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ラヴィアン・ワールド  作者: てろめあ
明けの陽光は眩しく
4/41

2 過去の残滓

零 「げーむしたいなぁ・・・」


「んむ・・・」


ベットから起き上がると、教師用の椅子で背筋をピンと伸ばし目を閉じてるマーちゃん(真田正次)が居た。おそらくラヴィをプレイ中だろうな・・・

首を軽く体操しながらほぐしていると、ALIOSから着信の通知と出るか否かのパネルが現れる。

名前は・・・宮元 冷夏 姉だ。

とりあえず、出よう。


「もし・・もし?」


「零!?零なの!?元気なの??大丈夫??」


「ん、大丈夫だよ?どしたの?」


「零の心拍数がちょっと激しくなって心配だったのよ?何かあったの?誰か殺す?」


「ころっ!さなくていいし、大丈夫。多分ゲームで興奮して・・・」


「そう!ならいいわ!


軽く心拍数というワードに恐怖を覚えながら、僕はラヴィに戻る為に・・・


「それじゃ、僕は大丈夫だからゲームに・・・」


「でも心配だから、お姉ちゃん迎えに来ちゃった」


「え?」


窓の方へ顔を向けると、校門に黒いリムジンが止まっており、老齢の紳士がドアを開けるところだった。

「えぇぇ・・・」


少し冷や汗をかきながら、僕は降りてくる姉を凝視するのだった。


■■■



「あら、社長じゃないの」


ログアウトしたマーちゃんは保健室に入って来た姉に向かって声をかける

黒髪のロングで腰くらいまで伸びてるから、多分僕と一緒くらい

長身でスタイルが良く、健全な男子であればもぞもぞしてしまうような容姿

少し冷酷に見えるようなきりっとした目と、整った顔。

僕も時々、ほんとうに稀に、ドキッとしてしまう事のある姉

宮元 冷夏 22歳

現在化粧品会社の経営しており、国内でいま勢いナンバーワンだとか・・・姉は世界一になるっていっているが・・・


「零が心配で来たわ。真田、なにか以上はあった?」


寒さすら覚える様な真剣で棘棘しい雰囲気が姉から発せられる。


「いんえぇ、れいっちはゲーム楽しみにしてただけよんっ★あれは処理済みよんっ★」


「ふっ、ありがと、真田。貴方と友達に慣れたのは私の人生でも三番目に幸運だったわ」


「居場所と、働き口までもらったアタシからしたら人生トップの出会いだったけどねん★それと一番と二番は?」


バチィンとまた凄いウインクをするマーちゃん


「一番は零と出会えた事、二番目は零の姉に慣れたことよ。」


姉は先程の雰囲気が嘘のようにとっても良い笑顔で言った。


「うふふっ!ちょおっとわかりみ★」


いつも思うけど、マーちゃんは低い重低音の声だけど、語尾に毎回星がついてる気がするのは気の所為なのだろうか?


「今日の零の単位時間は足りてる?」


「ん、ちょろまかしずみよぉん★ほんと、飛び級認定済みなのに、いやがらせばっかねぇん・・・・あいつら」


ひっ!語尾が地獄の鬼みたいだった!


