かう」


 桜花は愛梨を抱きかかえ、裏口から刹那の家を後にする。


「刹那、先に行ってるぞ!」


 我道も桜花に続き、手を振りながら家を後にする。


 刹那はゆっくりと玄関に向かい、笑みを浮かべ、獲物(襲撃者)と対峙する。


 ーー刹那の前には十人の襲撃者がいた。


 襲撃者達は、手にマシンガンを持ち、刹那に銃口を向ける。だが、刹那に恐怖はなく、ただ一言、襲撃者達に聞く。


「おい、てめえら。俺に銃口を向けるっつー事は、死ぬ覚悟が出来ているんだよなぁ」


 殺気をだし襲撃者達をにらみむ刹那。


「「「……」」」


 無言の襲撃者達。

 

 ババババン‼ と一人が刹那に向けて、マシンガンを発砲した。


 銃弾全てが刹那に当たった瞬間、風化し塵と化した。


「「「!?」」」


「……そうか……それが答か。……なら死ね、虫けらどもッ」


 一瞬にして発砲した襲撃者に近付き、風化し塵と化す。仲間を殺られ、驚く他の襲撃達だが、直ぐに体勢を立て直し、訓練された見事な連携で刹那を銃撃する。


 普通の人なら蜂の巣になる攻撃だが、刹那には効かない。先程と同じように風化し塵になるだけだ。


「おいおい、そんな攻撃が俺に効くとでも思っているのかぁぁぁ!」


 銃弾の雨を真っ正面から突き破り、一人、また一人と、風化さしていく。


「こんなんで、俺を殺れるわけねぇだろうがぁぁ‼」


 テンションが上がっている刹那は、無差別に『退廃』を使い、家や道路など全てが風化してい、崩壊する。


 ーー最後の襲撃者が風化し、もはや辺りは世界の終わりが訪れた後のように風化し退廃しており、あらためて『退廃』の恐ろしさが分かる。


 戦闘を終え、退廃した場所に立つ刹那は、まさに退廃した世界にただ一人いる絶対の王者。その姿はあらゆる者に言われている。


『退廃の王』


 その名に相応しい姿だろう。


「チッ! 雑魚ばっかじゃねぇか‼」


 襲撃者達を全て殺し終え、頭をかきむしり文句を言う刹那。


 すると、刹那に声が掛けられる。


「やぁ、退廃の王、やはり凄まじい力だね『退廃』は」


「……あぁん……」


 声が聞こえる方に顔を向ける刹那。


 そこには、白い髪のロングヘヤーで、赤い目に中性的な顔立ちの男か女か分からない、不思議な雰囲気を出した人が立っていた。


「おっと、先ずはあいさつをしないとね。……初めまして退廃の王、ボクの名前は時神夜空(ときがみよぞら)、よろしく」


 夜空は手を刹那に向けて差し出す。


 刹那は夜空を見た瞬間、確信した。


 〝コイツは、今までにないくらい楽しめそうだと〟 


「ああ、よろしく」

 

 夜空の手を握り、握手した瞬間『退廃』を使う。


 ……だが、夜空は風化しなかった。


「!?」


 驚く刹那。……そのようすを見た夜空は、無駄だと、余裕の笑みを浮かべる。


「フフ、ボクに貴方の『退廃』は効きませんよ」


「あぁん」


「ボクの超能力は『回帰』。簡単に言えば、貴方の『退廃』と真逆の超能力です。故に、ボクには『退廃』は効かないのです」


 自分の『退廃』が効かなくて、面白いと笑みを浮かべる刹那。


 愛梨も『退廃』が効かないが、彼女は幼く、戦う性格もしていない。だが、目の前に夜空は違う。自分と同い年くらいで、襲撃者の後に現れたということは、襲撃者と何らかの関わりがあるのだろう。なら遠慮なく殺せると、殺気を放ち、狂気宿る顔に変わっていく。 


「ヤハハハ、……良いぞ良いぞお前!、退廃するしがいがあるじゃねかぁぁぁ‼」


 一気に夜空に迫り、襲い掛かる刹那。……距離を詰めたその瞬間、夜空が刹那の前から一瞬にして消える……。


「!?」


 夜空が消え、驚く刹那は、辺りを見回すが何処にも姿は見えない。


『フフ、今日は挨拶だけです。また何れ会いましょう…『退廃の王』よ……』


 姿は見えないが、夜空の声だけ聞こえる。


「ああ、今度こそ退廃してやるよ。……その首を洗って待っていろ!」


 夜空に聞こえているかは分からないが、そう言い放つ刹那。


 こうして襲撃者を全員、退廃させて、戦いは終わった。


 刹那は、辺りが退廃したこの場所を、桜花達に合流すべく後にする。




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