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≪連載版≫ 男だけど、双子の姉の身代わりに次期皇帝陛下に嫁ぎます 〜皇宮イミテーションサヴァイヴ〜  作者: ユーリ
第2部 弟だけど姉の代わりに婚約者として皇太子殿下をお支えします。
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第27話 目先の事に囚われて大事な事を見逃す事ってあるよね。

 無事、皇帝陛下への御目通りが叶いました。

 事前の打ち合わせですでに許可の見込みは頂いているものの、これをもって正式に私とウィルの結婚式を執り行う事ができます。

 ちなみに正確に言うと、認められたのは結婚式の執り行いだけであって、結婚に関しての承諾はまだ認められていません。

 結婚に関しては、式中の署名を持って認められる事になっていますが、まぁここまで来て式で認められないなんて事あるわけ……ないよね?

 些か不安になってきましたが、式の方は待ってくれません。

 エマを含め皇宮で待機していた私の侍女達が、手早く私を着替えさせ準備を整えていく。


「お綺麗です。エスター様」


「ありがとうアマリア」


 このドレスは、王室お抱えのお針子と私、そしてヴェロニカによる共同作品にあたります。

 サテンで作られた真っ白なドレスは上からレースがあしらわれ、こちらが用意したドレス以上に美しい刺繍が目を惹く。

 それもそのはず、王室お抱えのお針子さんがその技術と歴史を以て作られた一品なのですから。

 レースがあしらわれたサテンのドレスは、私がデザインした婚約の儀の時の肩出しドレスのデザインが元となっています。

 しかし結婚の儀で使う寺院の厳かな雰囲気の中だと、そのままのデザインだと少しデザインが安っぽい気がしました。

 そこで参考になったのが、あの時もしものために作っていたショールです。

 肩の部分をレースの生地で覆う事で、透け感のある肩のラインが寺院の天井から降り注ぐ光と上手く相乗効果をもたらしてくれました。

 あとは、ヴェールも同じく透け感のあるものを採用し、逆にスカートは重厚感を出すためにボリューム感を重視し、なんとか数日前に完成したばかりです。


「姫様、本当におめでとうございます。ケイトは姫様の姿に、皇后様が嫁がれた日の事を思い出しました。これでもはや思い残す事はありません」


「ちょっとケイト、貴女にはまだまだ居てもらわないと困るんだからね」


「そうでした姫様、姫様の御子を抱くまではまだ頑張りませんと……」


「は、はは……ははは……」


 そういえばこの身体、ちゃんと赤ちゃんが産めるのでしょうか?

 いや、それ以前に私はあまり女性の身体について詳しくありませんし……そもそも男女の営みというのも……。

 一体どうしたものか……ケイトに相談するのはなしにして、年が近く無垢なアマリアに相談するのもちょっと恥ずかしいです。

 じゃあどうしたものかと、私はモニカとオリアナの方に視線を向けた。


「さすがですエスター様。いつも以上に麗しく、そして気品に満ち溢れております。私が結婚する時もエスター様がデザインしたドレスを着てみたいですわ」


「ありがとうモニカ。モニカの着るドレス、私もデザインしてみたいわ」


 わがままボディーのモニカは、本当は清楚なドレスを着たいのだけど、コルセットで締め上げるとどうしてもその胸の膨らみに男性陣の視線が行ってしまう。

 その証拠に、ヘンリーお兄様がたまに視線を彷徨わせているの私は知っていますからね。あと、モニカは婚約者様がいるから懸想してはダメですよヘンリーお兄様!


「ふふ、羨ましい事ですわモニカ様」


「あら? オリアナ、私は貴女が着るドレスもいつかデザインしてみたいわ」


 セクシーなオリアナには古臭いデザインはあまり似合わないから、ドレス選びには苦労していると思います。

 私の肩出しのデザインのドレスをもっとシンプルにした物とか似合いそうだし、今度モデルをお願いしてドレスをプレゼントしようかな?


