第3話 転移
今回からやっと益之目線の話です。
冬らしからぬ暖かく心地よい風が吹いている。最初はその心地よさに身をゆだねていたが、段々とその違和感に気づく。
「あれ、今って冬じゃなかったっけ?」
と思い、日差しの眩しさを感じつつ目をゆっくり開ける。するとそこには......草原が広がっていた。日本では決して見られないような広々とした草原に見たことのない動物の数々。......そしてなぜか制服を着ている。
「あ、夢か〜」
あまりにも非現実的な光景と服装にこれは夢だと思った。異世界転生や異世界転移系のラノベをよく読んでいるからたまにはこんな夢を見ることもあるのかもしれないな。
だが、それにしてはあまりにも感覚がリアルすぎないだろうか。草を触る感触、暖かい風の感触に太陽の眩しさ。このどれもが現実と差異がないように感じられた。
この光景に圧巻されてしばらく見とれていた。
少したち、ふと我に返る。
「あれ、これってもしかして夢じゃなかったりする?」
このありえないくらいリアルな光景が本当に夢なのか、それとも現実なのかかちゃんと判断しておきたい。確認のため、テンプレだが頬をつねってみた。
「痛っ!」
まさか現実だとは思ってなかったのでめちゃくちゃ強くつねってしまったこともあり、めちゃくちゃ痛かった。そもそもこれが現実であったら何なのだろうか。まさか異世界に来たなんてことはないだろうから......やっぱり夢?
そんなことを考えていたら少し遠くから
「キャーーッ!!!」
木々が立ち並ぶほうから女の子の叫び声が聞こえた。何が起こっているのか全く分からないが、右も左もわからないのでとりあえずその声のするほうへ向かってみた。
近くに着くと一人の女の子がスライムみたいなものに攻撃?されていた。女の子は剣をぶんぶん振り回していたが、全くスライムにあたっていなかった......。
「なんであそこまで焦ってるんだろう?」
普通、スライムって異世界では最弱モンスターとかじゃなかったっけ?と思いながらしかしその女の子は死に物狂いで剣を振り回していた。
スライムってそんな強くないよな?と思いながら近づいていく。すると、
「助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
こちらに気付いたのか、こっちを向いて必死の形相で叫んできた。
こっちとしてもここがどこかわからないし、たとえ夢であっても人に死なれては困るので、近くに落ちていた木の枝をスライムに投げてみた。
「ピギィ!」
思ったより正確に、素早くかつ一直線に飛んで行った木の枝はスライムの中心部分に見事に当たり、スライムは変な声をだしてそのまま消滅していった。
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