「もう私達に関わる理由なんて無いのに、本当に、愚かね。この報いは必ず。」


「えぇ、れいっちにはアタシも沢山救われたから」


「零は誰にも渡さんぞ!」


「モチのロンよっ★漢女としていうけど、れいっちはダチよ!」


ふたりは少し笑いあった後、再訴真剣な顔で話始める。


「卒業に必要な出席単位は?」


「んー、あと30ってところかしら、それと最低でも一時間は必要ね」


「そうか、どこまで行ける?」


「高校までのはおわってるわん」


「海外留学手段は?」


「それはノー、ね。かなり強めの嫌がらせ入ってる。渡航しようとしたら即逮捕で少年院入レベルのね」


ギリっと、姉の歯ぎしりが聞こえ、あわあわと僕がしていると、今度はマーちゃんから白い湯気みたいなのがたっているのが見えた。

多分僕が見ているのは幻覚だろうと思う。


「真田にここ迄喧嘩を売ってきたのは、本当に久方ぶりねん★お祖父様もいつでも助力するってん★れいっちには借りがあるっていってたわん★・・・絶やしてみせるぜ」


「そうか、あの時のか、助力感謝すると伝えてくれ。零は本当に特別だからな。」


その後いくつか会話をした後、僕は姉に連れられて車に乗った。

マーちゃんにゲームで会おうって言い忘れた・・・


「姉ちゃん、ごめんね、僕のせいで・・・」


めにも止まらぬ速さ(神速)で僕を抱いた姉は頭をなでつけてくる

正直うれしいし、柔らかいのがあたって・・・じゃなくて僕の身長が155センチに対し姉は170で完全に子供扱いされるのだけど、なでながら


「いいえ、零ももうわかっていると思うし、早くなんとかするから、安心なさい。あのゴミ共で悩む事は何もないのよ?」


「ん・・・・」


沈んだ気持ちを表す様に、僕の目からは、何も出来ない悔しさと怒りからか涙が出た。


「竜堂、出して」

姉が会社の人らしい竜堂さんに声をかける。

竜堂さんは何故かわからないけど、ハンドルが壊れるんじゃないかってくらい握りしめてて痛そうだ・・・


「ごめっなさっ・・・・・竜堂さん、痛くないですか・・・?」


僕はそんなに握ったら手が痛いと思って涙を拭きながら声をかけた。


「いいえ、零様、じいは少し心がきしんでおっただけでございます。あ、鬼神になりそうですかの」


にこっと一瞬で笑顔になってから、車を発進させたのだった。



僕は、孤児だ。

あまり覚えていないのだけど、僕を載せた両親の車がある車に横からぶつかられ、崖から転落。

僕を守るように両親は息絶えていたらしい。

どうやら僕の両親は駆け落ちをしていたらしく、親族は皆無。

一度孤児院に預けられたのだけど、あの人達・・・

そう、僕の両親に車をぶつけた『躯金』という華家・・・すごいお金持ちに引き取られる事になる。

色んな理由や出来事があったらしいけど、概ね世間体の為だとか。


それからの日々は、地獄なんて生易しいと思える毎日だった。


体質もあり、見た目が気持ち悪いと引き取った初日から躯金家の人々に言われた。

本家と分家が有るらしく、僕が引き取られたのは本家。

当主には本妻の他に内縁の妻と呼ばれているちがう妻が何人かおり、大奥の様な体裁をとっている。

現代でありえないと姉は言っていたが、僕にはそれが当たり前と思っていたので違和感はなかった。あぁそういうものなんだって。

僕の両親を殺したのは序列一位の本妻・・・らしい。当主も何も会ったことなんて無くて、そう事実だけを幼い僕に毎日言い渡していた・・・らしい。

全部らしいって言うのは理由があって、僕は引き取られた日から明かりのない真っ暗な部屋に閉じ込められた。一応ベットとかトイレハあったけど、最初は何も見えなくて、手探り探した。

食事は一日に一回水とパンを何枚か渡されて、夜になると妻の誰かがストレス発散しに『来る』

ある日は沢山殴られて、気が付いた時は僕の鼻血かなんかで顔がぬめっとしてた。トイレの水で洗った。

違う日は目隠しをされて背中にとっても熱い何かが押し付けられたり、爪をはがされてたり

歯を無理やり引き抜かれた日もあった・・・

僕は最初は痛いとか泣いたりして、お父さんとお母さんを呼んでたと思う。

でも、そうしていると打たれたり、熱いのが増えたりすることが増えるから我慢することにしたんだ。

たまにだけど、腕にちくっとして、頭を撫でられてすまんって言われる日もあったけど、あまり覚えていない。


そんな日がいっぱい続いて、ご飯が食べれなくなって、なんだかふわふわと感じて。

もうちょっとでらくになれるなって時に・・・姉が、来た。


すごく眩しかったのを、覚えている


ばんって音がして、小さい悲鳴の後、僕は抱きかかえられて

それが暖かくて、気持ちよくて、良い匂いがして、なんだか嬉しくて・・・

眩しくて見えないから、僕は笑ったと覚えている。


その後は大きな物音が何回か聞こえた後、僕はふかふかのベットで目を覚ました。


思うように体は動かなかったけど、姉や竜堂さんとか、色んな人にいっぱい優しくされて、学校にも行かせてくれるようになった。

色々辛い事があって、好きな子に気持ち悪いって言われて、引きこもりになって。


僕を助けてくれた姉は、色んな事を話してくれた。

躯金家と立場の近い宮元家の跡取りで、なんか難しい病気にかかったけど、僕の血のおかげで助かったって事。他にも僕の血で助かった人はいっぱい居ること。

泣きながら、何度も姉や色んな人に謝られて、僕は皆に笑って欲しくて

「僕の血は全部あげるから笑って」って言ってから、皆僕に謝るって事は無くなったんだ。


でも、あの時の皆はなんかを決意した顔をしていたなぁ・・・なんでだろ?

姉のお父さんの無我さんとかは、「空位」を見せてやるって笑ってたけど・・・凶悪やさしい笑顔で


いっぱい勉強して、僕は知らない人が苦手だからって、行かなくて良いように『飛び級』を法案通したとか叔父さん(無我さん)に言われて、合格した時は皆で喜んだ。


沢山、沢山貰ったって思う。だから僕もお返ししたくて、何か出来ないかって叔父さんに聞いたら、僕・・・零が生きているだけで何もいらないよって抱きしめられたのを覚えてる。

ちょっとなんか酸っぱくて嫌な匂いがしたのは、内緒にしてる。


引きこもりになって、ゲームに嵌って、これで活躍したらって思って、対戦ゲームでトロフィーを貰って、「これでちょっとはお返しできたかな」って言った時なんて叔父さんとか姉とか竜堂さんが一時間くらい泣いて大変だった・・・

そんなこともあって僕はネトゲにどっぷり生活だったんだけど、13歳の時になんか事情があって学校に行かなきゃいけなくなった。

それが鏡花中学校。

姉達が言うには、躯金家の嫌がらせって話だけど・・・

でも登校するのは月に何回かだし、ネトゲ廃人の僕としては周回にアニメとラノベとサイト巡回で忙しいからちょうど良いんだけど・・・



ちょっと昔を思い出したら、皆といれるのが嬉しくて、お返しに姉の頭をなでて、「いつもあり・・がとっ・・・だいすき」って最後ちっちゃく言ってみたら・・


「ごふぅっ!!」


って姉が首を後ろに倒して悶始め


「じい!聞いたか??」


とドヤ顔しだし、竜堂さんがとてつもなく悔しそうなやさしいしながら、「良かったですね、お嬢様。羨ましい限りです」って口の端からちょっと血が・・・

あわてて僕は「じいもだよ」って言うと

うおぉ!って言いながら車のスピードがめっちゃ上がって正直怖かった。


普段は恥ずかしいから竜堂さんって読んでるけど、じいとか叔父さんって呼ぶと皆のテンションが怖いぐらいあがるから気をつけている。


ものすごい速さで家に・・・宮元の家に着いたのだった。


零 「玉リセマラしたい気分・・・」

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