「本当ですか? 楽しみにしていますねエスター様」


 経験豊富で年上のこの2人は、普通ならば相談相手としては申し分ないかもしれませんが、どちらも元々の私の事情を知りません。

 やはり、そうなってくると私の事情を知っている人でないといけないですよね。

 エマに相談すると絶対に面白がって弄ってくるだろうし、かといって武人のレオーネにそんな事を相談してもいいのか……。

 私が思い悩んでいると、誰かが私の肩を軽く叩いた。


「体調は問題ないかな、お嬢ちゃん? いや、これからは妃殿下とお呼びした方が適切かな」


「ラ、ラフィーア先生!」


 そうでした。私にはラフィーア先生がいるのです。

 早速、私の体と今晩のことについてご相談せねば……。


「失礼します」


 私がラフィーア先生の裾を引っ張って仕切りの裏側に連れ込もうとした瞬間、皇宮侍女の1人がそろそろ式場へ向かう時間だと告げました。

 ま、まぁ……まだ夜を迎えるまでには時間があります。ここじゃなくても、ラフィーア先生とはどこかで話せるタイミングがあるでしょう。


「で……では、参りましょう」


 エマ、アマリア、ケイトとはここでしばしのお別れです。

 この3人と再度合流するのは、次の衣装替えのタイミングになるでしょうか。その時になんとかラフィーア先生と会話する時間を作らねば……。

 護衛のティベリアとレオーネ、侍女のオリアナとモニカを伴い式場へと向かう馬車の元へと向かう。

 ドレスのスカートとヴェールを地面に擦らない様に、オリアナとモニカが裾を持ち上げ私と歩幅を合わせる。

 ちなみに、御者を務めるラタとアルお兄様は一足先に馬車で待っています。

 私たちが皇宮の通路を抜けると、皇城との間にある小部屋で先に到着してたウィル達と合流しました。


「おまたせしてすみません、殿下」


「気にする事はない。むしろ待っていた間、エスターがどのようなドレスを着ているのか、ずっと楽しみにしていたからな」


 ウィルはお針子さんや生地の手配はしてくれましたが、完成形を見るのは本番の楽しみにしておきたいとデザインは私の自由にさせてくれました。

 だからこそ私も、ウィルに綺麗だって言われるようなドレスを作るために頑張りましたよ。


「どうでしょう? 殿下の想像したものに劣っていなければいいのですが……」


「想像以上だエスター。レースの透け感は軽やかで妖精が舞い降りたかのように可愛らしいが、スカートの重厚感は将来の皇后に相応しい美しさがある。そしてこのヴェールに光が落ちれば、女神の神々しさも君の前では霞むだろう。エスター、君は何度、私を惚れ直させるのだ?」


「あ、ありがとうございます……殿下……」


 ちょ、ちょっと……いくらなんでも褒めすぎですよ!

 褒めたって何にも出ませんからね!!

 私は赤らめた顔を背けて隠す。


「殿下、あまり私の妹をいじめないでやってくれませんか?」


「いじめているつもりはないのだが……すまない、どうやら嬉しすぎて浮かれていた様だ」


 へ、へぇー、ウィルも嬉しいんだ。

 私も実は昨日なかなかねれなかったんだけど、ウィルもおんなじだったのかな?

 だったらちょっと嬉しいな……えへへ。


「だが、まぁ……そうだな。ヘンリーに免じて、お楽しみは今晩にとっておこうか」


 え、えぇっ!?

 驚いた私がウィルの方に視線を向けると、ウィルは目を少し細め口元を緩ませた。

 ら、らふぃーあ先生、はやくー、はやくー私を助けてくださいませ!!

 くっ、こんな事ならエステルの時に、恥ずかしがらずにもっと予備知識をつけておくべきでした。

 私とした事が、結婚できる事に浮かれてて、それ以外の事を何も考えていなかったとか……ポンコツにもほどがあります。


「……そういう所ですよ、殿下」


「ふっ、心配しなくてもお前の妹はちゃんと可愛がってやるから安心しろ」


 ウィルの言葉に、モニカやオリアナも顔を赤らめる。

 か、可愛がってやるって、ドウイウイミナンダロウネー……。


「さて、では行こうかエスター」


「ひゃ、ひゃい」


 もう! 式の前なのに声が裏替えっちゃったじゃないですか。

 それを見たウィルフレッド様が小さく噴き出したせいで、周りの皇宮侍女さん達に微笑ましい顔をされてしまった。

 ううう……まさかこの様な辱めを受けるとは、ウィルのせいですからね!!


