ある村娘の受難の始まり
初投稿でよくわかりませんが、よろしくお願いします。稚拙な文章で申し訳ないです。
それは、父から王位を継承して落ち着いた頃だった。一度地方の視察をしたほうがよいという話になり、仕事の合間を見ながら、まず北部、西部と終わらせ、二度目の視察で、南部が終わり最後の東部地方を訪れたときのこと。
そこでは治安が落ち着いているので、私自身が市場を見回ることができた。田舎だけあって、王都の市街地に比べると地味で、でも活気がある場所だった。
なぜ、わざわざここまで来たのだろう。どこの地方でも書類通りのものしか見ていない。助言役の考えがよくわからない。そんなことを考えながら、歩いていた時だった。
「そこのきれいなお兄さん、お花はいらないかしら?」
若い女の声だった。澄んだ音を出すとは思ったが、それだけだ。
「男に花を勧めるのか。」
そう返しながら、女を見ると普通の売り子の娘なのに何故か目を引かれた。
「あら、男でも女でも花は美しさを引き立てるわよ。部屋に飾れば、気持ちを癒す効果もあるし。せっかくそんなにきれいな顔を持っているのよ、花に癒されてもっと晴れやかな顔にしたらいいと思うの。あなたには笑顔が似合うわ。」
「そうか。」
笑顔で話す娘が可愛らしく見える。笑顔が似合うのは、彼女のほうだと思うが。
「えぇ、その笑顔ね。それで、花束をプレゼントすればどんな女の子でもすぐ落ちるわ。」
俺は今、笑顔なのか。彼女の言葉に乗り、花束を買う。
「ほら、これをプレゼントすれば惚れるのだろう?受け取れ。お前を気に入った、妃にしてやろう。」
「え。いや、私じゃなくて他の方に、渡してあげてください。」
俺からの求婚だぞ。断るなんてありえないだろ。あぁ、騒ぎにならないように髪と瞳の色を変えていたな。なら、戻せばいい。
「私を好きになることは当然だ。名前は何だ?」
「げ…、いえ、間に合っていますので。陛下のお相手は、もっとふさわしい方がいらっしゃるでしょう。私には恐れ多いですわ。」
身分が違えばそう思っても仕方ないか。そんな心配しなくとも大丈夫だが。
「誰にも文句は言わせぬ。遠慮しなくてよい。私と結婚できるのだぞ。こんな田舎におらずとも、城で美しく着飾って過ごせるのだ。教養など城で教師をつければよいだろう。わかっておる、私に惚れるのは当たり前のことだ。」
これで安心しただろう。どんな女も王族であり、この見た目を持つ俺に集まってきた。ここまですれば簡単にうなずくだろう。
「いや、そうじゃないのに。あ、と、私だと、陛下の邪魔になってしまうと思いますの。あぁ、きっと日が強かったのかもしれませんね。このような日は、水分をたくさんとったほうがいいそうですよ。きっとアリスが言っていた熱射病ね。王族なんて絶対無理だわ。誰が結婚なんてするかボケ。」
あぁ、照れ隠しだな。かわいいものだな、わが姫は。私の体の心配までするとはなんと優しいのだろう。
「照れなくてよい。なに、私は大丈夫だ。余計なまねはさせぬからな。私は明日王都に立つから、用意しておけ。」
「いや、うん。あの、申し訳ないのですが、少し時間をいただけませんか。どうしよう、これ避けられない方向に行っているわよね、確実に。あぁ、ないわ。というか、私の味方はどこかいないのかしら。」
「時間か、なぜだ?」
「う、この辺りは田舎なので、村を出る際、話をして行かなくてはいけない人がたくさんいまして、家族に話すにも、本日は全員が集まれないので少し日にちが必要なのです。」
そうか、でも婚姻前に最低限の教養をつけなければいけないから、時間がないな。
「3日でよいだろう。」
「あ、いえ、よろしければもう少しいただきたいのですが。いや、3日じゃ無理でしょう。どうすればいいかな、あぁ、なんで今日に限ってアリスを置いてきたのよ。」
「陛下、失礼いたします。さすがに3日は難しいかと。せめて、1週間ほど見てはどうでしょうか。」
あぁ、騎士団が護衛にいたか。こいつも女が寄ってくるから、できれば今出てきてほしくないのだが。
「そうだな。1週間だ。7日後に迎えの馬車をやる。」
「ありがとうございます。あと、付添というか、一緒にだれか連れてもよろしいでしょうか。」
「あぁ、侍女か。そうか、用意しようかと思っていたが見知ったものがよいかもしれないな。だが、お前の恥になりそうなものはやめておけ。」
「わかりました。ですが、私では難しいと陛下がお考えになればいつでもおっしゃってください。」
こうして俺の妃を見つけた。あぁ、1週間がこんなに待ち遠しい。
一生をかけて可愛がってやろうではないか。
面倒なことになったわ。何が国王よ。平穏に暮らすには、田舎がちょうどいいわよ。さて、どうしようかしら。急だわ、1週間よね。でも、あの騎士がいなければ3日しかもらえなかったでしょうね。何かあれば頼りになりそうだわ。
とりあえず、確か王族はアリス好みの美形だったから、それで釣るとしようかしら。そうよ、姿絵は見たことあったのに、なんで色が違うだけで気づかないのよ。わかっているけど、アリスが好きそうだという記憶しかないから仕方ないか。どうして興味のない私にこんなことが起こるのよ。どうにかして、城から出してもらうほかないわね。