鷹のナチュラル
「……見た所、あなたもナチュラルね。なら、力を貸して……私だけじゃアンナチュナルは倒せない」
女の子が何者かは分からないけど少なくとも敵ではない。だって同じ制服…これから仲間になるんだもん。
「…分かった。何をすればいい?」
「ふふっ…まずは奴を守ってる防御壁を吹き飛ばすのよ。まぁ、見てて……求めるは美!出でて自由の空を飛び回りなさい、鷹」
レオと同じように女の子の足元から現れた魔法陣。そして女の子の魔獣が現れた。艶やかな毛に大きな觜。可憐だ。
「つ、次は私の番だ。求めるは守る強さ!お願い、あのアンナチュナルを倒して、出でよレイヴン」
私が契約した魔獣はレイヴン。生意気で私の言うことを聞いてくれないけどそれでも戦い続けるんだ…こんな所で終われない。
「…レイヴン。なるほど、これはちょっと強すぎじゃない?まぁ、良いけど…それじゃ作戦を話すわ」
作戦はこうだ。アンナチュナルを守る防御壁はサミュルの魔法の水でどんな攻撃も効かない。そこで女の子の魔獣が防御壁を吹き飛ばして最後にレイヴンが止めを刺す。
「おい、俺はどーすんだよ!?」
あ、レオの事忘れてた…どうしよう。このまま黙って大人しくしてるなんて無理だろうし。
「…あのアンナチュナルに一撃で倒された癖に、まだ戦おうって言うの?あんたは黙って見ていなさい」
すごい……レオにここまで言えるなんて。レオはといと悔しそうに唇を噛んでいた。
『……ふ、不覚』
「それじゃ、行くわよ!鷹、シュレッダー・カッター!!」
女の子が指示すると鷹はアンナチュナルに向けて巨大な翼を羽ばたかせる。するとその風がカッターのように鋭くなり敵に当たった。女の子の攻撃は効いてるらしく、アンナチュナルを守る水の防御壁が吹き飛ばされていく。━━━━今だ!
「レイヴン、出番だよ!」
『……あのアンナチュナルを倒すんだろ。別に俺じゃなくても鷹でも出来るだろ』
でた。普通、魔獣は契約したら主である契約主には従うのは当たり前。でも私の魔獣のレイヴンは何故か言うことを聞いてくれない。
「なっ!魔獣が主の言うことを聞かないなんて」
『…くっ、アイリス。早くしなくては…もうあまり持ちません』
綺麗な声……って鷹って女の子だったんだ。知らなかった。
「どうしよう……お願いレイヴン!私の言うことを聞いて!お願いだからっ」
このままじゃここに居る女の子とレオだけじゃない。サミュルの人々がアンナチュナルに殺されてしまう。
『………ならば、お前の命をいつもより少し多く差し出せ……そしたらあのアンナチュナルを俺様が倒してやっても良いぜ』
━━━━命を差し出す
私の命で皆が助かるなら、少しぐらい平気だよね?だから命を…
「バカ野郎!!何やってんだよリディア」
「……レオ」
レオと私は幼馴染み。小さい頃から一緒に居た。見ず知らずで記憶がない私を家族と言ってくれたレオ。だからレオの考えてる事も分かる。
「俺は知ってる…レイヴンと契約する条件を……………でも、まだ命を差し出すって言うならお前の代わりに俺が戦ってやるぜっ」
レオ………知ってたんだ。
『…うっ、もう限界です。逃げて!』
「なっ!鷹」
攻撃していた鷹の攻撃が止まってしまった。そしていよいよアンナチュナルが動き始める。いも虫のアンナチュナルは自分に向かって糸を巻き付けていく。
「…な、にあれ」
そしてアンナチュナルの姿は完全に隠れ、残ったのは糸で自分の身を守り糸の玉になったアンナチュナルだけだった。