「大丈夫だ、エスターが嫌がる事はしないから」


 本当に? 私はじーっとウィルの瞳を見つめる。

 どうにも胡散臭い笑顔だけど、これも惚れた弱みです。信じましょう貴方を……。

 私はウィルの手を取り大人しくエスコートされる。

 気のせいかウィルと触れ合っている部分が、いつもより体温が熱い気がします。


 別々の馬車に乗った私たちは市井にあるトレイス正教会の寺院へと向かう。

 本来であれば結婚の儀は、婚約の儀と同様に宣誓の間で署名し大聖堂で式を執り行うつもりでした。

 しかし昨今の帝国の状況を考えた皇帝陛下は、過去に結婚の儀が執り行われた事があった歴史ある寺院を式典会場に使う事をお決めになられたのです。


「待っていましたよ、エスター様」


 寺院に到着すると、私を出迎えてくれたのはウィンチェスター侯爵でした。

 ウィンチェスター侯爵は、式典会場における私の介添人を務めてくれます。

 まぁ、介添人と言っても、そんなにする事は多くないんですけどね。

 私がヘンリーお兄様の手を取り馬車から降りると、遠く離れた場所から大歓声が聞こえてきました。

 ここにくるまでの沿道にも多くの人達が詰めかけていましたが、ここにもまた多くの人が私達の姿を見るために詰めかけています。


「では、お部屋に案内いたします。どうぞこちらに」


 私は先に寺院に到着したウィルとは別の部屋へと案内される。

 ここで最終的な身だしなみのチェックを行い、式場へと向かいます。


「ところでエスター様、私からの贈り物の方はお役に立ちましたでしょうか?」


 顔色一つ変えずにいきなりぶっ込んできましたね。

 ここにいる大半が事情を知らないってご存知でしょう?


「ええ、ウィンチェスター侯爵、その節では大変お世話になりました」


 皇璽尚書こうじしょうしょのウィンチェスター侯爵は、皇帝陛下の印章である御璽ぎょじを管理する立場にあります。

 だからこそ、エスターが持ち出した初代皇帝アーサーの剣、あれはこの人の協力なしには得られません。

 エスターは宝物庫から拝借したと言いますが、宝物庫に入るための御璽を管理するウィンチェスター侯爵の協力が無ければ、近衛騎士に騒がれずに盗み出す事はほぼ不可能なはずでしょう。

 つまりこの人を辿ればエスターと連絡する事ができるという事です。

 すぐに姿を消したエスターには何か目的があるのだと思いますが、エスターの目的が帝国との敵対ではないのであれば構いません。今はそっとしておこうと思います。下手に私が動いて、エスターの足を引っ張るわけにはいきませんから。


「それでは準備の方が整いました様ですので、此方へどうぞ」


 ウィンチェスター侯爵の案内で、入り口で待つお父様のところへと向かう。

 結婚の時に、花嫁を花婿の所までエスコートするのは家長の役目です。

 つまりそれぞれの家の状況によって、エスコートするのは父親とは限りません。

 母親、祖父、祖母、兄、姉……中には妹や弟がエスコートした場合もあったとか。

 ちなみに入り婿の場合、花嫁が先に会場で待ち、嫁ぐ男性の方がエスコートされたりとかもあるそうです。


「緊張してないかい?」


「少し……でも、これくらいの緊張感は程よいです」


 寧ろ式の事より私にとっては今晩の事の方が心配なのですお父様。

 一体どうなる事やら、出来るだけ早くラフィーア先生に相談しないと……。


「そうか……では、行こうかエスター」


「はい、お父様」


 私がお父様の手を取ると、ウィルの待つ会場への扉がゆっくりと開いていった。

 さぁ、いよいよ結婚の時です。

 お読みいただきありがとうございます。

 ブクマ、評価等ありがとうございました。

 ちなみにウィルはウィルで、遠足前の小学生男子並みに浮かれてます。

 実際1日寝てなくて、ウィルの眠れない夜で幕間やるかもやらないかもしれない。

 そして巻き添えを食らうヘンリーとウィルフレッド……。

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