旅立ち
「本当に行くのかい?」
「はい……試験も合格したので」
私は寂しそうにしているおばさんにそう言った。血は繋がってないとはいえ、私をここまで育ててくれたおばさんは母親みたいな存在。離れるのは辛い。それにここは小さい村で50人しか暮らしてないけど皆、親切で優しくしてくれた。周りは森で囲まれてる為、空気が美味しくて近くに湧水もありこちらも美味しい。
「…ところでレオは?」
「あのバカ、まだ寝てるのかい。仕方のない子だね」
おばさんは怒りを滲ませながら恐らく寝てるであろうレオの家に入って行った。レオとは私の幼馴染みでレオ・ルーズ。私と同じナチュラルだ。
「ギャアアアアアアアアアア」
数分後に響きわたるレオの叫び。その叫びを聞いてこれからとても心配になった。
「あ、レオ。おはよ」
家から出てきたレオに挨拶をする。頭には大きなたんこぶができている。レオの後に少し遅れておばさんが来る。
「……本当に行くんだね。気をつけるんだよ、このバカをよろしくねリディア」
おばさんは今にも泣きそうな表情だ。私だって泣きそうだけど我慢して精一杯笑う。
「はい、行ってきます」
こうして私とレオはナチュラルの為の育成学校、名前はそのまま《ナチュラル育成学校》へと向かう。
村をでて5分……私達は道に迷っていた。学校から渡された地図はかなり大雑把で…え?何で試験の時は行けたかって言うと、それはお父様の馬車で行ったので…
「…さっきからお前、誰と喋ってんだ?」
「ななな何でも!そ、それよりどうする?地図にはセントラル鉄道に乗ればそこから学校への行き方が分かるだけど」
セントラル鉄道はでかい鉄道会社で世界一。首都の近くにあるから利用者はとても多い。
「鉄道かー。この近くにそんなの走ってないと思うけどなぁ?歩いては行けないし、どうするか」
「困っちゃったね」
村を出た時はまだ夕方だったけどもう既に日は落ち、薄暗くなっている。気温も下がってきて肌寒い。
「んーー……あ、思い出した!!確か母ちゃん、村の近くに鉄道が通ってるとか言ってた気がした」
レオの言葉が本当なら喜ばしいけど不安も大きい。でも迷ってる時間はないんだ。入学式の三日後には着いてなくちゃいけない。
「レオ、道とか覚えてる範囲で良いから行ってみよう。何事もチャレンジだよ」
「おう!こっちだ」
辺りは既に暗くなっていた。




