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声色6

医師に失声症と診断されてから5ヵ月になろうとしている。


失声症を漢字で書くと「声を失う」と書くため、もう二度と自分の声は出ないのかと枕を濡らす夜も少なくはなかった。


心理的なショックとかで声が出なくなっているだけだと思うからそんなに心配しなくてもいいよ、と医師からは言われたが、やはり「もしも」を考えると自然と涙が出た。


このまま声が出なかったら。


そう考えれば考えるほど自分が暗くて深い闇に飲まれていくのが分かった。


そんな時にネットで見たのがある書家の書道パフォーマンスだった。名前はもう覚えていないが、当時の自分に大きな衝撃を与えた人物である。


その書家の体と同じくらい、もしくはそれよりも大きい筆を力強く踊らせていく。かと思えば、今度は今度は小中学生が書き初めで使うような小さな筆で、大筆で書いた言葉の周りに文字を流すように散らしていく。


目の前がぱあっと明るく晴れたような気がした。画面の中でキラキラ輝いて、文字と、筆と、墨と、袴と踊っている。文字の振幅に合わせ体も自由に動かしている。


ただ白くて大きい紙に黒一色の墨で文字を書いているだけなのに、色が付いて見える。


白と黒。


その2つに自由さや輝き、楽しさで色を置く。それはたちまち自分の色となり、個性となる。


自分の語彙力じゃ表しきれない色。


自分のは、どんな色だろう。

自分は、どんな個性を持っているのだろう…。


自分の色は、何色だろうか。

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