5 急に話しかけてくる強制イベントってスキップ出来ない
『初期町への到達を検知 これにてチュートリアルを終了します』
案内が終わり、僕はグリーンベルに辿り着いた。所謂始まりの町なんだろうか、初歩の町とか言われているし。
木々が多く、森の中に有る町って雰囲気が漂っており、非常に落ち着いた雰囲気ではあるが・・・
これは凄く・・・
「おおきい・・・です」
見上げる程の門に木でできた3階建てのビルほどはあろうかという防壁は視界一杯に広がっていて
町と言うか、城下街とか言われても納得出来るレベルだ・・・
トラックぐらい余裕では入れそうな門には見張り兵?みたいな人と日本人・・・恐らくプレイヤーらしき人が大勢見える。
恐らく検問みたいな事をしているのだろうか・・・行ってみよう。
「えっ白髪?・・・そんなカラーあったか?」
「クッソ可愛くね?てか和服なんて初期装備あったか?」
「アバターガチャか?スタートダッシュガチ勢?」
順番待ちをしていると、コソコソと話し声が聞こえて来た。
ガチャやらなんやの話が聞こえたので、課金要素とかあるみたいだな
もう小遣いは皆無なので、僕には関係のない話だろうけど、記事と掲示板の巡回は必要そうだ。
というか、後ろの人達も髪とか青とか緑とかカラフルやんけ
これなら、あんまり目立ち過ぎない・・・かな?
「次、お前も・・・・」
?なんだろう、門番さんが僕を見て止まっているけど・・・
「巫女・・・様?いや・・・失礼だが、貴方も旅禍なのか?」
旅禍・・・・多分プレイヤーの事だろうな、僕は相槌を返す
「そうか、いや、わかった。町へ入るには100コルが必要だ。」
視界に払うかどうかのコマンドが現れ、迷いなく支払いを選択すると
右腕のブレスレットが光り、門番の再出した手に銀の硬貨が一枚現れた。
「うむ、確かに。では仮の身分証を渡す。長期滞在希望ならば迎賓館で町の所属となるか、ギルドで登録が必要となる。仮の身分証は一週間で消滅するから、もし必要になれば東西南北の門で発行してもらえ。」
適当に返事をしながら町の中へと入る。
「ふぁ・・ファンタジィ・・・」
まさに、ファンタジーな光景が広がる。
馬の馬車や大きな蜥蜴の馬車
鍛冶屋みたいな所には背の小さなドワースが元気に瓶を片手に剣を売ろうと声を張り上げ
すらっとした金髪のエルフが少し難しそうな顔をしてその剣を眺め
大きな三角帽子を被った老人が、本を空中に浮かばせながら読んでいる
地面に雑貨を広げる人・・・プレイヤーか?
なにやら良い匂いを漂わせるお店が立ち並んでおり、そこでは獣人と人間が楽しそうに酒を酌み交わしている。
いろんな格好をしたNPCなのかプレイヤーなのかわからないが、大勢が行き交い、遠目に見える噴水はどういう原理なのかわからないが、淡く緑色に発行し、なにもない空中から水を湧き出させている。
若干その人混みに立ちくらみそうになったが、わくわくと武器の耐久値が下がっていた事を思い出し武器屋っぽいドワーフの元へ向かった。
「おらあ!出来たてホヤホヤの鉄の剣だ!200コルで売ってやるぞ!」
「あのー」
「金がねえなら酒でも良いぞ!旅禍だか知らねえがこんなに人がいっぱいならかき入れ時だあ!」
「あのー」
「おい!エルフのあんちゃん!買わねえのか??」
「あ「む・・・弓は無いのか?もしくは短剣かは・・・」」
「なんでい!早く言えや!あるぜ!」
「・・・・」
プレイヤーそっちのけで喋りまくるドワーフとエルフに若干心が折れかけ
そっと立ち去ろうする。
「おおい!可愛い嬢ちゃん!どこいくんでい!」
気づいてたなかよ、そして僕は男だ。面倒だから訂正しないけど。
「武器の修復とか出来ます?」
「ん?その腰に吊るしてる奴だな?ちょっと店の中に来て見せてみろい!」
「あっはい」
ドシドシと歩くドワーフに続き店に入ると、鉄の匂いが鼻に飛び込み、すこしツンとて少し涙目になりつつ、奥のカウンターの様な場所で腰の二本の刀を取り出し、ドワーフに渡しす。
「コレです」
「ん・・・レアの刀か、悪くねえ。が、まあ普通ってとこだな」
「はぁ・・・」
「おめえさん研ぎスキルはもってんか?」
「持ってないです」
「なんでい!いいもん持ってんのに馬鹿野郎だな!」
「すんません・・・」
「む!そんな可愛い顔すんじゃねぇ!仕方ねぇ、研ぎ方教えてやっからスキルとっとけい!」
「あ・・・はい」
言われるままにステータスを開き、研ぎスキルを取得した。
(そういえばレベル上がってたな・・・)
■ レイ ヒューマン (仮) LV2
■ ジョブ
■ HP25 MP15
■ A 7
■ B 6
■ M 10
■ S 15
■ R 16
■ スキルポイント 5
■スキル ユニーク
天眼
■スキル
二天一流 月魔法 氷雪魔法 研ぎ
■称号
(それにしても、このヒューマンの横の仮ってなんなんだろ・・・発売前情報は世界観ばっかりだったからなぁ・・・ベータの情報も少なかったし・・・なんでだろ?)
「とったな?じゃあこの砥石やっから、刀を研いでみろ」
「あ、はい・・・」
抜身にして砥石の上に乗せて動かし始めると、刀が光り始め、ゲージが出現しじわじわと増え始める。
「おし!だいたいそんなモンだ!レア度が高えエピックやらユニークやらは砥石のレア度も必要だから覚えとけぃ!」
「はいっ!」
小気味よい刃物を研ぐ音を鳴らし、二本とも修復を終えてドワーフへ向き直る。
「ありがとうございました。お代は?」
「ばかやろう!てめぇ可愛いなオイ!その砥石代だけでいいから50コルでい!」
「はい、わかりました!」
支払いを終え、店を出ようとする
「おい!砥石にも耐久値あっから、たまに買い替えとけい!道具屋か雑貨売りに有るだろうよ!
それとよ、ちゃんと宿はとっておけよ?たまに道端で寝る旅禍達がいっけどよ、あぶねぇからよ!」
(寝る・・・?ログアウトすると身体そのままなのか?取り敢えず宿は取っといた方がいいな・・・)
「それとおせっかいかもしんねえけどな!ギルドでジョブついとけよ!次は刀買いに来い!」
優しいドワーフに笑顔で頭を下げると、「お・・・おう」と行って顔を赤らめていた。
心の中で、すまない、だが男だと思いつつ町の散策に歩き始めた。
次回、掲示板回の予感・・・・