表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

前編

2話完結です。

よろしくお願いします。

私は例えるなら野に咲く花。

たくさん咲いているたんぽぽだ。




彼の周りにいるのは、例えるなら花の中でも人気者の花だ。


1輪で周りの目をうばうような花。

薔薇やひまわりみたいに、大きくて、綺麗で、豪華な花。

お花屋さんでも、NO.1を誇る人気の花のような人。

万人に受け入れられる花。


それはもう華だ。


私は野に咲く花。

大量にあるたんぽぽのような存在。


道を歩く人が気が向いた時に一瞬だけ立ち止まって、見るような花。

そして、すぐに向けられた視線も外されるような花。


だから、彼が私を立ち止まってみて、話してくれてもそれは、道行くたんぽぽに立ち止まって一瞬顔を向けてくれただけの出来事。


私にとっては、嬉しい大切な大切な思い出であったとしても、彼にとっては1日の中にあった出来事に過ぎない。その出来事さえ覚えてないかもしれない。


それでも、私はその事実を知ってても嬉しくなってしまう。


3日に1回ぐらいの頻度で挨拶してくれる彼。


彼が選ぶ人が私じゃないのは分かっている。

私が彼に似合わないのも知っている。


それでも、すれ違った時に目で追ってしまうくらいは許してくれるだろうか?


彼の周りにいるのが、私のような普通の人でなくて、その人1人いるだけで、華やぐ花のような存在だとしても。


その周りの人も許してくれるだろうか?


私から声をかけることはしないから。

これを恋にはしないから。

彼が私を選んでくれるなんて夢にもしないから。


だから、彼がふと気が向いた時にみたたんぽぽが、嬉しそうに風に揺られているように、私も彼が声をかけてくれた時、嬉しくなるのを許してくれるだろうか?




その道端に咲くたんぽぽに初めは一瞬顔を向けるだけ。

それがだんだんと長く見るようになり、ついには、座ってたんぽぽを見るようになった。


でも、たんぽぽは、時期が来ると綿毛になって飛んでいってしまう。


私と彼との時間が終わりが近づいてきているように。

私たちはもうすぐ、卒業する。


彼の進学先は知らない。

でも、彼は容姿だけではなく、頭もいい。


私は道端に咲くたんぽぽと同じように平均的だ。

いや、平均より低い。


つまりは、同じ学校には行けないのだ。


これで、お別れ。


彼が気が向いた時に話した私はもうそこにはいない。

その進学先でまた、同じように道端に咲くたんぽぽのような人に気が向いた時に話すのだろう。


たんぽぽは1つじゃないから。

全く同じたんぽぽはいなくてもだいたいみんな同じ。

たんぽぽというくくりは、普通の人というくくりは変わらない。


この短くも楽しかった一時も終わりだ。




でも、それは違ったようだった。

また、彼と私は同じ学校だった。


そして、彼は言った。


「おはよう。また、よろしくな。」



道端に咲いていたたんぽぽを覚えていた。


たんぽぽのような存在は、前の学校にも沢山いた。

それでも、その他大勢のたんぽぽのような人ではなく、私として覚えていてくれたことが嬉しかった。


また、私と彼の不思議な関係が始まる。


恋人ではない。

友達でもない。

同じ学校の人というにはちょっと違うような。

知人というのも違うような。


2日に1度彼が挨拶してくれる関係。

ずっと変わらないでいてほしい関係。


たんぽぽのような普通な私と彼の不思議な関係。




後編は明日出します

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