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≪連載版≫ 男だけど、双子の姉の身代わりに次期皇帝陛下に嫁ぎます 〜皇宮イミテーションサヴァイヴ〜  作者: ユーリ
第1部 弟だけど姉の代わりに皇太子殿下の婚約者候補になります。
18/71

第17話 会いたくない人ほど、向こうから会いに来るのである。

「やぁ、エステル、元気にしてたかい?」


「お久しぶりです、お父様」


 晩餐会に参加するために御用意して頂いた別室で、家族と久しぶりに再開しました。

 お兄様とはついこの前も会ったばかりですが、お父様やお養母様と会うのは皇宮に入る前が最後です。

 この部屋にいるのは待ち時間の少しの間ですが、配慮していただいたのか部屋の中には身内だけしかいません。


「エステルちゃん、皇宮での暮らしはどう? シャルちゃんに虐められてない?」


 この世で皇后様、シャーロット陛下の事をシャルちゃん等とふざけた愛称で呼べるのはお養母様くらいでしょう。


「大丈夫ですよ、お養母様、皇后様には本当に良くして頂いているのです」


「あら、そう? それならいいのよ」


 何故かつまらなさそうな表情をしたお養母様の隣で、どこか少し挙動不審なお兄様の姿が目に入りました。


「どうしましたか、お兄様?」


 お顔を近づけたお兄様は、私の姿をマジマジと観察し始めました。

 お兄様……他の女性にそのような事は絶対してはいけませんよ。


「いや……少し、いつもと雰囲気が違うなと」


「ふふ、今の私は完全に女性なので、そのせいかもしれませんね」


 今日、晩餐会に参加される方達は、婚約の儀にも参加される方達ばかりです。

 本番は女性の状態で臨むつもりなので、今日参加される方達の中に微妙な差異に気がつく人がおられるかもしれません。

 レヨンドールとの一件もございましたし、もしもを考えて警戒しておいたほうが良いでしょう。 


「成る程、そういうことか」


 今日の晩餐会では、お兄様が私のエスコートを務めます。

 私はまだ正式にウィリアム殿下と婚約しているわけではありませんし、これが最も周囲の波風を立てないやり方だと言えるでしょう。


「皆様方、そろそろお時間でございます」


 さて、ある程度の事は想定していますが、龍がでるか悪魔がでるか、会場に出てからが勝負でしょう。

 しかし今回は、お父様やお兄様、お養母さまがいらっしゃるので私1人ではありません。


「さぁ、行くぞ」


 お父様の掛け声に、みなの表情が引き締まります。

 私たちは後ろでお辞儀するエマさんを部屋に残し、晩餐会の会場へと向かった。







 会場の前の入口に到着すると、お兄様は大扉の両脇にいる騎士様達に目配せします。

 お兄様の表情からして、この方達はお兄様と同じ近衛騎士の同僚の方でしょうか。

 私もお兄様の印象が悪くないように、騎士様達に笑顔を返します。

 それなのにどういう事でしょう、騎士様達は私の顔を見て固まってしまいました。

 もしかして私の笑顔は、どこか変なのでしょうか?

 少し不安になってきました……。


「コホン」


 お父様の咳払いに、騎士様達は慌てて頭を下げました。


「サマセット公爵エドワード・ボーフォート様、ヘンリー様、キャサリン様、エスター様、御到着で御座います」


 大きな扉が開かれると、目の前に伸びる本紫の絨毯や、果てしない天井から降り注ぐシャンデリアの光が目に入ります。

 皇帝陛下の色である本紫は、今回の主催が誰であるかを明確に示していると言えるでしょう。

 室内に入ると、既に入場を済ませた幾人かの貴族達の視線が此方に向けられました。

 私は一呼吸置き、お父様とお養母様の後に続いて、お兄様にエスコートされ中へと進みます。


「お席にご案内致します」


 侍女さんの後ろを付いて行こうとしたその時、予期せぬ事態が起こりました。


「エスター様は此方のお席になります」


 他の家族達とは、何故かばらけた場所に案内されました。

 お父様、お養母様、お兄様、それぞれが別の席へと案内されます。

 これは一体どういう事でしょうか?


「今日の晩餐会はいつもと趣が違いまして、それぞれご家族の方とは別々の席に、ご案内させていただいております」


 そういう事でしたか……。

 納得はできましたが、この席に案内されるというのは何か作為的な物を感じます。

 しかし、そんな事を言っている場合ではありませんね。

 何故なら私の目の前には、この人がいるのですから、油断の1つもできません。


「お初にお目にかかります、ベッドフォード公爵」


 レヨンドールと対峙した時を思い出し、動じず、冷静に、公爵家令嬢に相応しい挨拶ができたのではないでしょうか。

 目の前にいる白髪の男性、ベッドフォード公爵は大柄でガッチリとした体格のせいか、年齢による老いを感じさせません。

 くぐり抜けてきた歴戦と同じだけのシワを積み重ね、その眼光の鋭さは未だに現役であると物語っています。

 顔を上げると、ベッドフォード公爵はそのご立派なヒゲをさすりながら、私の方をニヤリと笑いかけた。

 お読みいただきありがとうございます。

 今回も短めでの連日投稿です。

 ペース的にはやりやすいのですが、あまり話が進まなくてすみません。

 ここに来て、公爵家、お父様、お養母様、皇后様の名前が明らかになりました。

 隠していたわけではありませんが、序盤キャラを出しすぎると覚えるのが面倒かなと思って、省略できそうな人たちは覚えやすいように省略しておりました。

 なお、皇帝陛下の名前はジョージです。

 ちなみに未だ出てない公爵家の次男の登場は、もっと後になります。

 ブクマ、評価、ご意見、ご感想ありがとうございました。

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