二つのアンナチュナル
「な、何この音!」
私達は地下空間に居る。空間は繋がっているらしく、さっきから爆発音が度々聞こえる。そんな中で何かの遠吠えが聞こえた。
「……それよりもまずはこっちだ。三人で二つのアンナチュナルを相手にしなければいけない。幸いにも相手は攻撃して来ないがいつ攻撃が来ても良いように魔獣を出しておこう」
リエン君の意見に賛成だ。サミュルでの戦い。三人で一つのアンナチュナルに苦戦した…それにその戦いで私は見てる事しか出来なくて足を引っ張った。もしあの時、マナが来なかったらと思うと怖くなる。
「…では俺から行く。出てこい、龍」
リエン君の魔獣は龍。皮膚は赤く全体的に血のように赤い。そして背中から生える巨大な翼に巨大な尻尾。驚くべくはその大きさ。もう少しで天井に届くんじゃないかというぐらい大きい。
「わー!龍なんて初めて見ました!つ、次は私ですね。出てきてっ、梟のフーちゃん」
リアの魔獣は梟。龍の半分程の大きさどが白く美しい毛並みに人間より数倍大きな目。強そうだ。
「次は私だね……来て、鴉」
そして私の魔獣、鴉は自己意識が強く、主である私の命令を聴いてくれない。役に立つかは分からないけどここで魔獣を出さなければ二人に怪しまれてしまう。
「…ほぅ、梟に鴉か。俺は攻撃系だか二人はどうだ?」
アンナチュナルの目の前で作戦会議をしている光景がおかしくて笑ってしまいそうになるが気を引き締める。
「わ、私は支援系です。攻撃力が低いので、後ろから攻撃をします」
「私は攻撃系だよ」
私とリアの話を聴いてリエン君は作戦を考えている。その間、アンナチュナルは止まって動かないまま。私にしてはそっちの方が嬉しい。
「……よし、効率は悪いが俺とリディアで一つのアンナチュナルを倒す。リアは二つ目のアンナチュナルを足止めしていてくれ」
作戦が伝えられアンナチュナルとの戦いが始まる。私とリア、リエン君はお互いに頷きあっていよいよ攻撃開始。
“…レイヴン、聴こえてるでしょ?お願い、言う事を聴いて”
魔獣と契約した人間は魔獣と意志疎通する事によって言葉にしなくても心の中で会話が出来るのだ。それを利用してレイヴンに話し掛けている。
『ったく、何度も言っているがお前の命を少し削れば俺様が倒してやっても良いぜ』
私の命を削る。今はこれしか無いっ!
「行くぞ、龍。ファイアー・ブレス」
龍から放たれる凄まじい炎。こっちも暑い。炎はアンナチュナルに命中している。後は私の番。
“…分かった。だから早く攻撃をして!”
『フッ、良いぜ。行くぞ雑魚共、地獄の轟炎』
レイヴンの攻撃。龍の炎よりも高温な炎がアンナチュナルを溶かす。隣で足止めをしていたリアのアンナチュナルも溶けていった。
「……うっ、あぁっ」
またこの感覚。命が削られているのが分かって怖くなる。痛みより恐怖が勝る。
「………」
リディアが苦しむ様子をリエンは見ていた。最初から見ているとリディアが契約しているレイヴンに違和感があったのだ。普通、魔獣と契約した人間は主である人間の命令は絶対だ。だが、リディアを見ていると何かがおかしい事に気付いた。
(……何かありそうだ)
「り、リディアお姉ちゃん!どこか怪我をしたの?それなら私が癒してあげる」
私の異変に気付いたリアが声を掛けてくれた。それにしても癒すって?
「……まさかお前、ヒメ族なのか?」
「はい。私とシアはヒメ族です。あ、ヒメ族というのは傷を癒す事の出来る特別な力を持つ種族なんです。と言っても男の人は治癒の力は無いんですけど」
リアはそう言って微笑んだ。そんな種族があったなんて知らなかったからビックリした。
「…私の力はただ傷を癒すだけではありません。疲れを癒します」
そう言ってリアは両手を私の胸に当てた。すると何だか胸の辺りが温かくなった。それと同時に疲労感が無くなっていったようだ。
「ありがとう、リア。スッキリしたよ」
「いえっ。これが私の力ですから…あ、リエンお兄ちゃんも心の疲れを癒しましょうか?」
「いや、俺は疲れていない。それよりこれから何があるか分からない…力を温存しておいた方が良いだろう」
リエン君の言葉に少し悲しそうに返事をしたけどまたすぐに笑顔になった。
「…道を阻む物は居なくなった。先へ進むぞ」
私とリアは頷く。これが試練だというならば絶対に乗り越えてみせる、そう心に誓った。
度重なるアクシデントで三度目の書き直しです。
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