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少女の超能力


 ーーなんとか無事に誰にも裸を見られる事もなく、刹那の家についた少女は、急いで刹那に服を貸してと言う。


「貴方の服を貸してもらいますよ! 私の服を駄目にしたんだから、嫌とは言わせませんよ、変態!」


 もはや最初にあった、退廃の王に感じていた恐れはなく、変態呼ばわりする少女。


 相手にするのもめんどくさく思った刹那は、顎で自分の服がある部屋を教え、しっしっと、手を振る。


「ぐぅ!」


 拳を握り締め頭に血が上る少女だが、ここは我慢だと自分を抑え、教えられた部屋に地団駄を踏みながら向かう。


 ーー教えられた部屋についた少女は、服を見つけて着たあと、今までの怒りを静めるため深呼吸をする。


「フ~、落ち着け、落ち着け私。……なんのために、ここまで来たんですか……。絶対に私は生きるんです……。だから、退廃の王に力を貸してもらわないといけないんですから」


 気合いを入れ、着替え終った少女は部屋を出て、刹那の元に向かう。


 ーー少女が着替えていた頃、刹那は一人、リビングで寛いでいた。


「ハァァ。たく、なんなんだあのガキは、まさか俺の『退廃』が効かないなんて、一体どういう超能力を持っているんだ?」


 今まで刹那の『退廃』を受けて無事だった奴なんて誰一人いない、なのにあの少女には『退廃』が効かなかった。


 だが超能力には様々な物があり、自分の超能力が効かない超能力があってもおかしくはない。それに、少女を殺そうと思えば簡単に殺せる。


 『退廃』を少女に直接ではなく、建物などを狙い風化させ崩落させれば、簡単に少女を生き埋めにして殺す事が出来る。


 話だけ聞いて、めんどくさかったら、殺せばいいと考える刹那だった。

 

 ーー少女はリビングに入り、刹那を見た瞬間、再び怒りが込み上がり睨むが、ここは我慢だと自分を落ち着かせソファーに座り、ようやく本題に入る。


「……最初に貴方に言った、超能力者全てが殺されるの説明をしますね。……私は、ある実験室から命からがら、なんとか逃げてきたんです。その実験室では、超能力者を殺す兵器の開発が行われていました。……私はその兵器の()()なんです」


「あぁん?」


 それがどうした、と思う刹那。今時、超能力者を使った人体実験なんて珍しくもなく、超能力者を殺す兵器の開発だって、大っぴらにやってはいないが、どの国でもやっている事だ。その程度の事かと、肩透かしを食らう。


「その程度の事、何処でもやっているだろうが。くだんねぇ」


 くだんねぇと言われ、少女は拳を握り締める。実験体にされる人の気持ちがお前に分かるのか‼ どれだけ苦しいと思っている‼ だが、そんな事を退廃の王に言っても意味はなく、刹那の目を真っ直ぐに見て少女は話の続きを言う。


「…………私の超能力は『零』。超能力を無効化できるんです。だから、研究施設は私の超能力を研究して、超能力者を殺す兵器を作っていました……」


「……つまり、俺の『退廃』がお前に効かなかったのは、その超能力が原因か」


「そうです。触れないといけないけど、触れたなら、あらゆる超能力を無効化できます!」


 得意気に話す少女。


 得意気な少女にちょっとイラつくが、刹那は話しの中で気になっていた事を聞く。


「なんで超能力の名前が『零』なんだ?」


「それは知らないです。私の超能力を調べていた研究者が、そう呼んでいただけなので……」


 ……確かに少女自身、不思議に思っていた。何故『零』なのか。他に呼び名はいくらでもあるのに。だが、今は退廃の王と大事な話の途中、今考える事ではない。


「最後に、これが本題なんですけど。……貴方に……私を守って欲しいのです……」


「はぁあ……! なんで俺がてめぇを守らないといけねぇんだ!」


 少女を鋭くにらみ、声を荒げる刹那。


 刹那の荒声に対抗するように、目と目を合わせ、少女は強く言い返す。


「もし、このまま私を使って兵器の研究が進めば、貴方だって死ぬかも知れません! それどころか! 世界中の超能力者が殺さるかもしれないんですよ! だからーー!?」


 少女が話している途中に、ドカンッ! とテーブルを刹那が叩き、少女の話が途切れる。


 刹那のイラつきが、頂点に達したのだ。


 怒りの声を上げる刹那。


「いいかガキ! 俺は最強だ! たとえ、その兵器が完成しても、俺は全てを退廃させ、そいつらに絶望を与えてやる! 俺をそこいらの有象無象と一緒にするんじゃんねぇ‼」


「ッ!?……」


 刹那の怒りを正面から受けた少女は、目に涙を浮かべ、沈黙する。


「用はそれで終わりか? なら、とっととこの家から出ていけ」


 激しい刹那の言葉を受け、少女は肩を震わせて、泣きながら家を出ていく。


「チッ、くだらん話をしやがって。時間の無駄だったじゃねぇか」


 



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