羽化
『…あーあ。これじゃもうすぐで羽化しちまうな……そうなれば、ここに居る奴らだけじゃなく街に住む奴らも死ぬぞ』
それじゃさっきの姿は幼虫?羽化したら一体どうなるんだろう。
「なら羽化する前に倒せば……鷹、シュレッダー・カッター!!」
女の子はもう一度攻撃。攻撃は当たるけど傷は付かない。それは何度やっても同じだった。レイヴンの話が本当なら羽化する前に…
「うしっ、俺復活だ!虎、もう一度アタックだっ」
『……承知』
レオの攻撃。すごい衝撃で突風がこっちまで来る。でも傷は…………あ、少し傷ついてた!傷はほんのちょっとだけどそれでも士気が高まる。
「よし、もう一度だ」
『………次こそは』
「私達も行くわよ、鷹!」
『えぇ』
次は二人の一斉攻撃。この二人の攻撃なら傷つける所かアンナチュナルを倒せそうだ。攻撃がアンナチュナルに当たる。さっきよりも凄まじい突風。立っているのもやっとだ。
「ど、どうなったの?」
やがて突風が収まり静寂に包まれる。アンナチュナルは……これ以上傷を付けれなかったようだ。これで私達は何も出来なくなったんだ。
「どうしよう」
アンナチュナルがいつ羽化するか分からない。それに羽化したらどうなるのかも想像すら付かない。やっぱりレイヴンなら…
「…おいリディア。レイヴンの力を使おうとか考えてるんじゃねぇぞ」
『お嬢、主の言う通りです』
レオにクロまで。ありがとう……
「なっ、ちょっとあれ見て!!」
女の子がそう言ってアンナチュナルを指さす。アンナチュナルを見ると少しだけ糸がほぐれている。左右に揺れている気もする。
『こりゃ、羽化が近いぜ。どうするんだ?』
レイヴンは私達を焦らす。焦らせて私達の反応を楽しんで見てるんだ。自分の契約した魔獣なのに…何で従えさせる事が出来ないんだろう。
「くっ、諦めちゃダメよ!もう一度連携攻撃よ。力尽きるまで勝負よ」
「おう!望む所だ」
二人はちゃんと自分の魔獣を従えて、仲も良い。ちょっと羨ましいな…。
『…威勢は良いが、どうやらゲームオーバーのようだぜ?ほら、見てみろよ』
レイヴンがそう言うのと同時にパキパキという音が聞こえてきた。それはアンナチュナルが作り出した糸の玉から聞こえる。
「そ、そんなっ」
糸の玉はゆっくりと半分に割れ、中から出てきたのは綺麗な羽を持つ蝶だった。バタバタと羽を振ると絶えず、黄色い粉のようなものが落ちる。羽化してしまったんだ。
「あれが羽化……でもまだ終わっちゃいねぇ。虎、諦めんな…アタックだ!!」
『………承知。私もまだ諦めていません』
虎はアンナチュナルへと走る。スピードもかなり出てるし、当たれば今度こそ吹き飛ぶ筈。大丈夫だ!
“ギギギ……ムダダ”
これはアンナチュナルが喋っているの?アンナチュナルは羽を虎に向かって羽ばたかせる。するとみるみるうちにスピードが下がり、最終的には全く動けなくなってしまった。
「く、クロ!!」
虎の所に行こうとするレオを止めながら何か方法を考える。でも何も思い付かない。
「あっ…な、何!?……体が…痺れる」
隣に居た女の子に異変が起こった。どうやら体が痺れて動けなくなったらしい。それをきっかけにレオまで動けなくなってしまった。何故か私は大丈夫だったけど一人でどう戦えば良いの?
「………きゃあ!な、何これ!?」
聞き覚えの無い声がする。声がした方を向くと女の子が立っていた。




