お風呂
サミュルから遠ざかり今は山道。左右は森に囲まれていて不気味だ。夜になればより一層不気味になる。私達はアイリスの家を目指して歩いている。
「おい、まだ着かないのかよ」
「うるいわね……もう少しよ。ほら、あれが私の家よ」
アイリスが指差した方向に一軒の家が見えた。電気も付いてて誰か住んでる事が分かる。森を抜けた所に建っていて周りは何もない平原が続いている。
「あ、姉ちゃんお帰りなさい」
見ると家の前に誰か立っている。まだ幼くて一生懸命手を振っている。
「アルム。ただいま」
アルムと呼ばれた少年は嬉しそうに頬を紅く染め、微笑んだ。よっぽどアイリスの事が好きなのだろう。
「へー、アイリスの弟?可愛いね」
マナの言う通り。まだ幼い顔立ちだがどこかアイリスに似ている気がする。女の子と間違えそうになる。将来が楽しみだ。
「お姉ちゃんと同じ制服……それじゃ、お前らもナチュラルなのか!!」
アルムは興味津々に私達をジロジロ監察する。
「おい小僧。歳上に向かってお前らとは何様だコラ?せめてお姉様、お兄様だろうが」
そ、そうかな?
「ふーんだ。少し先に生まれたからって偉そうにしやがって!」
「コラ、アルム!!またため口使って。直しなさいって言ってるでしょ」
これが兄弟喧嘩かな?兄弟が居ない私にとって少し羨ましかった。
「アイリスにアルム。外で喧嘩なんて止めなさい……ごめんなさいね、騒がしくって…アイリスの友達ね?」
中から出てきたのはアイリスとアルムの母親。とても綺麗な人で言われなきゃお姉さんだと思うだろう。綺麗な肌に艶やかな紅い髪。レオやマナも唖然としている。
「お、お邪魔します」
そう言って中に入るとすぐ薔薇のいい香りがした。キッチンやテーブルがあり、ドアが4つある。全体的に木で作られている。
「ふふっ、まずはお風呂に入りなさいな。今日は疲れたでしょう」
アイリスの母親、アーシェさんはそう言って微笑んだ。その微笑む姿が美しいと思ってしまう。結局、アーシェさんのお言葉に甘えて風呂に入る事にした。まずは女子の番。
レオ達はアーシェさんの夕食の手伝いをしている。
「いい、レオ。覗いたらただじゃ置かないから!分かった?」
アイリスはお風呂のドア越しに言う。「誰もお前の裸なんて興味ねぇよ」という返事に怒り爆発で今にも出て行きそうだったので私とマナで必死に抑えた。
「ふぁー。極楽極楽」
脱衣場で服を脱ぎ、三人入っても広いお風呂に入る。マナが気が抜けた声で言うもんで私とアイリスで笑ってしまった。
「ちょっと、笑ってないで……アイリスの体はどうなってるのかな?」
えいっとアイリスに抱きつくマナ。こんな事は女子同士じゃないと出来ない。アイリスは顔を赤くさせている。
「ひゃあ、ちょ、どこ触ってるのよ!」
マナは当然のようにアイリスの胸を触る(というか揉む)。何だかんだ言いながらアイリスもマナも楽しそうだ。
「アイリスって態度デカイのに胸は小さいんだね。ちょっと意外」
「よ、余計なお世話よ」
「おーー、怖い怖い。じゃ、次はリディアの番だよ~」
マナが恐ろしい形相でこっちに迫って来る。これじゃ、マナはただの変態だよ!
「きゃっ!」
女子に体触られるの初めてで変な感じ。何だかくすぐったい。
「おぉー。リディアってば意外に胸あるんだ!アイリスより大きいよ」
「な、む、胸の大きさなんて関係ないわよ」
そういえば女子同士でお風呂に入るなんて事、一度もなかった。こんなに楽しいものなんだ。
ガチャっ
そんな音がして私達は振り向く。すると白い髭を生やしたお爺さんが立っていた。




